瀬戸内海の小島でアート三昧の旅② グッと来た光景8選
こんにちは、坂本澄子です。
久し振りにおひさまが戻ってきてくれました。
今日もアート三昧の旅「直島」の続編をお届けします。前回は「地中美術館」を取り上げ、建築空間+アート+自然の関わり方をご紹介しましたが、今日は心にグっと来た光景をご紹介します。
直島には、「対比」することで感じ方を増幅させる様々な手法が用いられていると思いました。「光と闇の対比」と「自然と人工物の対比」。そして、もうひとつが「実在と描かれたものの対比」です。
前回のブログの最後に、地中美術館でモネを見た後、美術館を出たところで実際の睡蓮池に出くわしたことを書きましたが、これもひとつの例です。
まるでフラッシュバックのように、さっき見たモネの睡蓮が甦ってきます。
まだまだあります。
直島には作家がその場所に来て制作した「サイト・スペシフィック・ワーク」が数多くあります。バートレットのこの作品はもともと直島のために描かれたものではありませんが、 大きな窓から海岸線が見える位置に飾られることになり(写真上)、「だったら海岸にもボートを置いてみてはどうか」と画家自身が言い出したのだそう。その意味で、最初の「サイト・スペシフィック・ワーク」とも言えそうです。
私が一番いいなと思った作品は、本村(もとむら)地区にある護王神社です。古くから島民が暮らし、いまも古い家並みが残るこの町で、建物そのものをアートに生まれ変わらせた「家プロジェクト」。護王神社はそのひとつで、写真家の杉本博司さんの作品です。杉本さんは世界中の水平線をおさめた作品でも有名なのですが、以下、写真をご覧ください。
地下の石室には坂道を下って、細い通路を3、4mほど歩いて入ります。太っちょさんだとつかえてしまいそうな程の細い道の向こうは漆黒の闇…かと思いきや、ガラスの階段を伝わって入り込む外光によって石室はほのかに明るいのです。今通ってきた通路から海を上がって来られた神様が、ガラスの階段を昇り、地上のお社に入られる、そんな構造になっているのだなと思いました。
驚いたのはその後です。
再び細い沿道を通って外に出ようとしたとき、細く四角に切り取られた向こうに見えたもの。それは穏やかな瀬戸内の水平線でした。言葉で説明するのがもどかしいほど、「うわぁぁぁ」って感動。少しは伝わるでしょうか。
最後は、ベネッセミュージアムに併設されたホテルからの眺めをどうぞ。
自然+建築空間との共作によって創られるアート。滞在型のミュージアムとして、その空間そのものが見る人に色んな感情を呼び起こし、働きかけてくるのを感じた2日間でした。
東京に戻ると再び生活が始まりました。こうして、この文章を書きながらも、「あー、また行きたいなあ」。でも、生活感いっぱいの殺風景な部屋を見て、ため息まじりにぼやくか、お部屋にもアートな空間を作ってみようと思うかは、自分次第ですよね。まずは部屋を片付けてみました(笑)
第二回「バリアートサロン」1週間後に近づいてきました。直島で体験したことを私なりに展示に生かしてみたいと思っています。
今回ご紹介するのは、バリの田園風景を幻想的なタッチで描き出したドイツ人画家シュピースと、彼の影響を受けたバリの画家たちによる光の風景です。直島でも光が効果的に用いられていましたが、バリの光の風景も心にじわじわ染みて来るものがあります。バリ島の素朴な風景と東京ベイエリアの近未来的風景。その対比もご覧いただきたいと思います。詳しくは「バリアートサロン」のご案内をどうぞ。
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第二回「バリアートサロン」開催のご案内 7月18日(土) 11:00-12:00