バリアートショールーム オーナーブログ
2013.9.28

私の感じたバリを伝えたくて

バリ絵画展会場写真こんにちは、坂本澄子です。秋のバリ絵画展がスタートし、毎日を渋谷のアート発信地で過ごしています。会場のWall GalleryはBunkamuraの1Fにあり、奥のお手洗いに行く動線上に位置するため、毎日多くの方が前を通られます。基本的にアート好きな方が多いと思いますが、それでも歩きながらチラチラ見て下さる方は半数程度。じっくり足を止めて観て下さる方となると更に数はぐっと減ります。日本でバリ絵画に対する認知度はまだまだ低いという現実を改めて感じました。それでも、私の説明に一生懸命耳を傾けて下さる方も多く、「バリ絵画は初めて見たけど、なかなかおもしろいね」なんて言っていただけると、もう「やったー」という感じです。

そんな風にこの数日を過ごしながら思うことは、「なぜ私はこんなにバリが好きなんだろう」ということ。原点に返ったわけです。それは、初めてウブドに滞在した時、その豊かな自然や人々の素朴な人柄に触れて、「あれ、もしかして私、当たり前のことがちゃんとできなくなってたかも」と思ったことに始まりました。朝、明るく挨拶をするとか、人に優しくするとか、逆に何かしてもらった時には心から「ありがとう」と感謝するとか、そういった小さなことです。それから、時には空を見上げて雲の形が面白いとちょっと感動したりとか。

ブログ67_目の前の風景ウブドのゆっくり流れる時間の中で、目の前に続く田園風景とその上を流れていく雲をぼんやりと眺めていました(写真)。泊まっていた宿(日本の民宿みたいなところ)の家族はしょっちゅう村のお寺に集まって何かやっていましたが、ヒンドゥ教という宗教ではなく、自分たちに恵みをくれる(そこではまだ農業が産業の中心)大地や太陽、水といったものに感謝し、そこに宿る神々にごく自然な行為として祈っている感じでした。そして、自分もこの大自然の一部なのだと気づいた時、ふうっと肩から力が抜けていくのを感じました。日本に戻ってからも、この感じを思い出させてくれたのが絵だったのです。それから時を経て、私は今バリ絵画を扱う仕事をしています。不思議な縁です。

絵画展では、バリ絵画を紹介することを通じて、「この気持ち」も伝えたいと思っています。試行錯誤で、毎日色々工夫していますよ。説明の仕方を変えたり、バリで私が毎日見ていた風景の写真を作品の下にそぉっと貼ったりと…(笑)ウブドに行ったことのある人だと、「ですよねー」と理解してもらえることも多いのですが、そうではない人に一言で伝えるにはどうしたらいいんだろうと。これがなかなか難しい。

バリ絵画展@渋谷Bunkamuraもいよいよ後半戦。ぜひ、この機会にお越し下さい。そして、私がバリの文化や歴史をお話している時も、その奥にある本当に伝えたいことはこういうことなのだとわかっていただければ幸いです。開催要領はこちらです。

2013.9.18

「見たいと思った時にすぐ!」を目指して

こんにちは、坂本澄子です。台風一過、爽やかな秋の空が戻ってきましたが、連休中に日本列島を駆け抜けた大型台風は各所で大きな被害をもたらしました。被害にあわれた方、心からお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復旧をお祈り致します。

「バリアートショールーム」はネットで事前調査して、現物を見て購入できることをコンセプトに、定期的に絵画展を開催しています。そうは言っても、開催は今のところ東京だけで、期間も3ヶ月に一回、場合によってはそれ以上開いてしまうこともあります。理想は、サイトを見て「あ!これいいな」と思ったら、その週のうちに実物を見れるスピード感ですよね?これを実現するために、今既にやっていること、そして、今からやろうとしていることについて、今日はお話したいと思います。

