ヤングアーティストスタイルの新星
こんにちは、坂本澄子です。
今日はヤングアーティストスタイルの画家、SUJAさんをご紹介します。
今まで気がつかなかったことが正直悔やまれます。
それくらい、すごい画家、いい作品です。
さっそくまいりましょう。
1点目は、『チャロナラン』を題材にしたバリ島らしい作品です。
神社の境内でチャロナラン劇を行う近景から、遥か遠くのアグン山まで、視界が爽やかに広がっていきます。
アグン山の麓にはカルデラ湖があり、湖面を航行する船も。
デザイン的なシンメトリーな構図とポップな色使いが、ヤングアーティストスタイルの特徴ですが、SUJAさんの作品の魅力は、風景画としても十分楽しめるところ。
そして、人物の表情がひとりひとり丁寧に描きわけられているため、人々の活気が伝わってくるとともに、品のよさも感じます。
バロンとランダの金の装飾やふわふわした毛の質感にも、画家の力量がしっかりと表れています。
2点目は、『羽衣伝説』の物語を題材にした作品です。
ある日、水浴びをしていた7人の天女たち。その様子を隠れ見ていた男に、体に纏う布を隠されてしまい、天に帰れなくなった末娘の天女。仕方なく天女はその男の妻になり…
バリ絵画ではよく取り上げられるモチーフ。
バリ島できっとご覧になったことがあるでしょう。
しかし、SUJAさんの絵は一味も二味も違いました。
深い熱帯の森にいるような風景の臨場感。
そして、水の描写が素晴らしいと思いました。
木々の緑を映し込んだ色使いと天女の肌が見えるような透明感。
画家がきっと最もこだわった箇所ではないでしょうか。
3作目まいりましょう。
アグン山を背景に、プサキ寺院を臨む壮大な作品です。
低くココカン(白鷺)が舞い、さまざまなお祭りの場面が俯瞰するように描かれています。
SUJAさん、サインがまた素敵なんです。
絵の一部としてサインを描くセンスはさすがです。
作品の中、探してみてくださいね。
お問い合わせはこちらから、お気軽にどうぞ!
さて、先週ご紹介したソキさんの『バリ島』、その後の写真を送っていただきました。
先週はまだざっくりとした彩色の段階でしたが、左下の島の部分から、徐々に細かな描きこみが進行中しています。
3月半ば過ぎには完成した姿をお目にかけられると思います。
どうぞお楽しみに!
アトリエ訪問④ ソキ
こんにちは、坂本澄子です。
バリ島のアトリエ訪問、いよいよ最終回となりました。
トリはやはりこの方、ソキさんです。
バリ絵画に新風を吹き込む鮮やかな作風で、「ヤングアーティスト」と呼ばれる、新進アーティストの第一人者として一世を風靡したのが’60年。
以来ずっとバリ絵画の第一線を走り続け、日本にも多くのファンが。73歳になられる現在も、絵に対する情熱は健在です。
さっそくアトリエを見せていただくと、完成した作品に混じって、『バリ島』の下絵を発見!
バリアートショールームでも、制作のご依頼が多い作品です。
今回の滞在では、かなりの数のギャラリーを見て回りましたが、どこに行ってもソキさんの絵がありました。
でも、この『バリ島』だけは、ついぞ目にすることはなく、いわば幻の人気作品。
そんなこともあり、思わず、「もう売約済みですか?」と身を乗り出すと、ラッキーなことにまだフリーとのこと。
もう少し進んだらお声かけてくださいと、お願いしておきました。
そして、1ヶ月。
大作のため、まだ五合目あたりですが、お早めにご紹介したくて、写真を送っていただきました。
90x125cmの大迫力サイズです。
これなら、ぎっしりとつまったバリ島のエネルギーを毎日たっぷり浴びれますね。
これから細かい描きこみを行い、完成は3月中旬の予定です。
そして、もう一点。
『バリ島』と同じく、青い海を描いた作品が完成しました。
こちらは祭礼の様子と海を水平分割した、ソキ作品では珍しい構図です。
1:2の横長サイズは、ソファの上などにすっきり飾れて、お部屋を華やかにしてくれますよ。
価格等の詳細につきましては、こちらからお気軽にお問い合わせください。
<関連ページ>
アトリエ訪問③ ウィラナタ-後編
こんにちは、坂本澄子です。
今日はバリ島アトリエ訪問記、ウィラナタの後編をお届けします。
その小さめの絵は、ウィラナタさんの描くいつもの作風とは違っていました。
新しい題材、技法に挑戦するとき、小さめの習作からスタートすると話してくれたことを、まさに実践中というわけです。
昨年は10点の絵を描いたそうです。
大きな作品が多く、しかも緻密な描き方を思うと、その集中力には驚くばかり。
でも、それよりすごいと思ったのは、よくこれだけ新しい絵のイメージが次々と湧いてくることです。
「そのインスピーレーションは、一体どこから?」
「風景を見て回ることと、あともうひとつは、インターネットで西洋の風景画を見ること」
それを聞いて、ようやくいつもと違うと感じた理由がわかりました。
光と人物の関係がいつもと逆になっていたのです。
西洋絵画は人物に光を当てて描かれることが多いのに対して、ウィラナタさんの作品の多くは逆光で描かれています。
すると、カメラを向けた時と同じで、人物は暗くなり、周囲を包む風景へと、見る人の意識は広がります。
それが幻想的とも言える独特の雰囲気を作り出し、作品の魅力ともなってきたのですが、ウィラナタさんはそれで満足することなく、新しいことにチャレンジされていたわけです。
現在の洗練された作品は、このような人知れぬ努力の積み重ねがあったからこそだったのですね。
もう一点、描き始めたばかりの作品がありました。
そのときは、まだざっくりとした明暗と配色程度だったのですが、それが先日ほぼ完成し、写真を見せてもらいました。
ペネノン(Penenon)とは、ウィラナタさんの村に伝わる、伝統的な陶磁器を作る場所のことで、日本の窯とは違い、このように屋外にあるのが一般的だとか。
このように特徴的な形をしており、飲み物や硬貨を入れて使われるそうです。
陶磁器を焼く女性、天日干しされた壺を確認する男性、沐浴する女性…
光の中で滲んで見えるような、あの逆光の世界です。
残念ながら、この作品は注文を受けて描いたものだそうで、みなさまにご提供することはできませんが、ウィラナタさんの作品に関心を持たれた方には、過去作品の小冊子を差し上げています。(残数わずか)
今回の訪問で、ウィラナタさんの絵に向き合う真摯な姿を目にし、ますます応援したいと思うようになりました。
<関連ページ>