バリアートショールーム オーナーブログ
2016.4.20

熱帯の密林の中へ

こんにちは、坂本澄子です。
アンリ・ルソーが好きで、バリ絵画が好きという人は意外に多いのでは。実は私もその一人なんです。「ルソーって哲学者⁉︎ 」という方がおられたとしても、この本を読んだら、きっとルソーのことを好きにならずにはいられないでしょう。

原田マハさんの『楽園のカンヴァス』ー ミステリー、恋愛小説、ビジネス小説、アート…、様々なジャンルがてんこ盛り。ぐいぐいと読者を引っ張っていく展開の速さと意外な結末、そして最後は心に爽やかな風が吹き抜けていく、そんな小説です。

大学時代に美術史を専攻し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務、また、キュレーターとしての経験も持つ著者ならではの作品。アートに対する深い造詣と、小説としての面白さがダブルで押し寄せてきますよ〜。

物語の中にはルソー、ピカソなどたくさんの絵が出てきますが、この本のタイトルとも密接に関係しているのが、ルソー最後の作品『夢』です。MoMAにキュレーターとして勤務する主人公ティムが、この作品を前に次のように思う場面があります。

1920px-Henri_Rousseau_-_Il_sogno

『夢』アンリ・ルソー 1910年 ニューヨーク近代美術館

「作品の舞台は、密林。夜が始まったばかりの空は、まだうす青を残し、静まり返っている。右手に、ぽっかりと明るい月が昇っている。鏡のような月だ。

月光に照らし出される密林は、うっそうと熱帯植物が密集している。名も知らぬ異国の花々が咲き乱れ、いまにも落ちそうなほど熟した果実が甘やかな香りを放つ。ひんやりと湿った空気のそこここに、動物たちが潜んでいる。その目は爛々と、小さな宝石のように輝いている。

遠く近く、聞こえてくるのは笛の音ー黒い肌の異人が奏でる、どこかせつなくなつかしい音色。耳を澄ませば、そのまま彼方へ連れ去られてしまいそうなほど、深く静かな旋律」(原田マハ著『楽園のカンヴァス』より)

この箇所を読んだとき、初めてウブドを訪れたときの記憶に重なりました。

*****

ルソーの絵が好きなあなたにぜひご紹介したいバリ島のアーティストがいます。Dewa Nyoman LABA(デワ・ニョマン・ラバ)

写真のように、作品のほとんどが緑、緑、緑です。ニュアンスの異なる緑が巧みに配置され、絵に深みをもたらしています。まるで密林に迷いこんだように、森の匂いやひんやりと湿った空気がからみついてきます。遠くの村からかすかにガムランの音色も聴こえてきそう。

LABA_tropical forest (1)

『熱帯の森の中で』LABA アクリル/キャンバス 100x150cm    400,000円

今年68歳のLABAさんは、熱帯の森に暮らす動物たちを描き続ける、巨匠格のアーティスト。深い緑とユーモラスな動物たちに、私自身いつも癒されています。あなたもこの癒されるような深い緑に包まれてみませんか。LABA作品ページはこちら。また、この作品に関するお問い合わせはこちらから承ります。

<関連ページ>

LABA作品ページ ・・・お求めやすい小さな絵もあります

コメントをどうぞ

※は必須