まず、既にやっていることですが、交換・返品に関する規定の通り、1週間以内の交換・返品をお受けします。実際に絵を飾ってみたら、「写真の色合いと異なる」「サイズが大き過ぎた」「お部屋の雰囲気に合わない」など、商品の不具合以外の理由で、ご満足いただけない場合があるかも知れません。そんな時は遠慮なくご連絡下さい。注文制作、及びお客様の取り扱いが原因による破損・汚損以外、誠意をもって対応させていただきます。ですので、「これは!」と思ったら、安心して、カートに入れて下さい。*お客様理由による交換・返品の場合、往復の送料のみご負担をお願いしています。バリ直送品の場合も戻し先は東京ですので、ご安心下さい。

お店に絵を飾るそして、今後やろうとしていることですが、インドネシアやアジアをテーマにしたお店とのコラボを考えています。定期的な絵画展の間をうめる形で、バリアートショールームの作品を気軽に見ていただける場所を各地に作っていきたいと思っています。Facebook pageにいいね!して下さっている方はお気づきかも知れませんが、最近、インドネシアレストランで食事した際のお料理の写真を掲載しています。実はこれ、パートナー探しに回っているのです。作品は私にとってはまさに「子供たち」なので、作品を大切に扱って下さる心あるオーナーさん、店長さんであること、レストランの場合は当然のことながら、食事が美味しく、絵のある空間が楽しめる場所であることが絶対条件。そういった意味で、ここは素敵だなと思ったお店に、ラブコールを兼ねて、Facebookに写真を掲載させてもらってます。

もちろん逆提案も大歓迎。ブログを読んで下さっている皆様の中に、お店をやっておられて「こんな組み方ができるよ」という方がおられましたらバリアートショールーム坂本(contact@balikaiga.com)までご連絡下さい。新しい出会いをお待ちしています!

秋のバリ絵画展、開催が近づいてきました。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。開催要領はこちらです。

2013.9.11

すてきなひとりぼっち

こんにちは、坂本澄子です。「バリアートのある暮らし」は一回お休みして、今日は別の話題におつきあい下さい。

先日、ジュンク堂書店をぶらぶらしていた時のこと。文芸コーナーの書棚から谷川俊太郎氏の詩集が目に飛び込んできました。それが今日のタイトル『すてきなひとりぼっち』です。その時の私の気持ちにピタリとハマって、抜けなくなってしまいました。

バリの月夜実は、秋の絵画展のテーマ『秋の夜長を愉しむ』もまさにそんな気持ちでつけたのです。秋は空が澄んで、中秋の名月と言われるくらい月がきれいですよね。バリでも満月の夜は寺院祭礼を行うほど、特別な夜なんです。確かに蒼白い光に包まれた世界は何とも言えない不思議な魅力がありますよね。

上の写真は初めてバリに行った時に、思わずシャッターを押していたもの。空がかなり明るく写っていますが、これ完全に夜です。しかも街灯がほとんどない村です。

アリー・スミット作品蒼白い月夜の晩を描いたのがオランダ人画家、アリー・スミット(写真左)。以前もブログで紹介させていただきましたが、この色使い、なんとも言えませんよね。祭礼が終わり女性たちが帰っていくところですが、不思議な静けさがあたりを支配しています。彼の作品の中で一番好きな絵です。

この雰囲気を私も絵にしてみました(写真下)。秋の絵画展の図録の表紙に使おうと思っていますので、会場で見かけられたら、「あ、これね」と笑って見て下さい。

満月の夜こんな夜に、お気に入りの音楽を低くかけて、好きな絵を見るのはこの上なく贅沢な時間。こんな時は想像力をかきたててくれる細密画をおすすめします。どうして田植えをしている横で稲刈りをしているんだろう…とか、田んぼにいる家鴨は夜はどうしてるんだろう..とか、次々と疑問が湧いてきます。こんな素朴な疑問をつなげていくと、その背後にバリに暮らす人々のある世界観が見えてくるのです。10月6日のバリ絵画展、17時からのギャラリートークでは、こんなお話をしたいと思っています。そして作品をもう一度見ていただくと、「?」→「!」になっているはずです*^^*

