熱帯の密林の中へ
こんにちは、坂本澄子です。
アンリ・ルソーが好きで、
原田マハさんの『楽園のカンヴァス』ー ミステリー、恋愛小説、ビジネス小説、アート…、様々なジャンルがてんこ盛り。ぐいぐいと読者を引っ張っていく展開の速さと意外な結末、そして最後は心に爽やかな風が吹き抜けていく、そんな小説です。
大学時代に美術史を専攻し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務、また、キュレーターとしての経験も持つ著者ならではの作品。アートに対する深い造詣と、小説としての面白さがダブルで押し寄せてきますよ〜。
物語の中にはルソー、ピカソなどたくさんの絵が出てきますが、この本のタイトルとも密接に関係しているのが、ルソー最後の作品『夢』です。MoMAにキュレーターとして勤務する主人公ティムが、この作品を前に次のように思う場面があります。
「作品の舞台は、密林。夜が始まったばかりの空は、まだうす青を残し、静まり返っている。右手に、ぽっかりと明るい月が昇っている。鏡のような月だ。
月光に照らし出される密林は、うっそうと熱帯植物が密集している。名も知らぬ異国の花々が咲き乱れ、いまにも落ちそうなほど熟した果実が甘やかな香りを放つ。ひんやりと湿った空気のそこここに、動物たちが潜んでいる。その目は爛々と、小さな宝石のように輝いている。
遠く近く、聞こえてくるのは笛の音ー黒い肌の異人が奏でる、どこかせつなくなつかしい音色。耳を澄ませば、そのまま彼方へ連れ去られてしまいそうなほど、深く静かな旋律」(原田マハ著『楽園のカンヴァス』より)
この箇所を読んだとき、初めてウブドを訪れたときの記憶に重なりました。
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ルソーの絵が好きなあなたにぜひご紹介したいバリ島のアーティストがいます。Dewa Nyoman LABA(デワ・ニョマン・ラバ)。
写真のように、作品のほとんどが緑、緑、緑です。ニュアンスの異なる緑が巧みに配置され、絵に深みをもたらしています。まるで密林に迷いこんだように、森の匂いやひんやりと湿った空気がからみついてきます。遠くの村からかすかにガムランの音色も聴こえてきそう。
今年68歳のLABAさんは、熱帯の森に暮らす動物たちを描き続ける、巨匠格のアーティスト。深い緑とユーモラスな動物たちに、私自身いつも癒されています。あなたもこの癒されるような深い緑に包まれてみませんか。LABA作品ページはこちら。また、この作品に関するお問い合わせはこちらから承ります。
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