バリ島のお祭りを描いた作品
こんにちは、坂本澄子です。
先日の満月&スーパームーン、きれいでしたね。東京ではほとんど雲もなく、晴れ渡った空にぽっかりとまあるい月が浮かびました。
バリのウク暦では月の満ち欠けに基づき、210日で一年が回っていきます。満月の日にはいつもお寺にお祈りに行くそうですが、今回はウブドでもいつもより盛大に満月のお祭りが行われたそうです。これからしばらくいいお日柄が続くため、様々なお祭りや結婚式のラッシュ。お祭りの内容によってお供え物も変わり、置く場所も決まっているのだそう。村の女性たちはこれらがぜ〜んぶ頭に入っているんですって。結婚式にはお米やお砂糖を頭の上に載せて、お祝いに行くのだそうですよ。
ところで、お祭りの様子はバリ絵画の題材としてもよく描かれますが、実はこれ、1920年代以降と比較的新しいことなのです。それまではバリにおける絵画は神様を讃えるためもので、もっぱら神話の場面が描かれていました。(カマサン・スタイル)
多くの観光客とともにバリ島を訪れた西洋人画家たちは、南国の風習や風景が珍しくて、それらを題材にして絵を描きました。バリの画家たちはそれを模写することで、西洋絵画の技法を習得し、かつ、題材として日々の生活に目が向けられるようになったというわけです。(ウブド・スタイル)
そんなバリの暮らしを描き続ける伝統画家ダギン(Daging)氏の作品『村の暮らし』(写真左)です。
バリの正装であるウダン(頭巾)とサルンを身につけた男性、お供えを頭の上に載せ、忙しそうに立ち回る女性たち。お祭りの準備をする姿が生き生きと描かれ、活気あるバリ島の生活が伝わってきますね。
また、バリ絵画の特徴のひとつでもある細密画。(クリキ・スタイル)この『チャロナラン』(写真下)は、バリ島のお祭りの様子がわずか15cmx49cmの上に精緻な筆使いで表現されています。細密画で有名なクリキ村の画家ならではの線の細さと優美さは秀悦。これで30,000円はお買い得ですよね。
第5回バリアートサロンは細密画を取り上げます。今月は土曜日開催の10月17日です。詳しくはこちらをどうぞ!
<関連ページ>
カマサン・スタイル・・・バリの古典絵画
ウブド・スタイル・・・西洋絵画の影響を受け、一般の暮らしにも目が向けられるように
クリキ・スタイル・・・画家どうしで細かさを競ったことから始まったバリ細密画。
身近なところにあるアート
こんにちは、坂本澄子です。
あいにくの雨模様ですが、外に出るとふわっとあまい香りが。もう金木犀が咲いているんですね。慌ただしく暮らしていると、季節の移り変わりを忘れてしまうことがありますが、誰も気づかなくても、褒めてもらえなくても、自然はしっかりと次の準備をしていて、ふとしたときにはっとさせられます。
とてもいい季節なので、最近ケン(フレンチブルドッグ♂4歳)とのお散歩の距離がどんどん伸びています。東京・有明は私が引っ越してきた10年ほど前には、東京ビッグサイト以外これといったものもなく、がら〜んとした感じだったのですが、築地市場の移転や2020年のオリンピックでこのあたりにいくつか競技場が作られることもあり、急ピッチで整備が進んでいます。
足を伸ばしてみると、今まで柵で囲われていたところがすっかり取り払われ、運河が見渡せる広い遊歩道ができていたり、オシャレなお店ができていたりともうびっくりです。中でも、おおお!と思ったのがこちらのアート広場。都会に突如出現したサバンナとでも言いましょうか。遠くに高層ビルを眺めつつ、緑の広場には200匹の動物たちが。
ART ZOOと名づけられたこの場所、ちょっともったいないのは、ビルの工事現場の裏手にあたり、表の道路から見ただけではここにこんな場所があるなんてわからないのですよ。おかげで他には誰もいない中、日が暮れるまで、この不思議な光景をたっぷりと楽しませていただきました。
意外におもしろいのが、何本ものクレーンが上がっている東京の空。日が沈むまで刻一刻と色を変え、表情を変えるところはバリの空と同じ。そこに影絵のように立ち上がったクレーンの無機質さがいい、なんて思うのは私だけでしょうか(笑)