<関連サイト>

2013/4/3ブログ バリ絵画に色彩を与えたオランダ人画家アリー・スミット

すてきなひとりぼっちを愉しむ作品を集めました

ライ作品 … 細密画発祥の地でクリキ村で伝統絵画を守り続ける

アリミニ作品 … 女性ならではの柔らかな色使いと流れるような構図

ソキ作品 … ポップな色使いでバリの伝統を描くヤング・アーティスト・スタイルの第一人者

2013.8.7

離れた土地の意外な共通点

ブログ53_飛騨高山_七夕こんにちは、坂本澄子です。今週は夏休みをいただいて、信濃〜木曽〜飛騨を旅しています。お天気にも恵まれ、夏のハイシーズンの割に大きな混雑もなく、ゆっくりとそれぞれの土地の風情を楽しんでいます。

江戸時代に中山道の宿場町として栄えた妻籠やさるぼぼ、民芸家具で有名な飛騨高山では、今日8月7日がひと月遅れの七夕にあたります。古い街並みを残した通り沿いには、写真の通り、色とりどりの笹飾りが。「お願い事があれば、ご自由にどうぞ」と、短冊とペンが添えられていました。この光景を見て、真っ先に思い浮かんだのが、バリ島のガルンガン。今でもバリ暦に従って祭礼を中心に生活が営まれるバリ島ウブドでは、この日ほとんどの店やレストランが休業し、村人たちは家で静かに先祖の霊を迎えるため、表は静寂の一日となります。各家の前に掲げられるのがペンジョールと呼ばれる竹飾りです。

各家の門口に立てられた竹飾りペンジョール

各家の門口に立てられた竹飾りペンジョール

先祖の霊が迷わず帰ってこれるようにというものですが、これが七夕の笹飾りによく似ているのです。「七夕」ももとは「棚幡」と表記し、お盆行事の一環として、精霊棚とその幡を安置する日でした。お盆も先祖の霊をお迎えする日、笹は精霊(先祖の霊)が宿る依代なのだそうです。日本とバリ、遠く離れた土地ですが、意外な共通点があります。

今回、旅という意味でも色々と発見がありました。前回このあたりを訪れたのは高校時代の修学旅行。年月を経て再び訪ねてみますと、自分の旅に対する姿勢が変わって来ていることに気づきました。以前は、見て美しい、食べて美味しいなど、五感を通じてその土地柄を感じ取ることが多かったのですが、最近はその土地の気候や暮らし、文化にも関心を持つようになり、直接+間接の両面から理解することで、さらに親しみが増すという別の愉しみ方ができるようになりました。

皆様の多くはバリに行かれた経験をお持ちだと思いますが、上記の意味で、もう一度バリを訪れてみてはいかがでしょうか。もし、前回は海側にしか行かなかった、あるいは山側は日帰りツアー程度だったという方は、是非この機会に山側のウブドに滞在してみてください。日本の原風景を思わせる田園風景が広がり、ゆっくりと流れる時間の中で、自然と深く繋がる喜びを感じられることでしょう。

そうそう、夏休みと言っても、『バリアートショールーム』は年中無休で営業していますので、お問い合わせ、ご注文はいつでもご遠慮なく!(笑)

 

2013.8.3

バリ絵画Tシャツが麻布十番祭りに登場

こんにちは、坂本澄子です。東京は今朝はとても爽やかな朝を迎えました。このところ不安定なお天気が続いていましたが、来週は太平洋高気圧に広く覆われ晴天が続くそうです。いよいよ夏本番ですね。私はワンコ(フレンチブルドッグ♂2歳)を飼っており、お散歩が日課なのですが、近所で浴衣姿の子供たちを見かけると、なんだかワクワクしてきます。

P-Shrt展2

さて、夏と言えば夏祭り。いつもバリ絵画展を行っているパレットギャラリーのある麻布十番でも、毎年恒例の『麻布十番納涼祭り』が開かれます。今年は8月24、25日の土日。ちょうどこの時、パレットギャラリーが一周年を迎えるとあって、お祝いを兼ねた『P-Shirt展2』が開催されます。この1年間パレットギャラリーに登場したアーティストたちの作品が同じ図柄のTシャツとセットで展示され、人気投票が行われます。『バリアートショールーム』からは、GAMAの熱帯睡蓮2点を出品します。展示会場はパレットギャラリー。皆さん、応援して下さいね!このセット、もちろん購入もできますよ。

