素朴派に感じる共通点
こんにちは、坂本澄子です。
画家の中には、死後ようやく作品の価値が認められる作家も少なくありません。
パリの税関に勤めていたルソーが本格的に絵筆を握ったのは40を過ぎてから。その作品のほとんどは退職してから描かれています。遠近法も明暗法もない描き方に、
そんなルソーを敬愛していたのが若き日のピカソ。
わずか5フランで手に入れたその作品『女の肖像』は、いまでもピカソ美術館に所蔵されています。ピカソはルソーを本物の創造者として(あるいは伝統的な絵画の破壊者として)心底リスペクトしていたのですね。
私が初めてルソーの絵を間近に見たのは、2010年「オルセー美術館展」でした。展示会のメイン作品としてポスターにもなっていた『蛇使いの女』、写真では何度も見ていましたが、実際の作品を前に鳥肌がたったのを覚えています。
大きな作品でした。絵の向こうには別の世界が存在しているような感覚を覚えたのです。ルソーの登場がシュルリアリズムに影響を与えたのも頷けます。
南の島に漠然と憧れを抱いたのはその時です。
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花の季節が終わるとやがて来る新緑の季節。そんな季節に飾りたくなるのがこちらの作品。ラバの『少年たちの情景』です。何度もご紹介してきましたが、本当に素晴らしい絵です。
キャンバスが緩んで、一度張り直したことがありました。ピンと張った瞬間、キャンバスの上で絵が蘇りました。決して誇張ではなく、「すごい絵がうちにある」と思いました。奥行きも明暗もありませんが、幾重にも塗り重ねられた様々な緑が、作品にコクのような深みをもたらしています。空なのか、雲なのか、水なのかわからない背景にも心惹かれます。それは、画家が子供の頃に実際に見た光景であり、同時に彼の心の風景なのでしょうね。
4月の「バリアートサロン」は4月23日(土)です。小さな作品をご覧いただきながら、「バリ絵画の歴史と進化」についてお話しますが、展示作品についてはリクエストにも応じます。もちろん今日ご紹介した『少年たちの情景』も喜んで!