こうしてみると、身近なところにアートを感じるものが結構あるんです。ケンを撮るつもりで構えたiPhone。ちょうど彼岸花が見頃で、赤と緑と黒のコントラストがおもしろくて、こんな写真を撮っちゃいました。冬を迎えるまでのわずかな時間、あなたもぜひ見つけてみてくださいね〜。
そうそう、バリ雑貨店「ピュア☆ラ☆バリ」の奈々さんが、ブログ「バリ雑貨店スタッフ達のへんてこバリ島生活」の中で「バリアートショールーム」のことを書いてくださいました。クレイジーな画家WECESさんのこと、おもしろいので読んでみてくださいね。
<関連ページ>
クレイジー画家!?に絵画オーダーをしてみました! | バリ雑貨店スタッフ達のへんてこバリ島生活
第4回バリアートサロン いよいよ明日開催。
ART ZOO 公式ホームページ バリアートサロンの後でいかがですか?お近くです。
もうひとつの満月
こんにちは、坂本澄子です。
電車の吊り広告で前から気になっていたキリン「十六夜の月」、コンビニで見つけてついに買っちゃいました。ワイングラスに注ぐと、ふわっといい香り。ベルギービールを思わせるような、やわらかい飲み口でした。これかなり好きになりそうです^o^
9月といえば中秋の名月。今年は9月27日です。月が地球に最も近づくスーパームーンとも重なるそう、大きく明るい満月が期待できそうですね。
さて、今日はバリの満月を描いた作品をご紹介します。この作品はお客様からのご依頼により制作したものです。
ご注文くださったのは、5月の「春のバリ絵画展」でウィラナタの『満月の夜に 〜フルムーンガルンガン』(左写真)をご覧になった江東区のK様。
「この絵好きだけど、ちょっと大きいなあ」。そこで、その絵の持つ雰囲気はそのままに、30x50cmのサイズで新たに描いてもらうことになったというわけなのです。
さっそくウィラナタさんに相談したところ、「そのサイズだと結構難しいけど、とにかく全力で頑張ってみるよ」との心強いお返事。確かに、元の作品は60x80cmと約4倍ですから、そのまま縮小というわけにはいきません。絵の大きさにあった構図というものがありますものね。
一体どんなふうになるのか、私もお客様と一緒にドキドキしながら楽しみに待っていました。そして出来上がった作品がこちらです。
ウィラナタさん、さすがです。。
青白い満月と石油ランプの暖色系の光。ふたつの光が交錯する幻想的な雰囲気は、元の絵の雰囲気そのままです。作家の弁を伺ったところ、「これは夜8時頃、日没後、まだ微かに明るさの残る東の空に大きな満月が昇ったところを描いたものです。牛を引きながら、家路についた農夫とその息子。その温かな関係と一日を終えた充実感を静かな情景の中に表現したいと思いました」
そして、この絵にはもうひとつ素晴らしいところが。写真ではわかりづらいかも知れませんが、キャンバスの隅から隅まで、細いところまで実に丁寧に描き込まれているのです。いい絵というのは主役以外の部分も決して手を抜かず、隅々にまで見所があるものですが、この絵の場合、暗い部分もよく見ると、葉っぱなのか土なのか、自然の息吹とでもいった何かが感じられます。それが見る人の想像力をかきたててくれる、そんな魅力ある作品です。
画家にそのことを伝えると、「久しぶりに小さな絵を描いて目を使いましたよ。おかげでいつもの倍時間がかかっちゃった(笑)でも、自分でも満足のいく作品に仕上がりました。お客様にも同じように思ってもらえると嬉しいです」
もちろんK様にも喜んでいただけました。ご注文制作は最後まで実物を見ることができない分、ご不安もあると思いますが、お部屋にあったサイズで気に入ったモチーフを描いてもらえるという点ではおすすめです。お客様のお気持ちに寄り添って、お手伝いができればと思っています。注文制作の詳細につきましては、こちらもどうぞご覧ください。
それでは、連休最終日、楽しんでくださいね〜!
