バリアートのある暮らし 濃密な深いエネルギーを感じる風景
こんにちは、坂本澄子です。
突然ですが、
高額な絵の場合、やはり実物をご覧になりたいですよね。
今日お便りをご紹介する、大阪府吹田市のA様も、昨秋のバリアートサロンに申し込みをいただいていたのですが、急にご都合がつかなくなり、「次の機会にぜひ」と申し上げたものの、大阪からではなかなか…。
春の足音を微かに感じる2月のある日、A様からWIRANATAさんの『静寂に包まれる朝』の購入について相談したいと、ご丁寧なメールを頂戴しました。
「もし東京へ来られるついでがありましたら、お姉さんのガルーさんが描かれた風景画など、他にも作品をご覧になって決めていただけますよ」
そうご案内したところ、既にこの作品に決めておられるとのこと。
そこで、お受け取り後、一週間以内であれば、理由に関わらず返品可能であることをお伝えして、ご安心いただきました。
そして、いただいたお便りがこちらです。
**********
想像以上に、濃密な深いエネルギーを感じています。
朝の太陽の光に包まれながら、大自然の生命が躍動し始め、また、人間の日常も大自然の営みに溶け込んでいる光景、
戻りたい場所に出会えたような、懐かしさと大自然の源のような力強さも感じています。
素晴らしい絵に出会え、私の日常や地球が豊かな光に包まれていることをあらたて感じ
ています」
**********
本当に嬉しかったです。
私がこの絵から感じたことを、同じように感じてくださる方があり、感動は連鎖するものですね。
A様は昨年NHK Eテレ『明日も晴れ!人生レシピ』をご覧になり、初めてバリ絵画をお知りになったそうです。
私の小さな活動が実を結び始めた嬉しさに、身が引き締まる思いです。
繊細な風景画のように、写真ではお伝えしきれない作品も、現物をご覧いただくことで、ご納得いただけると思います。
地方にお住いの方も、東京方面に来られる機会がございましたら、ぜひお気軽にバリアートショールームにお越しください。(事前にご予約をお願いします)
また、さらに嬉しいことには、A様は番組の中で紹介された、私が描いた桜の絵をご覧になって、
「こぼれるほどに花が咲き誇った桜の木の絵に、何とも言えない感動を受けた」と言ってくださいました。
折しも、桜が咲き誇る季節。
100号の大きな桜の絵を取り出してきて、ひとり夜桜を楽しみました。
花いっぱいの春。
季節のオススメページ「SWEET FLOWERS」もどうぞご覧になってくださいね。
クリキ村に伝わる細密画ができるまで
こんにちは、坂本澄子です。
「これぞバリ絵画」と胸を張ってご紹介できる新作が完成しました。クリキ村に伝わる伝統的な手法で描かれた細密画です。
このところ、飾りやすい花鳥画、風景画が多かったのですが、バリ絵画を扱う者としては、伝統絵画もきちんとご紹介したいという思いがあり、昨年末から題材を検討していました。
*****
輪廻転生を信じるバリ島では、死は終わりではなく、新たな生の始まりと考えられており、とても盛大な、まるでお祭りのような火葬の儀式が行われます。
きらびやかに装飾された多重の塔は棺を乗せ、火葬する場所まで運ぶもの。最近は下に小さなタイヤがついて、日本のお祭りでも使われる山車のように押して歩けますが、以前は村人総出でお神輿のように担いでいました。
そして、火葬に欠かせないのが、ランブー。牛を象った火葬用の棺です。写真をご覧ください。こんなに大きいのですよ。
そして、会場に着くと、そびえ立つやぐらのようなものを使って、塔から棺を下ろし、張り子状に空洞となった牛の体内にご遺体を移し、火を放ちます。金銀で美しく模様が描かれたランブーが、焼け落ちていくのはもったいないほどです。
そんな壮大な儀式を思いながら、細密画の伝統絵師のライさんにお願いしました。
*****
それでは、『王家の火葬式』が完成するまでをご覧ください。
まず、画用紙をベニア板に水張りしてもらいました。
水張り?
はい、日本画などでよく行う手法で、画用紙にたっぷりと水を含ませ、濡れた状態でベニア板に張り付け、テープで端を固定します。乾くと紙が縮むため、シワがピーンと伸び、少々水を含んだ絵の具を乗せても、画用紙がヨレヨレになることはありません。
おおらかなバリ島では普通こんなことはしませんが、少しでも良い状態で作品をお届けしたいと、Youtubeで水張りの動画を見てもらったところ、ライさん、興味津々でやってくれました。
次に下絵です。
鉛筆で細かく下絵を描いていきます。バリの伝統絵画の特徴は、下絵をしっかり描くこと。絵の具を塗りながら、形をとっていく西洋絵画とはアプローチが異なります。100人を超える村人たちもひとりひとり丁寧に描かれました。
下絵が終わると、墨で輪郭をとりながら、影になる部分に陰影をつけていきます。墨の薄め加減を調整し、ざっと五段階くらいでしょうか。
そして、彩色にかかります。
塔には様々な装飾が施されていますが、細かい描き込みは一通り色を塗ってから、全体のバランスを見ながら、仕上げていきます。
このように細かい作業を積み重ねて、ようやく完成!!!
