2つの光が映し出す幻想世界
こんにちは、坂本澄子です。暮れも押し詰まってまいりました。昨日が仕事納めだった方も多いのではないでしょうか。
ウィラナタの新作『満月の夜に(仮題)』がついに完成しました。蒼白い満月が水面を照らし、幻想的に空間を映し出しています。そして、この絵にはもうひとつの光が。田圃の脇に置かれた祠を照らすランプと篝火の暖かみのある光です。
質感の異なる2つの光がひとつの絵の中に描かれることで、異なる時空間が共存するような不思議な感覚を覚えます。
「これは意図してそうしたのですか?」
思い切って画家本人に聞いてみました。
でも、彼は静かに微笑んだまま。まるで、どう感じるかは受け手次第と言っているようです。
月の満ち欠けと密接に暮らすバリ島では、満月は永遠の平安をもたらすと言われ、大小さまざまな祭礼が行われます。
この作品に描かれているのは、家族を中心とした比較的小さなもので、左側の祭壇に安置された聖水を使って祭事が行われます。右側の祠(ほこら)には、作物の実りを司る神様、デウィスリが祀られており、今夜は田植えが無事に行われるよう祈願する祭事が行われようとしているところ。
祭礼の準備をするおとなたちに混じって、中央で篝火をかざして田圃を覗き込んでいる少年は画家本人です。田うなぎや水中の昆虫を捕まえた少年時代のワクワクするような思い出が、祭りの前の高揚感と重なり合っています。
ウィラナタが最も影響を受けたというドイツ人画家シュピースも、ひとつの絵の中に複数の時空間を描きました。この作品にもそんなニュアンスが感じられます。
姉ガルーの新作入荷とちょうどタイミングが合いました。そこで、新作2点を含む2人の画家による幻想心象風景画の作品展を行うことにしました。
1月23日(金)、24日(土)の2日間、場所は夏にウィラナタの新作鑑賞会を行った銀座のRONDOです。
この作品、あなたの目にはどう映るか、ぜひご覧になってくださいね。
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ドイツ人画家シュピース 現代バリ芸術の父とも呼ばれ、バリ絵画に最も影響を与えた西洋人のひとり
聖夜を彩る光たち
こんにちは、坂本澄子です。
平成になって以来、イブよりも、祝日の23日の方が盛り上がるようになったのではないでしょうか。先日の寒さはどこへやら、東京は超ポカポカ陽気。ホワイトクリスマスにはなりそうにありませんが、夜になると美しいイルミネーションが街を彩っていました。
最近は青が人気、夜空をイメージさせる色ですね。写真左が六本木のミッドタウン、右が以前にもご紹介した目黒川です。春の桜の代わりに、幻想的な光の花がこぼれるように咲いていました。
一方、丸の内のシャンパンゴールドも捨てがたいですよね〜。嗚呼、ゴージャス。
ちなみに、有明ショールームからはゲートブリッジの夜景が見えます。写真ではちょっとわかりにくいですが、昨夜は特別バージョンだったのか、色が赤、緑、青と橋を照らす光の色が変わっていました。いつもはだいたい青の単色なんですけどね。高速道路が橙に浮び上がって流線形を描いています。
こうしてみると、光は足元だけでなく、心を照らしてくれる存在でもあると思います。
そう感じさせてくれる作品が完成しました。ウィラナタの『満月の光の下で』です。
彼の少年時代の記憶を再構成し、満月の夜の祭礼をテーマに描いたこの作品。この画家の特徴である光の描写が、にかくもうすごいんです。しかも、この作品には質感の異なる2つの光が描かれています。
続きは土曜日のブログで^_^
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ウィラナタの姉ガルーの新作を入荷・・・幻想的な心象風景を描く女流画家
3ヶ月からレンタルします
こんにちは、坂本澄子です。
寒いですね〜。毎朝のお散歩がだんだんとショートコースになってきました。実はケン(フレンチブルドッグ♂3歳)も寒がり。娘が去年クリスマスにプレゼントした赤いジャケットを来て出かけても、トイレを済ませたら早くも「帰ろうよ〜」モード。寒さもへっちゃらなワンコのイメージは、ケンに出会ってからもろくも崩れさってしまったのでした^o^;