<関連ページ>
ウィラナタ作品ページ・・・幻想的な光との戯れ
ご注文制作の流れ・・・ご注文制作はこのように進めさせていただきます
第4回バリアートサロン・・・いよいよ今週日曜日。バリ絵画の歴史と進化についてお話します
バリ在住16年「神々の棲む島バリ」は本当に
こんにちは、坂本澄子です。
前回のブログ「ウブドでヴィラに泊まるなら」に、たくさんのいいね!をありがとうございました。私もロカパラ・ヴィラのFacebookにアクセスして、改めてじーっくり写真を見ましたが、ため息がでちゃいました。今日はその続編として、オーナーの日暮若菜さんをご紹介します。ヴィラの素敵な写真もあわせてお楽しみくださいませ!
若菜さんはOL時代(懐かしいですね〜、この響き)、海外旅行が趣味でいろんな国を旅してきた後、最後に訪れたのがバリ島でした。そして、一瞬で恋しちゃったのだそう。それからはもう寝ても覚めても「バリ島に住みたい!」という気持ちは募るばかり。
こんなにバリに惹かれたのは、日本にいると、住まいを確保し、食べるために働かなければならない。でも、バリにいれば、外で寝ても寒くはない。バナナはその辺に生えているし、喉が渇けば椰子の木に登ってココナツを採れば、飢えることもない。決して怠けたいわけではないけれど、何だかとっても許されてて、バリの人たちの他人を許す大きな心って、そんなところから来ているのかな、すごいなと思ったのだそうです。
また、ちょうどその頃、アジア通貨危機で、滞在中のわずか一週間のうちに、マッサージ代が一気に倍になるようなスリリングな出来事も経験しました。成熟した日本と違って、これからとても面白くなりそうな国だなという気持ちもありました。
いったんこうと思ったら行動あるのみ、「まずは言葉」と思って、千葉大に通っているバリ人の先生に家庭教師に来
「とにかく、持ち金も皆無だったので、
実際にバリに生活してみると、日本人からみるとひょえ〜!!と思うことも多々あるそう。
「ちょっと具合が悪かったりするとバリアンに行って、そしてみるみるうちに治ってしまったりとかを目の当たりにすると、目には見えない力を感じます。それから、神様を信じているという意味ではほんとにすごいです。一番神様に近い人たちなんじゃないかと思います」
気がつけば、バリ島に住んで早16年。日本とは全く違ったりと大変なこともありますが、許され続けているうちに、相手のことも許せるようになり、ちょっとやそっとのことでは怒らなくなったそうです。そして、4年前にご主人のアリさんと出会い、ニュークニン村に住むことに。美しい田園風景が広がり、今でももっともウブドらしい場所です。
「ニュークニン村は私がウブドに長期滞在するようになって最初に住んだところです。まさか、
私も次にウブドに行く時は若菜さんのヴィラに泊めてもらおうと思っています。きっとウブドを、そして若菜さんのことをもっともっと好きになることでしょう。今からそんな気がしています。
そうそう、8月にプレオープンしたのに、どうして正式オープンは11月なの?って思いませんでしたか。バリ島では、オープン前に大きなお祭りをやる のが決まり。ちょうどよい日が11月になってしまい、それでなのだそうです。やっぱりバリ島は「神々の島」でした。
そんなバリ島の絵画をご紹介するバリアートサロン。第4回は「バリ絵画の歴史と進化」をお話し、代表的なスタイルの作品をご覧いただきます。好評受付中、詳しくはこちらから。
<関連ページ>
ロカパラ・ヴィラ ・・・ヴィラの素敵な写真がたくさん
バリ島旅行ドットコム、agoda ・・・11月オープン、予約受付開始
幻想的な田園風景画 ・・・ ウブドの田園風景を繊細なタッチで描いた作品なら
第4回バリアートサロン開催のご案内・・・9月27日(日)11:00〜12:00
ウブドでヴィラに泊まるなら
こんにちは、坂本澄子です。
