画家とのご縁を作るお手伝い
こんにちは、坂本澄子です。
5年ぶりに訪れたバリ島でとても素敵な休暇を過ごされたというM様から、お便りをいただきました。
以前お願いしたガイドさんが素晴らしかったので今回もまたお願いしたい。でも、名刺も残っておらず、覚えているのはイッポンさんという名前だけ。インターネットで調べているうちに「バリアートショールーム」に辿り着いたと、初めてメールをくださったのは3月のことでした。
私も3年前イッポンさんにガイドをお願いしたことがあり、その時ブログに書いていたんですね。それをご覧になったM様からイッポンさんに連絡をとりたいと、ご相談があったというわけです。
イッポンさんは日本人の奥様を持ち、その流暢な日本語と礼儀正しさには、敬意を表したくなるほど。
現在はウブドのヴィラのマネジメントの方が忙しく、しばらくガイドのお仕事はしておられなかったそうですが、M様との再会をとても喜ばれ、ガイドも引き受けてもらえたそうです。一緒に旅行されたお母様もバリをとても気に入られたそうで、来年もまた行きたいと今から楽しみにされています。
ちなみに、イッポンさんの名前のいわれは、日本で仕事をされていた頃、時々友人に「タバコをイッポンちょうだい」とおねだりしていたので、いつのまにか親しみを込めてそう呼ばれるようになったのだとか。
バリ島への旅を重ねるうちに、最初は風景や文化に惹かれていたのが、次第に、人との繋がりがバリへの親しみを増す理由になってきますが、M様の場合もまさにそれですね。
絵の注文制作もある意味、バリ島の画家との縁を育むものだと言えるのではないかと思います。数ヶ月もの間、画家はほぼ毎日その作品に向き合い、注文主が想像する以上に、言葉にならない思いを注ぎ込んでいます。絵を見るたびに、エネルギーを感じたり、穏やかで優しい気持ちになれたりするのは、きっと画家のメッセージが波動となって伝わってくるからじゃないかしら。
そんなバリの画家をより身近に感じていただきたくて、制作状況をお知らせする写真には、できるだけ画家も一緒に写ってもらうようにしています。また逆に、納品時にお客様からいただいた感想は、画家に伝えるようにしています。
バリ島を再び訪れるように、同じ作家にリピートでご注文くださる方もあります。こんなとき、お客様と画家とを繋げる小さなお手伝いができたのではないかと感じて、本当に嬉しくなります。
「第9回バリアートサロン」、開催がいよいよ一週間後に迫ってきました。今回はご注文制作の7つの実例をご紹介しながら、その魅力をお伝えしたいと思います。。まだお席がありますので、5月29日(日)11時〜、ご参加をお待ちしています。詳しくはこちらをどうぞ。
作品にこめられた物語
こんにちは、坂本澄子です。
注文制作の愉しみ、第二回は芸術家らしい画家のご紹介です。ウィラナタ。次々と注文が入り、手元に作品が残らないと嘆いている、なんとも羨ましい売れっ子作家です。
独特な世界を持ち、そのいさぎよさは時に気難しい印象を与えることもあります。それでも、彼の作品に対する考えや思いの深さを知ると思わず納得してしまう、それがウィラナタの魅力なのです。
あるお客様からのご注文制作でこんなことがありました。満月をテーマにした作品です。
お客様は真夜中に近い暗い風景をイメージされており、完成間近にお送りした写真をご覧になって、月の明るさが少し気になられたようでした。
「ウィラナタさんの考えを訊いてみてもらえませんか」
すぐに連絡を取りました。そしてわかったのが、ウィラナタは満月の風景を誰よりもよく知っているということでした。
日没とともに湖に出かけては夜通し釣りをするのが何よりも好きな風流人。放っておけば何日も続けて出かけ、そのうち家族から苦情が出るほど。だから、時間とともに移ろう空はもちろん、水に映った月や茂みに潜む虫たちの気配など、どれも実際の風景から五感を通じて感じ取ったものなのです。
さらに、心象風景画として、物語と情景描写が一致しているのも彼の作品の特徴です。この作品は、日没間もない8時頃、仕事を終えた父と子が空に明るさが残る畦道を帰る場面だと説明してくれました。改めて作品を見てみると、神々しいばかりの月の青い光に対して、手前のランプの光に親子の関係になんとも言えない温かさを感じました。