さて、今日は新しいサービスについてご紹介します。
以前から、やりたいと思いつつ、なかなか決心がつかなかった絵画レンタル。2つの作品を対象に試験的にやってみようと思います。
<対象作品は若手新進作家ボリのモダンなバリ絵画>
作家のボリは26歳、若手新進作家として数々の賞を受賞、近年注目を集めています。瑞々しい感性で描くモダンな作品はバリ島のリゾートホテルでも採用され、多くの人の目を楽しませています。
【写真】 画家と自身の作品が採用されたバリ島・サヌールのホテル客室にて
120cmx100cmのラージサイズ。ゴールドのボックスフレームに包まれ、スタイリッシュな印象です。広めのリビングやサロン、オフィスのロビーなどにおすすめ。大胆な構図と色使いが華やかな空間を演出し、気分をあげてくれます。
3ヶ月レンタル価格:20,000円(税込・全国配送無料)
② 『Sunlight Smiling Ⅲ 』- BOLIT
50cmx150cmの人気の横長サイズ。ソファの後ろの壁がちょっと淋しいと思ったら、こんな作品はいかがでしょう。シックなインテリアにもすっきりと馴染みます。
3ヶ月レンタル価格:20,000円(税込・全国配送無料)
<3ヶ月後は3つのオプションから>
のいずれかが選べます。もちろん、ご返却後に別の作品をレンタルするもよし♫
<今ならさらにおトクな特典が>
この作品は12月末まで歳末感謝セールで特別価格80,000円。そこで、12月末までにレンタルを申し込まれたお客様に限り、3ヶ月後もこの特別価格との差額料金でご購入いただけます。つまり、プラス60,000円でOK。
お問い合わせ欄に、レンタル希望「作品名◯◯◯」とご記入の上お送りください。
ところで、これまで決心がつかなかった一番の理由は、レンタルから戻った作品をどう扱うか…です。もちろん新品として販売することはしません。つまり、3つのオプションのうち、①は最初にレンタルされた方だけの特典となります。
作品を仕入れる時の基準はいくつかありますが、最終的にはその絵を自分ならほしいと思うかどうかで決めています。ですから、どの作品にも思い入れがあります。レンタルという限られた期間の中で、お客様にその思いを共有していただけるかどうか…、正直悩みました。ですが、これまでの経験から私なりに得た結論は「絵が好きな人はステキな人ばかり」。だったら、やってみようと思いました。
レンタルに関するご意見もお待ちしてま〜す。
完成!ガルー新作『朝のセレモニー』
こんにちは、坂本澄子です。
今日はバリ島最大の祭礼のひとつ、ガルンガン。善が悪に打ち勝ったことを祝い、先祖の霊が降臨するお祭りで、一斉に各家の前にベンジョールと呼ばれる竹飾りが立てられます。それはもう壮観ですよ。
バリのお母さんたちは豚を屠り、お祭りのご馳走を作ったり、お供え物の準備をしたりと、ここのところずっと大忙しだったことでしょう。
さて、今日は幻想的な心象風景画で世界を魅了する女流作家、ガルーの新作のご紹介です。
そう言って、そっと見せてもらったのが11月の半ば。その時はまだ6〜7割程度の完成度といったところでしたが、目の前に高い椰子の木がそびえ立つ、ちょっと変わった構図を見ただけで、
横幅3mの大作を始め、
ウブドも近年開発の波が押し寄せ、のどかな田園風景や伝統的なライフスタイルは次第に変わりつつあります。そんな様子に目の当たりにし、この美しい風景がいつまでも続いてほしいと、切なる願いを込めて描かれた作品です。
では、全貌をご覧ください。
コントラストのある描き方をしているため、少し離れた場所から見ると奥行きのある風景画として楽しめます。そして、近づいてみると、物語の場面のような繊細な描写にぐいぐいと引き込まれていくんです。グリコじゃないけど、まさに二度おいしい作品。
この作品、ぜひ実物をご覧いただきたいのですが、次回絵画展は春になるため、ご希望の方には個別に内覧会をご案内します。こちらのフォームからお申し込み下さい。
それにしても、ガルーさんってステキですよね。女性の私から見てもうっとりしちゃいます〜。
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満月の夜の思い出を描く