塔の装飾もここまで描き込まれました。
様々な色が使われていますが、全体として落ち着いた色調でまとまっており、伝統絵画らしい格調高い仕上がりです。
ちなみに塔の階数は奇数と決まっており、多層になるほど、身分が高いことを表すそうです。
この塔は数えてみると11層ありますが、11層が最大で王族の儀式であることがわかります。
絵師としたの腕のよさももちろんですが、この細かい作業を継続する集中力と忍耐力は感動もの。
クリキ村はウブドの喧騒から離れ、今でも農業中心の静かな村。細密画発祥の土地として、腕のよい絵師が多いことでも有名です。なかでもライさんは、壮大な構図の作品が描ける高い力量の持ち主。バリアートショールーム5周年にふさわしい作品を描いていただきました。
伝統絵画をお探しなら、ぜひ!自信を持っておすすめします。
季節のオススメ 花の力をいただく
こんにちは、坂本澄子です。
高知での開花宣言第一号を皮切りに、桜前線北上中。東京でも桜のつぼみがふっくら。あと数日で咲き始めそうです。皆様の街ではいかがですか?
年を重ねるごとに時の流れが早くなると感じるこの頃、今年こそはゆっくりと、春の花々を楽しみたいなと思っています。
さて、先日、ラジッグさんの花の新作をご紹介したところ、嬉しい反響をいただきました。
ラジッグさんのいつもの画風と違うので、「あれ?」っと思われた方もあったかもしれません。
実は、ラジッグさん、これまで2回、大きく画風が変わった時期があるのです。
画家の画風が変わることは珍しいことではなく、ピカソなどは、愛する女性が変わるたびに画風が変わったというエピソードもあるくらい。
5年前に初めてアトリエに伺ったときには、既に今回ご紹介したような、花びらを間近にとらえた、大きな絵を描かれていました。
自宅ギャラリーには、おなじみとなった、額からはみ出すように描かれたそれまでの作品と、花の大きな作品がちょうど半分:半分。さらにはご近所の絵描きさんたちの作品も加わり、とても賑やかでした。
日本のお客様には前者の作品のファンも多く、バリアートショールームでは、あえて前のスタイルにこだわり、写真のようなバリ島らしい熱帯花鳥画を中心に制作をお願いしてきました。
画家としての表現スタイルが変わっておられるのに、わざわざ以前の画風で制作をお願いするのはどうなのかしら…と思うところはありましたが、ラジッグさんご本人はいつも快く引き受けてくださっています。
そんな中、今の作風をご紹介したいと思ったきっかけは、あるお客様の「見ていると元気が湧いてくる絵ですね」というお言葉。形よりも、絵から伝わってくるものが大切と、今更ながらに気づきました。
ラジッグさんは花や鳥をしっかりと観察し、花びら一枚一枚の微妙な表情を丁寧に描きわけておられます。
確かな技量が、匂い立つような、みずみずしい花の生命力となり、見る人に元気を与えてくれるのだと思います。
本格的な春はもうすぐそこ。
新生活を始めるお部屋に、春の風を呼び込んでみませんか。
詳しくは、《新作情報》春です!ラジック FLOWERSをご覧ください。3点追加。
LABAさんの絵が繋いでくれたご縁
こんにちは、坂本澄子です。
バリの画家さんたちの絵を扱う傍ら、私自身も画家として小さな歩みを始めています。
昨年、その様子がNHKで紹介され、私の作品にもお問合せをいただけるようになり、とても嬉しく思っています。
そこで、今日はちょっと照れくさいのですが、プンゴセカンの巨匠・故LABAさんの作品が繋いでくれたご縁で、岐阜県の児島さまからご依頼いただいた、とても大きな絵(173x150cm)のお話をさせてください。
舞台は、築100年を超える古民家です。
以前は土間だった場所をリノベーションし、吹き抜けの玄関ホールが作られたのは10年前のこと。
以来、「壁いっぱいの大きな絵を飾ることが夢だった」とおっしゃる児島さまは、第一弾として、昨年10月、1階部分にLABAさんの遺作『緑にいだかれる午後』を購入されました。
それがご縁となり、2階部分の絵のご相談をいただき、
「LABAさんの絵と横幅(150cm)を合わせて、天井まで届く絵を描いてください」
と、ご依頼を受けるまでになりました。
この玄関ホールには他にはない、「ある特徴」がありました。
それは、天窓から差し込む長方形の光。
磨りガラスを通して、昼間は柔らかな陽射し、夜は幻想的な月の光が、それぞれに空間を彩り、その位置の変化で、季節の移り変わりを感じるのだそう。
児島さまからそんなお話を伺いながら、私の脳裏に浮かんだひとつのイメージが、絵になりました。苦労したのは満月の光の輪。3回失敗してやり直し、4回目でようやく納得の行くところまできました。
そして、3月7日。ついに納品の日がやってきました。
リノベーションを担当された建設会社さんが来られ、4人がかりで、30㎏を超える巨体をひっぱりあげていただきました。
さすがはプロ。足場の不安定さなどものともせず、テキパキと作業は進みます。
ついに、2点の絵が対になりました。おつかれさまでした!
真ん中の和服姿が児島さま、屈強な(?) 男性たちは野村建設さんのみなさんです。
児島さまは着付けの先生。この後、ランチをいただきながら、和の美についてお話が盛り上がりました。私も古典模様に凝っていて、実はこの作品にも蓮の葉の陰の部分に、隠し味的に青海波を描いているんです。
児島さまには1月に東京で制作途中をご覧いただいたのですが、その時のことが、ご自身のブログの中で、着物との掛け合いでとても素敵に紹介されています。
「ひと夜月夜と真綿紬のお正月」も、ぜひご覧になってみてください。
「いつか個展が開けたら、和服でお客様をお迎えしたい」、それが次の目標になりました。
<関連ページ>
この記事を投稿しました後、児島さま、野村建設さま、それぞれに素敵なブログを更新されました。合わせてご紹介させていただきます。