「だから、この空の色は自分としてはパーフェクトだと思っている。逆にそれを変えてしまうと、作品全体のコンセプトが壊れてしまうんだ」
こんなやりとりを通じて画家の思いを知り、完成した作品にさらに愛着を感じていただいたできごとでした。こんな経験も注文制作ならではの醍醐味、次はぜひ真夜中の満月をテーマにいかがでしょうか。
「第9回バリアートサロン」5月29日(日)11−12時@東京・有明はこういったご注文制作の実例をいくつもご紹介しながら、世界でただ一つの作品ができあがっていく愉しみをお伝えしたいと思います。詳しくはこちらをどうぞ。
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画家と作りあげた至福の時間 - アンタラ
こんにちは、坂本澄子です。
画家にはいろんなタイプがいます。自分の作風を守り、深みを増していく画家、新しいものにチャレンジし続ける画家。画家としての持ち味はもちろん、人となりに触れられるのは、依頼して描いてもらうときなんです。そこで、3回にわたって、注文制作を通じて感じた、3人の画家のそれぞれの魅力をお伝えしたいと思います。
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一昨年の秋のバリ絵画展で展示した「黄色い絵」を覚えておられるでしょうか。あの作品を描いてもらうまで、アンタラさん=人物画という印象がありました。人物を描くことを通じて、バリの伝統のすばらしさを伝えたいというのが、彼の制作に対する思いでしたから。ところが、その少し前、アトリエをウブド郊外に移した頃から、絵が変わってきました。こんなに風景画もうまい人だったんだと、正直驚いたくらいなのです。
海を描いても、田園風景を描いても、細かい描写にも決して手を抜くことがなく、ひとつの絵にとことん向き合う、忍耐強く静かな情熱は、アンタラさんの人柄そのものでした。そして、絵が完成に近づいたある日、私はひとつの相談をしたのです。
「背景に川や木立を加えてみてはどうでしょうか」
空に溶け込んでいくようにまっすぐに続く田園風景は幻想的ですらあり、素晴らしいと感じました。しかし、その一方で、日本人のお客様を考えたとき、背景に変化がある方が好まれると思ったのです。
私の提案をアンタラさんは快く受け止めてくれました。買い手に求められてこそ、仕事として成り立つ。自分のスタイルを持ちながらも決してひとりよがりにならない、プロとしての意識の高さを感じた瞬間でした。
そして出来上がったのが、絵画展で見ていただいたこちらの作品だったというわけです。
絵画展では堂々の看板作品になってくれましたが、会期中に販売することは叶いませんでした。アジアのコレクターたちが新作を待つ人気画家ですから、すぐにこの作品にも引き合いがきて、バリアートショールームで買い取るか、お返しするかの選択を迫られることとなりました。
結局、大きさを必要とするこの作品は、お客様のお部屋に合わせてご注文制作を受ける方がよいと考え、作品を手放しました。しかし、アンタラさんと率直な意見を交わしながら、ひとつの作品を一緒に作り上げたという充実感と画家への信頼は、今日に至るまで色褪せていません。今度はその時間をお客様とご一緒に味わいたいと、恋い焦がれる毎日です。
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「第9回バリアートサロン」ではこんな実例を交えながら、ご注文制作の楽しみをお伝えします。5月29日(日)11:00〜12:00@有明サロン、申込みしてくださった方に詳細のご案内をお送りします。お申込みはこちらからどうぞ。
<関連ページ>
アンタラ氏のアトリエ youtubeで公開中
ご注文制作の流れ ご注文から完成まで
第9回バリアートサロン 「注文制作を成功させるコツ」
こんにちは、坂本澄子です。
一般の住宅に対して、注文制作を手がけるようになったのは印象派の画家がはじまりと言われています。それまで、絵画のパトロンは教会や貴族だったのですが、市民革命と