夏の夜の夢_Tシャツ図案虹の雀躍_Tシャツ図案ブログ51_P-Shirt展

GAMAの熱帯睡蓮シリーズは先日のバリ絵画展「緑に抱かれる午後」でも大好評をいただきました。そこで、作家のGAMAさんに急遽追加制作をお願いしました。小さめのサイズで複数組み合わせて飾りたいとのお声があったので、作品本体サイズ30cm x 30cmでご用意します。前回同様スタイリッシュなボックスフレームで額装しますので、2つ、あるいは3つを横に並べて掛けてもステキですよ。8月中旬入荷予定です。

2013.7.31

小さなギャラリーがぎっしり詰まったレトロなビル

こんにちは、坂本澄子です。昨日、絵を習っている明輪勇作先生の個展を見に、銀座に行ってきました。奥野ビルってご存知ですか?昭和7年に建てられたレトロなビル、エレベーターはなんと手動でドアを開けるタイプです。聞けば、テレビ番組でもよく取り上げられる知る人ぞ知る銀座のアートスポットですが、元は高級アパートメントとして作られた建物だとか。1時間ほど店番をしていると、カメラを首から下げた観光客と思しき外国人や銀座散歩を楽しむついでに立ち寄った風の年配のカップルなどが、一組また一組と入って来られます。ギャラリー自体は3帖あるかないかの小さな空間ですが、こんな感じのアートスペースがビル全体にぎっしり入っています。郵便受けもほらこの通り(写真)、開催中の展示会を知らせる色とりどりの案内が賑やかです。

奥野ビル外観奥野ビル郵便受け手動式エレベーター趣のある各部屋のドア

日本人は美術館にはよく行きますが、画廊は敷居が高くて…という人がほとんどです。確かにドアを開けて中に入るのはちょっと勇気がいりますが、個展の楽しみは何と言っても画家と直接話せること。今回、明輪先生の個展では約15点が展示されていますが、生徒の私も先生の作品を直接見る機会は個展、グループ展の場くらい。そこで、ステキな作品があると、どんな思いで描かれたのか制作意図をお訊きすると、お話を聞いている方も制作意欲が湧いてくるから不思議です。明輪勇作展は8月3日(土)までやっていますので、よろしかったら銀座お散歩がてらどうぞ。

ドキュメンタリー映画「アートの森の小さな巨人」のモデルになったヴォーゲル夫妻のコレクターとしての生き方は、アートともっと身近につきあう上でのよいお手本になります。郵便局員だった妻のドロシーの収入で生活しながら、画家である夫の絵が売れるとそのお金でコツコツと現代アートを買い求め、最終的に4000点を超えるコレクションをナショナル・ギャラリーに寄付しました。絵を購入するにあたって、二人の間でルールとしていたことが2つあったそうです。ひとつは作品の大きさや金額をニューヨークのアパートメント暮らしという身の丈に合わせること。もうひとつは、作家と知り合い過去の全作品を見た上で購入することです。作家と知り合うことは容易なことではありませんが、作品には作家の思想が込められているもの、そこに共感できるかどうかはとても大切なことですよね。ちなみに、アメリカは1年以上保有した作品を寄贈すれば、時価に相当する金額が税金から控除されるそうです。一方、日本は若干の優遇がある程度。アートの浸透に国の政策が大きく関わっていると感じます。

バリは距離もあって画家に直接会える機会は多くありませんが、その分、画家の素顔をお伝えしたり、新作を入手したときは作品に込めた思いを含めてお届けすることにこだわっています。バリ伝統絵画の場合、作家の強い個性というよりは、バリ島という風土の中で育まれた世界観を表現する側面が強いので、作品に描かれるものの背景を知ると愉しみが一段と深まりますよ。

 

2013.7.6

6月アクセスTOP5とウラBEST3

こんにちは、坂本澄子です。来週の絵画展までいよいよ一週間を切り、最後の準備にかかる毎日です。このブログを読んで下さっているあなたとも是非お会いできればと願っています。お時間、そして地理的な環境が許しましたら、ぜひ会場に遊びに来て下さいね。