こんにちは、坂本澄子です。
前回のブログで、満月の夜の思い出をお話しましたが、子供の頃の美しい思い出を持つ人がここにもいました。バリ島の画家ウィラナタです。
初めての方に少しご紹介します。ウィラナタは「現代バリ芸術の父」と言われるドイツ人画家シュピースに強く影響を受け、熱帯の幻想的な風景を描き続ける画家。自身の少年時代の思い出を光で表現した独特な心象風景画で定評があります。(特集ページはこちら)
バリ島を代表する美術館、プリ・ルキサン美術館、ネカ美術館(写真は『村の風景』)などがその作品を所蔵・展示しており、世界中から訪れる人々を魅了しています。実は私もそんなひとり。初めてネカ美術館を訪れた時に気になった絵が、実はウィラナタの作品だったのです。それがわかったのは随分後になってからなのですけどね。
以前、アトリエを訪れたとき、彼の奥さんとお母さんが満月の祭礼の準備をしていました。アトリエの中にある小さな祭壇にチャナンを供え、聖水で場を清めていく様子は、バリでは珍しい光景ではありませんが、
「満月は永遠の平安をもらたすんだ」
ポツリと言ったその一言が、私の心の中にいつまでも消えない余韻を残し、彼に満月をテーマに制作を依頼することとなったのです。それがわずか数週間前のこと。
「次々とイメージが湧いて来るんだ。描いていて楽しくて仕方ない」
そんな言葉が添えられて、写真が送られてきました。
(え、もうこんなにできてる?!)
売れっ子作家の彼に依頼して、こんなに早く進んだことは正直初めて。それくらい、この絵にぐぐぐーっと傾倒しているのでしょう。
満月が棚田の水面に写り、明るく照らし出された空間がありました。田圃の脇の小さな祠の回りでは家族が祭礼の準備をしています。そして、ほぼ中央には小さな松明を手に畦道を照らす少年が。きっと画家自身に違いありません。
(彼らしい…)
そう思って何だか嬉しくなりました。今回もいい絵になりそうです。
さて、満月と言えば、嬉しいお知らせが。
私の大好きな写真家、澤野新一朗さんから、来年ついにバリに行くとの連絡がありました。以前このブログでもご紹介させていただきましたが、澤野さんは南アフリカの大地を20年以上に渡り撮り続けている、自然と人の調和をテーマとした写真家。NHKのドキュメンタリーにも取り上げられるなど多忙な毎日。バリ島で満月の夜を撮りたいと、もう随分前から言っておられましたが、ようやくスケジュール調整がつきそうとのこと。
自然と人の調和はまさにバリの人々の生き方にも通じるものがあり、澤野さんには絵画展にもよく来ていただき、「いつかコラボしたいですね」とも。この絵が完成したら、そちらも実現できるといいなあ…と夢を膨らませているところです。
今日から25日まで、澤野新一朗写真展『THE COLOR OF NATURE』が千代田区六番町の飯田弥生美術館ギャラリーで開催されます。アフリカの大地の雄大さと澤野さんの気さくな人柄にきっと癒されますよ。
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惜しみなく時間と手間をかけた作品
先週、以前ご紹介した赤坂の創作フレンチのお店(でもおもてなしとインテリアはBALI)セナンで、前から気になってたブイヤベース鍋をいただいてきました。
ここのところ、東京もぐっと寒くなり、たっぷりのお魚のアラを一日半も煮込んで作ったスープはとにかく奥が深く、いろんなお味が口の中でハーモニ〜。じわ〜と冷えた身体に染み渡りました。中には、ホタテ、手長海老、はまぐり、そして、旬のお魚が二種類、一尾まるまる入っていました。北海道産のほたてはヒモをとってもぷっくりと丸いのが特徴なんだそう。はふはふ言いながらいただきました。
この店のお料理は旬の素材を手間と時間を惜しみなく注ぎ込んで仕上げる創作料理。シェフが半日、まる一日つきっきりで作るものも。先月行ったときも、にんじんを半日煮込んだ後、仕上げにオーブンで水分を飛ばし、さらに裏ごしした、「え、これ何?」と思うオリジナルな一品が。とにかく研究熱心なんです。他では食べられないですよ、こんなの。