この仕事を始めてから、「ウブドに行きたいんだけど…」と声をかけてくださる方が増えてきました。頼りにしていただけて嬉しい限りなのですが、こと泊まる場所となると、実はちょっぴり悩んでいました。
私がウブドで定宿にしているところは長期滞在向け。1、2泊という場合には、ちょっとオシャレで、ウブドらしくて、日本人の視点でお勧めスポットを教えてくれる、しかも安心で、かつ、お値段手頃なところをおすすめしたいですよね〜。
オーナーはバリ在住の日本人女性、日暮若菜さんとご主人のアリさんです。若菜さんとはバリつながりで親しくさせていただいており、たまにメールをいただくと、とってもあったかい気持ちになれるんです。その若菜さんのヴィラとあっては、何がなんでも応援したくなりました。8月のプレオープンにさっそく泊めてもらった友達の感想を含めて、ご紹介させていただきますね。
ウブド南部のニュークニン村。近くにはモンキーフォレストもあります。道路はキレイに掃き清められ、ペンジョールが風になびいていました。見上げると、みずみずしいプルメリアの花が咲いています。
通りから小路を少し入った所にロカパラ・ヴィラはあります。
「ああ、ウブドっていいなぁ」としみじみ感じます。いつまでもそこにいたくなるような心地よい空間は、若菜さんのおもてなしとセンスの良さに溢れていました。
インドネシア語で「パラダイスのような場所」を意味する『ロカパラ・ヴィラ』、Facebookでもっとたくさんの素敵な写真をご覧になれます。バリ島旅行.comで11月からの予約も開始したそうですので、よかったらぜひアクセスしてみてくださ〜い。
ところで、若菜さんはバリ島に住んでもう16年になります。初めてバリを訪れたのはあちこち海外旅行をした最後の最後。海外旅行通の若菜さんがバリに一目惚れして、「ここに住みたい!」と思ってからの行動力は「これは運命?」と思えるほど。そして、3年前にご主人のアリさんと出会い、それまで外国人として外側から見ていたバリとは違う一面も見えてきたそうです。土曜日のブログでは、そんな若菜さんの人柄あふれるエピソードをご紹介したいと思います。
9月27日(日) の第4回バリアートサロンもまだ残席があります。今回は「バリ絵画の歴史と進化」と題して、バリ絵画の様々なスタイルの絵をお楽しみいただきます。
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こんなところに画家の工夫 ー プンゴセカンの巨匠ラバ
こんにちは、坂本澄子です。長雨の後、ようやくお日様が顔を見せてくれましたね。前回はブログをお休みしてしまい、ごめんなさい。
実は、今バリをモチーフにしたちょっとシュールな絵を描いています。
仕事でイヤなことがあって、グダグダに疲れて帰宅。「あ〜、もうヤダっ」とソファに倒れこむと、今日の出来事が脳裏に蘇ってきます。そんな時って、ありますよね。ふと、ソファの後ろに飾られたバリの絵が目にとまり、「あ〜、またバリに行きたいっ」とため息。目をつむってウブドの田園風景を思い浮かべていると、いつの間にかウトウトと。その波長が絵の風景とシンクロし、夢と現実の境目がなくなくなっていったらおもしろいな…と思った気持ちを、ソファで眠る人物、その後ろにかかった大きなバリ絵画という構図で表現してみました。
この絵に登場させる画中画については、かなり試行錯誤を繰り返しました。最初はバリで撮ってきた写真を元に描き起こそうかとも思いましたが、それはバリ絵画ではありません。バリの作家に対するオマージュとして、プンゴセカンの巨匠ラバさんの絵を模写させてもらうことにしました。その一部が左の写真です。
模写しながら、ラバさんの絵に対する自分の考えがどんどん変わっていくのを感じました。それまでは、「深い色の緑が、子どもの頃の懐かしい風景を思い出させてくれる」というノスタルジーに基づくものでしたが、新たに、これだけの作品を描くための画家の技術的な工夫を随所に感じたのです。