2013/6月アクセスランキングTOP5さて、「バリアートショールーム」では現在約50作品を展示・販売していますが、6月のアクセス人気ランキングのTOP5の発表です。ウィラナタ「一日の始まり」は掲載が遅かったにも関わらず、ダントツの一位。作品の素晴らしさに加えて、日本では入手困難なことを反映した結果ではないかと思います。いずれも納得できる顔ぶれですが、これ以外にも「ぜひ実物を見ていただきたい」と思う作品があります。今日はその中から特にお勧めのウラBest3を紹介します。

ガマ「夏の夜の夢」

 

ガマ 「夏の夜の夢」

直感で絵筆を走らせ、背景色にも赤、金、黒を用いるなどユニークな色遣いが氏の作品の特徴ですが、私はこの絵を見て、月明かりに浮び上がる睡蓮の姿を想像しました。バリの人々にとって満月は特別な夜。街灯すらないウブドの村では、月明かりで見る世界はまるで神秘的。アールヌーボーを思わせる様式化された植物描写は、シンプルな額装に引き立てられ、スタイリッシュな空間を演出します。玄関に飾れば、訪れる友人たちの目を引くこと間違いなしです。

ラジック「一夜限り咲く花」

ラジック 「一夜限り咲く花」

ドラゴンフルーツって食べたことありますか?ピンクの鮮やかな色をした果物で、満月の夜に一晩だけ月下美人に似た花を咲かせます。古今東西、美しいものほど儚いと言いますが、まさにその通りですね。イタリア画壇からも絶賛される花鳥画の鬼才ラジック氏がこの花を描きました。氏の作品の特徴である、画面から飛び出すような構図は絵を大きく見せ、重厚感ある飴色の彫刻額縁がしっかりと包み込んでいます。アジアンあるいはアンティーク調のチェストの上などによく合います。この作品でリビングにこだわりのスペースを作ってみませんか。

 

ラバ 「少年たちの情景」

50歳を過ぎると再び少年の頃のような真っ直ぐな気持ちに帰ると言います。「これから益々人生を愉しみたい」、そんな大人のあなたにおすすめの一枚です。今年64歳になるプンゴセカンの巨匠ラバ氏もまさにそんな一人。絵には画家の人となりが現れ、そこに込められた思いやエネルギーが受け手に伝わってきます。原画を持つ愉しみを余すところなく味わえる作品。お部屋の目につく場所に飾って下さい。

 

【関連サイト】

アクセスランキングTOP5の作品詳細

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2013.6.29

こだわりの木彫り額縁

こんにちは、坂本澄子です。先日成田で通関した荷物が届き、有明ショールームは早くも緑に包まれています。

木彫り額縁絵を飾る楽しみのひとつはお部屋の雰囲気を変えてくれることだと前回お話しましたが、その絵を2倍も3倍も素敵にしてくれるのが額縁です。先月私がバリに行った目的のひとつは彫刻を施した額縁作りだったことを覚えておられるでしょうか。その額縁が届きました!期待以上の仕上がりです。

LABA「LOVE, LOVE」木彫りの額縁はバリ絵画とは相性抜群なのですが、生木のため湿度の違いと虫食いの両方に気を配らなければなりません。日本に持って来た後も美しい風合いを長く保てるかが一番の課題でした。この道10年の現地パートナーのアドバイスで試作品を作りながら検討を重ねたのが、これです。額縁用に作られた強度のあるニャント材を確保し、そこに熟練した職人がひとつひとつ手彫りしています。5cm幅と7cm幅の2種類を用意し、色はダークブラウン(写真)、ブラウン、そして原木そのものの色合いを生かしたナチュラルの3色から、作品に一番合うものをつけてお届けします。とっても重厚感がありますよ。