この姿勢、絵にも通じるものがあります。バリの画家も細部に至るまでじっくりと時間をかけて描き上げます。そして何度も推敲を重ね、ようやく一枚の絵が出来上がる。作品に向き合う時間が長い程、画家の思い入れは強くなり、絵から伝わってくるものも強くなります。早さや効率が重視される今、とても大切なことだと思うんです。
ところで、このお店はビルの7Fにあり、写真の通り、間口の広い窓から空を見ながら食事ができます。ベランダに出ると、オーナーの志村香奈子さんが自らバリ島で選んできた石像や木彫りが置かれたバリ空間。冬の間はテーブルがなんとコタツになるんです。半纏を着せてもらい、空を見上げると、都会の灯りに負けないほど明るい月が雲の間に。そう言えば、小学生の頃初めて夜更かしをして皆既月食を見た夜も、こんな寒い冬の日でしたっけ。
都会の真ん中にいながら、これほど宇宙を感じられる場所ってなかなかないですよね。ユーミンの『ジャコビニ彗星の日』のワンフレーズが流れてきました。
月を滑る雲と柿の木揺れてただけ…。
と、口をあけて空を見上げていた姿がおかしかったのか、「満月に向けてお財布を振ると、お金が増えるらしいですよ〜」と茶目っ気たっぷりに香奈子さん。
「え、ほんとっ?!」
お財布をモーレツに振ってしまった私、ムードも何もありゃしない…(^o^;
いよいよ年の瀬もせまってまいりました。歳末感謝セール、御陰さまで残りわずかとなりました。私もほしい!と思う作品ばかりを選んでいます。 そんな思いに共感してくださったら嬉しいです。
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歳末感謝セール 特におすすめの作品をピックアップしてご紹介しています
セナン・赤坂 都会にいながら空を感じる場所
ウブド在住20年の日本人画家
こんにちは、坂本澄子です。
東京・柴又で個展を開催中の画家の吉川孝昭さんにお会いしてきました。
10月に夕刊フジの人気コラム「人生二毛作」の執筆者・大宮知信さんに取材をしていただいた際に、「バリで絵画と言えば…」と紹介してもらったのがきっかけで、個展におじゃましてきました。
今回のテーマは「寅さんが歩いた日本の風景」。あれ?寅さん…???
吉川さんが熱血中学教師の職を辞し、ご家族と共に新婚旅行の思い出の地バリ島に渡ったのは’91年のこと。ウブドの山の中に家を建て隠遁生活、孤独な環境に自らを追い込み、画家をめざしてひたすら絵を描き続ける日々だったそうです。ところが、堅い決心で行ったものの、ホームシックとスランプから一時は精神的にかなりツラい状態に。このとき、救ってくれたのが、寅さんの映画『男はつらいよ』のビデオだったそうです。むさぼるように観て、力をもらい、以来寅さんの大ファンに。その後、努力の甲斐あって絵も売れるようになり、5年前に帰国、憧れの柴又にアトリエを構え、全国各地で作品発表する日々を送っておられます。
今回の絵画展は葛飾区の企画展のため、バリを描いた作品は3点ほどでしたが、家鴨使いを描いた『鴨の通る道』は、ウブドで見た風景を思わせ、心にぐっと迫るものがありました。
約2時間、時が経つのも忘れて、色んなお話を聞かせていただきました。
実は、バリ&絵の共通項から、何かご一緒にできないかと淡い下心を抱いていたんですよ。でもね、志が違う。自分の甘さにもうガツンという感じ(^o^;
100年後も残る絵を描きたい。
「この家鴨の絵は10年くらい前の作品で、写実的に描いていた頃のもの。でも、こんな感じの絵は他の画家にも描ける。自分にしか描けない絵、ひとめ見ただけで、吉川の絵だとわかるような絵、そうでないと、後世に残り続ける絵にはなり得ないと思うんです」
展示されていた最近の絵の多くは、写真のように、流れるように直感的に色を置いた水彩画や、叩き付けるような強いタッチで描かれた油彩画。バリをテーマにした作品の場合でも、同じように作風が変わってきているとか。
思わず、「何が描かれているんだろう」とじっと観ているうちに、色んなものに見えて来て、それがまたイメージをかきたててくれる、そんな絵ばかりです。
「半分は神様が与えてくれるもの、同じ絵をもう一回描けと言われたらムリですね(笑)」