ひとつは色の調和の見事さ。ある色がその場所に使われているのは、画家にとっての必然性がちゃんとあってのこと。例えば、左の赤いインコ。主役にふさわしい強いコントラスで描かれています。赤の強さを中和させつつ、引き締める役割を果たしているのが黒。つなぎ色としての黄色。そして、頬に赤の反対色のシアンを使うことで、日本の着物の柄を思わせるような装飾的な美しさを出しています。
ふたつめは様式化された描き方です。背景の空と水を見ると、形を徹底的に簡略化し、その分、色と明暗とで変化を出しています。見る人が想像を膨らませて、その時の気分でいろんなことを考えられる間合いのようなものを作り出しています。例えば、この空の向こうにもうひとつ別のバリがあるんじゃないか…とか妄想してみると、あたまのマッサージになりそう。
そんなラバさんの絵の魅力は小さな絵にもぎっしりつまっています。バリアートショールームにある作品から2点ご紹介します。
先ほどの赤のインコを50cmx40cmのキャンバスに描いた作品がこちら『LOVE, LOVE Ⅲ』です。
雌の方は緑に溶け込むような淡いタッチで、赤の雄のインコとは対照的に描くことで、小さいながらも画面に広がりを感じさせます。
背景の緑は、笹のような尖った葉と三つ葉に蔓と、緑一色に見える背景の中にも、様々な変化があるのがわかります。白のプルメリアが曼荼羅的なリズムをもたらしているのも、面白いですよね。
『少年たちの情景』は緑と茶系の色使いで描かれ、母なる大地を感じさせる絵です。先ほどの作品と同様に、青みがかった緑から、黄色がはいった緑まで何種類もの色調が用いられ、濃淡、明暗による変化で、実に豊かな色の表現があります。
そして何と言ってもこの絵の特徴は、風でしなる椰子の木が斜めに横切るダイナミックな構図です。単純化された草や稲穂、水、空の形、そして、少年たちの素朴な表情が、逆にその力強さと動きを引き立てています。見る人を飽きさせない絵というのは、きっとこういう作品をいうのだと思わされます。
この2点は、9月27日の第4回バリアートサロンで実物をご覧になれます。好評受付中、詳しくはこちらをどうぞ。
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モノクロームな風景にいだかれる
こんにちは、坂本澄子です。
バリの風景と言えば、鮮やかな色彩を思い浮かべますよね。でも、このときは違いました。
ジンバラン湾に陽が沈む頃、空はやわらかなサーモンピンクに染まり、漁を終えた船がゆっくりと戻ってきました。淡い朱はグレーへと変わり、まるで薄墨を流したように、その深みを増していきました。やがて、あたりは闇と静寂に包まれ、波の音だけが私の心を浸すように、いつまでも耳に残りました。
これを見たとき、私はガルーさんの描いた『黄昏の静謐』を思いました。水田が夕暮れの空の色を宿し、淡い朱からやがて来る夜を感じさせる青みがかったグレーまで徐々に変化していく様が、ガルーならではの繊細な筆使いで描かれています。家鴨たちが影絵のように見えるのは、まさに静謐なモノクロームの世界です。
この絵を素晴らしいと思うのは、見る人の視線をいざなう絵作りです。
最初に目を惹きつけられるのは中央にある高い椰子ではないでしょうか。そして、この絵の中で唯一強い色が使われている女性の姿に視線が落ちると、今度は、彼女が見ている家鴨使いの少年の方へといざなわれます。水田に映る空の色の美しさと言ったら、グラデーションがうっとりするほど見事。この静寂な風景に、家鴨のシルエットが面白さと動きを加えています。これらを堪能した後、少年の視線を追うように棚田の方へと導かれ、最後は遠景の山々の向こうにすーっと抜けていきます。こんなふうに、絵全体を楽しませてくれた後は、先ほどの波の音のようにすがすがしい余韻を残してくれるんです。