住宅が密集したパリ市街は薄暗い住居が多く、シャンデリアや鏡を使って、部屋に光を取り込む工夫がなされていましたが、イーゼルを戸外に持ち出し、目に映る感じるままの風景をキャンバスに写し取った印象派の作品は、明るい陽だまりのような空間を作り出したというわけなんです。
「バリアートショールーム」もご注文制作によって、世界でただひとつ、あなただけの絵作りのお手伝いをしています。制作段階から関わることで、作品に対する思いが何倍にもふくらむ一方で、実際の絵を見て購入するのと違い、どのようなものができあがってくるのか…、ご不安もありますよね。
そこで、「第9回バリアートサロン」は、これまでお客様からご依頼いただいた注文制作の中から、よくある7つの実例をご紹介したいと思います。
画家は、ソキ、ウィラナタ、ラジック、ラバ、ガマ、アンタラ。バリの伝統的なモチーフから、花鳥画、風景画、そして、過去の作品を参考にしたものから、お客様のイメージを形にした全く新しい作品までさまざまな事例ができました。
そういったお手伝いをすることができたのは、「バリアートショールーム」自身、既にある作品を仕入れるだけでなく、画家と直接やりとりをしながら制作を依頼し、できあがった作品を日本で紹介するという経験を、少しづつ重ねてきたからではないかと思っています。私の勉強不足で画家に迷惑をかけてしまったこともありました。そんな中で学んできたものをお伝えできればと考えています。
バリ絵画のいいところは、資産家でなくても手が届くところです。いつかは注文制作をとお考えの方は、ぜひこの機会に参加してみませんか。少人数の気軽な集まりです。
「第9回バリアートサロン 注文制作の実例とイメージを形にするコツ」
場 所:バリアートショールーム 有明サロン
東京都江東区有明1丁目2−11
ゆりかもめ「有明テニスの森」駅 徒歩7分
りんかい線「国際展示場」駅 徒歩16分
日 時:5月29日(日)11:00〜12:00
展 示:風景画, 花鳥画, 風俗画から、注文制作をお受けした画家の作品を中心に
事前登録制につき、お申込みはこちらから。お待ちしています!
ご注文制作についての詳細はこちらのページもどうぞ。
バリ島の昔話から
こんにちは、坂本澄子です。
ある方から、こんなバリ島の昔話を教えていただきました。
昔、バリのジャングルに、ゲッコー(トッケイヤモリ)
ある晩、ゲッコーは、
そこで翌日、王さまがホタルに訳を聞きに行くと、ホタルは、
そこで、王さまは今度はキツツキに訳を聞きに行きました。
キツツキは、
その後、王さまは、ふんころがし、水牛、と訳を聞きに行き、
雨と話をするために、バトゥール山に登った王さまは、
山を降りた王さまは、文句を言っていた動物たちを集め、
こうして、今のバリがあるのです。
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最後のくだりを読んで、いかにもバリらしいいいお話だと思いました。
バトゥール山はバリ島の北東部にある標高1,717mの活火山です。キンタマーニ高原と言った方が聞き覚えがあるかも知れませんね^o^; 噴火でできたカルデラ湖のバトゥール湖を眼下に眺める景色は、ご存知バリ島の観光名所のひとつとなっています。
バリ島では北部の山岳地帯に降った雨が地下水となり、南部の平野部に湧き出ています。その水を公平に各田んぼに分配する仕組みをスバックと言い、もう1000年以上前から続く水利組合です。これがあるおかげで、バリ島では古来水をめぐる争いはほとんどなく、豊かな水と肥沃な大地は多くの恵みをもたらしてきました。
このお話はそんなバリの素朴な暮らしを表現しているように思いました。
ところで、バリの暮らしを題材に絵を描く画家は多くいますが、バリ絵画の伝統技法を踏襲しながら、独自の作風を確立し、多くのファンをひきつけているといえば、やはりアリミニでしょう。
こちら、『ハヌマンの誕生』もヒンドゥ神話の場面とバリの暮らしが融合され描かれています。青く清らかな水が、山々に降り注ぐ恵みの雨を思い出せてくれますね。
アリミニの原画のご購入はこちらからどうぞ。