バリアートショールーム オーナーブログ
2014.12.27

2つの光が映し出す幻想世界

こんにちは、坂本澄子です。暮れも押し詰まってまいりました。昨日が仕事納めだった方も多いのではないでしょうか。

ブログ186_満月の夜に3ウィラナタの新作『満月の夜に(仮題)』がついに完成しました。蒼白い満月が水面を照らし、幻想的に空間を映し出しています。そして、この絵にはもうひとつの光が。田圃の脇に置かれた祠を照らすランプと篝火の暖かみのある光です。

質感の異なる2つの光がひとつの絵の中に描かれることで、異なる時空間が共存するような不思議な感覚を覚えます。

「これは意図してそうしたのですか?」

思い切って画家本人に聞いてみました。

ブログ186_満月の夜に4

 

でも、彼は静かに微笑んだまま。まるで、どう感じるかは受け手次第と言っているようです。

月の満ち欠けと密接に暮らすバリ島では、満月は永遠の平安をもたらすと言われ、大小さまざまな祭礼が行われます。

この作品に描かれているのは、家族を中心とした比較的小さなもので、左側の祭壇に安置された聖水を使って祭事が行われます。右側の祠(ほこら)には、作物の実りを司る神様、デウィスリが祀られており、今夜は田植えが無事に行われるよう祈願する祭事が行われようとしているところ。

ブログ186_満月の夜に1祭礼の準備をするおとなたちに混じって、中央で篝火をかざして田圃を覗き込んでいる少年は画家本人です。田うなぎや水中の昆虫を捕まえた少年時代のワクワクするような思い出が、祭りの前の高揚感と重なり合っています。

 ウィラナタが最も影響を受けたというドイツ人画家シュピースも、ひとつの絵の中に複数の時空間を描きました。この作品にもそんなニュアンスが感じられます。

ガルーの新作入荷とちょうどタイミングが合いました。そこで、新作2点を含む2人の画家による幻想心象風景画の作品展を行うことにしました。

1月23日(金)、24日(土)の2日間、場所は夏にウィラナタの新作鑑賞会を行った銀座のRONDOです。

この作品、あなたの目にはどう映るか、ぜひご覧になってくださいね。

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