「本物の絵が持つ力」を感じる瞬間です。ぜひ実物を見ていただきたいと思いました。そこで、この『黄昏の静謐』を9月27日(日)開催の第4回バリアートサロンで展示することにしました。当日はバリ絵画の歴史とともに、様々なジャンルの作品をご紹介しますので、ぜひお越しください。詳しくはこちらをどうぞ。
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第4回バリアートサロン開催のご案内 9月27日(日)11:00〜@有明ショールーム
ガルー作品ページ 人気女流画家ガルーの作品が他にもいっぱい
バリ&ロンボク旅日記 ちょっとアートな風景
こんにちは、坂本澄子です。
夏、あっという間に終わっちゃいましたね。急に肌寒くなり、慌てて長袖を出していたところに、今年もまた、写真家のTOMU SHIBAKIさんからバリ島とロンボク島の写真が届きました。その数、なんと2,098枚。どれも「あ〜、また、バリに行きたい!」と思うものばかり。この中から、皆様にもぜひ見ていただきたいなと思った、「ちょっとアートな光景」20点をセレクトしました。昨年もFacebookに投稿してご好評をいただいたTOMUさんの写真、ご一緒にお楽しみください。
のどかな田舎の風景がウリだったウブドにも開発の波が押し寄せ、その懐かしい風景が少しずつ変わりつつあります。寂しいと思う反面、伝統とモダンをうまぁくミックスして、新しい風景を作り出しているところが何ともバリ流だと思うことがよくあります。
ウブドにできた3階建ての新築のヴィラ。建築規制が厳しいバリでは、少し前まで3階建ては珍しかったのですが、今やこの形が定番なのだそう。その屋根の瓦にこんな可憐な白いお花が。プルメリアでしょうか。こんなちょっとしたところにも、バリのおもてなしの心を感じて、嬉しくなりました。
さて、いまバリで人気のホテルと言えば、アヤナリゾート&スパでしょうか。ジンバラン湾を見下ろす35mの崖の上に広がる広大な敷地。特に、絶景の夕日が楽しめるロック・バーは話題のスポットですが、それ以外にも様々なアートが、訪れる人の目を楽しませてくれています。
エレベータの扉が開くと、思わず目をひくオブジェたち。流木から伸びた足にガラスの靴。そして、壁にはそれらを取り巻く青いガラスのお皿が。何とも不思議な童話の物語のような世界に、時間を忘れて、見入ってしまいました。
バリに来て真っ先に感じるのは光の眩しさ。光と影の織りなす光景はそれだけで絵になります。バリアートショールームでご紹介している絵画作品にも光をモチーフにしたものが多いのはそのせいかもしれませんね。
そして、次はと言えばカラフルな色たちです。バリ島でスーパー・マーケットに行くと、所狭しと珍しい南国の果実が並んでいます。このピンクの果物はドラゴンフルーツと言って、ゴツゴツした皮を半分に切ると、あら意外、白い果肉に小さなツブツブの種。勇気を出して食べてみると、大人のバリの味がしました。
グロテスクな姿からは想像できないほどロマンチックなのがお花。真夜中に一夜だけ咲くのです。青みがかった白い花はまるで満月の光を受けて輝いているように見えました。
こちらはマンゴーの仲間でしょうか? 何だかわからないけど、見ているだけで楽しくなってきませんか。水玉模様を描いたら、まるで草間彌生さんの世界ですね。
この続きは、明日から「バリアートショールーム」のFacebook pageに毎日1点ずつ投稿します。Facebookをお使いでない方でもご覧になれますので、ぜひ毎朝アクセスしてみてくださいね。Facebookをお使いの方は、「バリアートショールーム」にいいね!してくださると嬉しいです。