LABA 「LOVE, LOVE」作品はLABAさんの新作です。LABAさんはバリ島のアルマ美術館にも作品が所蔵される、プンゴセカンの巨匠的存在。バリ絵画展のテーマである「緑に抱かれる午後」にあわせて、野鳥画2点の制作をお願いしました。いかがですか?それぞれ愛情表現の仕方は違うけど、思わず微笑んでしまうあったかさがありますよね。LABAさんの作品の特徴は何度も絵の具を塗り重ねて深い緑色を出していること。そのため、作品自体は40cmx50cmと決して大きくないのですが、お部屋に飾った時に目を引く存在感があるのです。タイトルは2羽にちなんで、『LOVE, LOVE』としました。恋人募集中の方、お部屋にぜひ一枚。よい出会いが舞い込んでくるかも:)

もうひとつ新作です。こちらは「バリアートショールーム」初登場のTIRTA(ティルタ)さんの作品。美術館の企画展を中心に活動しているTIRTAさん、ご覧のように開放感いっぱいの風景画やみずみずしい花鳥画を得意としています。プルメリアはEBENさんの作品にもありますが、また違った趣がありますよ。見比べてみて下さい。TIRTA作品

ということで、7月10日(水)〜15日(祝)のバリ絵画展は、一面の緑に重厚感ある木彫り額縁、そしてBALI BAGUSさんとのジョイントによるバリの上質な雑貨をお楽しみ下さい。

スケジュール入れてくださってますか?お待ちしてます。

【関連記事】

バリ絵画展「緑に抱かれる午後」特集

プンゴセカンの巨匠LABAさんの他の作品

EBEN作「プルメリア」

2013.6.26

お部屋の雰囲気を一瞬で変えてくれる絵

こんにちは、坂本澄子です。梅雨ですね、昨日は地下鉄を降りたとたんに土砂降り。お天気も気持ちも何だかジメジメ。こんな時、お部屋の雰囲気をからっと変えてみたくないですか?

大きな花鳥画まさにそんな時、活躍するのが大きなサイズの絵。うちにも写真の通り、畳一畳分はあるEBENさんの大きな花鳥画が飾られています。実はこの絵、私にとってはとても思い出深い作品。『ここに、あなたの知らないバリがある』でもご紹介していますが、私は一枚の絵をきっかけにバリ島のウブドに出会いました。その作家のもとに弟子入りして絵を教わった時に記念に購入した作品がこれなのです。EBENさんのアトリエの中でもひときわ存在感を放っていました。なにしろこの大きさなので、日本に持ってくるのに随分苦労しましたが、3ヶ月後にようやく手元に届き、リビングに飾った時の感動は今も忘れません。そこがまるでウブドの森に繋がっているように感じたのです。

これだけ大きいと部屋のどこにいても目に入りますよね。そうすると不思議なことが起こってきたのです。部屋が散らかってると気になって、ついつい片付けてしまうのです。また、友達にも見てもらいたくて、家でホームパーティをやるようになりました。そうしたらまた片付ける。で、お部屋がどんどんキレイになってくるのです。それまでは恥ずかしながら、仕事で忙しいのにかまけて、”のだめの部屋”の一歩手前でした。今は家で仕事をする事が多いのですが、机の上が整理されていると、不思議と考えもまとまってくるのですよね。

出典「WALL DECO AtoZ」

出典「WALL DECO AtoZ」

「バリアートショールーム」でも大きなサイズの絵をご用意しています。中でも一押しはこれです。120cmx100cm。綺麗な色遣いでお部屋の雰囲気ががらりと変わりますよ。これならちょっと友達を呼んでみたくなりませんか。もうひとつお勧めなのが、同じ系統の色や大きさの作品を何枚も飾るやり方。これはコレクター向けですが、よく外国映画なんかで、壁一面に絵や写真が飾られたリビングや階段を見たことはありませんか?暮らしている人の個性やセンスを感じますよね。

こんな素敵な空間を実際に作ってみようと思っているのが、来月のバリ絵画展『緑に抱かれる午後』です。来て下さった方はご記憶にあるかも知れませんが、4月に開催した『青い海を描かない作家たち』でも緑に囲まれた一角がありました。「これをこのギャラリーいっぱいに広げたらどうなるだろう」って、実はあの時思いついたのです。昨日成田で通関手続きをしてきました。積み上げられた荷物を見て、「この中は緑一色なんだ」と思うとワクワクしました。後2週間、最高のアートスペースをお見せできるよう準備していきます。

