バリアートショールーム オーナーブログ
2016.6.1

最近読んだ本から

こんにちは、坂本澄子です。

ごめんなさい、10日もご無沙汰してしまいました。

実は広島の実家に帰っておりました。滅多に電話をかけてくることのない母から、突然弱った声で、「ふたりとも具合が悪くて…」と連絡があり、さすがに慌てました。その日は朝から出かけていたのですが、着替えも仕事の道具も持たず、そのまま東京駅へ直行、新幹線に飛び乗りました。

おかげさまでそれほど深刻な状態ではなかったのですが、両親とも結構な高齢、父が骨折をして自分では何もできなくなったことに端を発し、負担のかかった母もついにダウン。ほんの数ヶ月前の元気な姿は見る影もなく、親が年をとるということはこういうことなのかと、じわじわ来た次第です。

大学から親元を離れたので、一緒に暮らしていた時間は短く、「便りがないのはよい知らせ」といやみを言われるくらい、淡々とした親子関係だったと思います。これからはもう少し一緒にいる時間を増やすようにという、神様からのメッセージなのかも知れませんね。皆様もどうかご両親を大切になさってください。

51llOLdehxL._SX348_BO1,204,203,200_いろいろ大変でしたが、いいこともありました。病院の待ち時間、行き帰りの新幹線で、かなり本が読めました。

特に面白かったのが、原田マハさんの『#9 ナンバーナイン』、上海を舞台にした大人の恋愛小説です。かつてMoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務し、キュレーターでもある原田さん。モダンアートの取引に関わる舞台裏が丁寧に描かれています。中国奥地の寒村に生まれた画家が描いた、心に染み渡る風景は、ウィラナタの棚田の風景を思わせました。「#9」というタイトルの意味は何か、急展開していくストーリーは、終わりに近づくほど、2行一緒に読んでももどかしいくらい。アート好きなあなたにオススメですよ〜。

51yPl+0ey0L._SX344_BO1,204,203,200_帰りの新幹線に乗る前に、駅の本屋さんの新刊コーナーでパッと手に取ったのが、村上春樹さんの『村上ラジオ3』。随分昔にイラストレーターの安西水丸さんとコラボされた、『ランゲルハンス島の午後』という絵本がありましたが、この『村上ラジオ』も洗練された文章と素朴なイラストがいい感じで絡み合っています。2000年3月からアンアンで連載されたエッセイが単行本化されたシリーズ第三弾。アンアンの読者=若い女性と村上春樹さんって、なんだかあまり結びつきませんが、余計な雑念がない分、自由に書きたいことが書けたとご本人談。何気ない日常(といっても、多くは海外が舞台なのでオシャレなのは羨ましい限り)の光景が独自の視点で描かれています。

あなたは最近どんな本を読まれましたか?

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