会場の寅さん記念館は葛飾区の施設。通常、個展ができるような場所ではない。吉川さんが寅さんを愛し、絵以外でも様々な形で寅さんに関わってきた熱意が認められ、区の企画展として実施、今回で4回目。
全国各地で開催している小さな個展も、寅さんつながりで実現したものがほとんど。好きなものをとことん追求し、人と人とのつながりを大切にしているからこそ、協力者が現れるのですね。
バリもそれは同じ。今は現地を訪れるのは年に数回、1〜2週間ずつですが、一度できた関係は、ヨシカワの依頼ならいい加減なことはできないと相手にちゃんと思わせてる。
近年、のどかな村だったウブドにも開発の波が押しよせ、物価格差を利用して、老後を過ごす場所として訪れる人々、あるいは日本でうまくいかなくなり、現実から逃げるようにやってくる若者たちの姿を見かけることも少なくないそう。
「でも、どちらもよい滞在にはならないことが多い」
お金で人を動かして、一見日々の暮しが回っているように見えても、現地の人たちと人間関係を築いているのとは違う。また、仕事をする中で、約束を果たし、相手と信頼関係を築くといった、当たり前のことができなかった人がバリに来てもやはり結果は同じ。
私はバリにどこまで真摯に向き合えているだろうか。
20年近くウブドに根を下ろして実際に生活された吉川さんと比べたら、まだまだ青いけど、好きになった画家たちの描く絵、その背景にある人柄や考え方に共感し、応援したいと思った気持ちはこれからも大切にしていきたいと思いました。
「また会いたい」と思った人。バリが取り持ってくれた縁に感謝です!残念ながら、柴又での展示会は明日まで。次の展示会のご案内をいただいたら、ご紹介しますね。
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『ある少女の肖像』彼女はいま
こんにちは、坂本澄子です。
風が冷たいですね。ケン(フレブル3歳♂)が落ち葉を追いかけて飛び回っています。
さてさて、今日はちょっと嬉しい経験をしたお話です。
この絵を覚えておられるでしょうか。高校を卒業し、夢に向かって新たな一歩を踏み出したあのウブドの17歳、ウタリです。
彼女の凛とした美しさを絵で残したくて、アンタラさんのアトリエに連れていったのが今年5月のこと。(3分間ムービーで是非ご覧ください)そして、その時私はブログの中で、この作品の売上金の10%をお祝いとして彼女に贈りたいと書いていました。
あれから半年…。
このことはしばらく私の意識の中から遠ざかっていました。ところが、先日あるお客様がこの作品を購入して下さったのです。
「そうだ、お祝い!」
そのことを書いて、絵と一緒にお送りしたところ、お客様はブログに書いたお祝いのことはご存知なかったようで、「感動した。彼女に頑張ってと伝えて下さい」ととても喜んで下さいました。ウタリももちろんとても喜んでくれましたよ。そして、そのことはお客様、そして私をも幸せな気持ちにしてくれました。宝物を自分で隠しておきながら忘れてしまい、ある日それを偶然見つけた、そんな気分です\(^o^)/
バリでは農業か観光業に従事するのがこれまで一般的だったのですが、インドネシア全体の経済成長を受けて、男性だけでなく、女性も専門性の高い職業を志す人が増えてきているんだそうです。
彼女が通っていた共学の高校では、クラスメート25人中9人が大学や専門学校に進学。専攻は看護学校が2名、医学1名、法学1人、経済2人、経営3人といった内訳だそうです。
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近年、ウブドにも開発の波が押し寄せ、ホテルやヴィラの建設によって、美しい田園風景は失われつつあります。村と祭礼を中心とした伝統的な生活も変わってくるのかと思うと、何とも複雑な気分です。
バリもやがて日本と同じ道をたどるのではないか。そんな思いがよぎりました。
でも、古来自然と共存し豊かさを手に入れて来たバリだからこそ、経済的な繁栄と伝統を大切にすることの両方をうまくバランスしていけるような気もします。
ウタリたちの世代がどんなバリを築いていくのか、これからも絵画を通じて、関わっていけたらと思いました。
<関連ページ>
ウタリを描くアンタラさんの姿を3分間のムービーに収めました