スケジュールは入れて下さってますよね?7月10日(水)〜15日(祝月)の6日間です。13日(土)は17時からギャラリートークをやります。飲み物と簡単なお料理も用意していますので、バリ絵画を楽しみに来て下さいね。詳しい案内はこちらです。

「遠くて行けないよ」という方、ゴメンナサイ。会場の様子はサイトでもご紹介します。作品はすべてこのサイトでご覧いただけますので、ゆっくり見て下さいね。

【関連記事】1m以上の大きな作品

BOLIT『陽光の微笑Ⅰ』BOLIT『陽光の微笑Ⅲ』、 EBEN『森の囁き』EBEN『野鳥の森』

 

2013.6.1

バリ絵画の遠近法

こんにちは、坂本澄子です。早いもので今日から6月。今年はとても早い梅雨入りでしたが、たまにカラッと晴れるとその分嬉しくなりますね。

さて、今回のウブド滞在中に改めて主要美術館を回ってみました。「バリアートショールーム」で扱っている作家の作品が美術館に展示されているのを見る度に、「おおお」と感動しては記念撮影。ちなみにバリの美術館ではフラッシュさえ使用しなければ個人で楽しむための撮影はOKです。

その時にちょっと発見がありました。風景画で用いられる遠近法についてです。シュピース・スタイルの作品など、遠近法を使って描かれた作品には独特の奥行きと空気感、そして幻想的な雰囲気を感じますよね。ネカ美術館の説明によると、バリ絵画の遠近法は西洋絵画の技法とは異なるのだそうです。前回に続き、ちょっとテクニカルなお話になりますが、作品を見る際に参考になると思いますので、しばらくおつきあい下さい。

300px-One_point_perspective普通、遠近法と言うと、この写真(Wikipediaから拝借しました)のように視点から遠ざかるに従って小さく描きますよね。ところがこの方法だと、強調したい物を手前に置かざるを得ないという構図上の制約が生じます。カマサン・スタイルを土台とするバリ伝統絵画では、絵巻物風に時間と空間を超越して描かれるため、遠大近小の構図も珍しくなく、西洋人画家たちが持ち込んだ遠近法とは相容れないものでした。

異なる時間軸と空間軸を一枚の絵に共存させたヴァルター・シュピース。彼の独特の構図などを研究しながら、この問題に対して、当時のウブドの画家たちはとてもユニークな解決策を見い出しました。ひとつは東洋古来の遠近法である「近くにある物をより下に、遠くにある物をより上に描く」というやり方。もうひとつが、遠いものほど輪郭や色のトーンをぼやかすことで遠近感を出す方法、これら2つの方法を融合して独自の遠近法を作り出していったのです。

ガルー「黄昏の静謐」このことを頭の片隅に置いてこの作品を見ていただけますか。「この絵は…」、そう、見覚えのある方も多いのでは。「バリアートショールーム」でも一番アクセスの多いガルー作「黄昏の静謐」です。私はこの作品をいつも真正面に立って見ていました。今一度、この作品の視点はどこにあるのだろうと考えた時、キャンバス左手前の家鴨使いの少年の背中をそのまま斜め手前にのばした位置にあると思い至ったのです。少年の背中越しに景色を見ると、全くと言っていい程、印象が違って見えました。これはぜひバリ絵画展で実物を見て確認していただきたいなと思います。この写真の角度です。

ブログ31ガルー署名以前、ガルーさんとお話をした時、絵を描きながら、自分もこの風景の中にいるのだと言われていたことを思い出しました。きっとガルーさんはこの家鴨使いの少年に自身を投影していたのではないでしょうか。そんなことを思いながら作品を片付けようとしたとき、この発見が正しかったことがわかりました。キャンバスの裏面に画家自身の筆跡で「Pengembala itik (家鴨使い)」と書かれていたのです。こんな風に画家の視点がどこにあるかを少し意識するだけで、その作品の風景の中に自分自身も入って行けるなんて、ちょっとした小旅行気分になりませんか。

次回からバリ島の美術館案内をシリーズ掲載します。第一回はプリルキサン美術館です。お楽しみに。

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