バリアートショールーム オーナーブログ
2014.2.8

絵の風景に自分もいるみたいに

こんにちは、坂本澄子です。
前回、ガルー(Galuh)さんのまねをして朝日を見に行ったお話をしましたが、実は彼女に影響されたことはもうひとつあるのです。

残照の家路ガルー(Galuh)さんが絵を描く時に意識していること、それは自分もその場にいるかのように五感と想像力を働かせることです。この作品もそうで、家路につく農夫に自身を重ねて描いたそう。その穏やかに満たされた気持ちが見る人にも伝わるからこそ、共感を呼ぶのだと思います。そう思っているうちに、すぐに売れてしまいました。お客様からのお便りはこちらを見て下さいね。

そこで、私も絵の中に自分がいると意識しながら描いてみました。

灯りに照らされた空間素敵な写真に出会うと、投稿者にお願いして描かせていただくことがあります。先日、とても雰囲気のある写真をFacebookで見つけました。それがこの作品です。(写真左)

真っ暗な山道にぽっとあかりの灯ったこの風景。闇があるからこそ、あかりの優しさ、温かさが一層際立っているように感じます。空もこれに呼応するかのように、雲の割れ目から月の光が…。「これ、描きたい!」そう思う一方で、写真だからこそ素敵なのであって、絵に描いたとたん輝きを失ってしまうのではないかという不安が。そう思いながらも諦め切れず、闇の部分に目を凝らして見ると。そこは真っ暗ではなくて、うっすらと空間が広がっているのが見えました。

灯りに照らされた風景そこで、その風景の中に今自分がいると想像し、目の前に見える(であろう)風景を描いたのがこちらです(写真右)。嬉しかったのは、ご本人(J.K.さん)に送ったところ、とても喜んでもらえたこと。ここは大学の帰りに毎日通る道なのだそうです。近くには森林公園があり、きっとお気に入りの場所なのだと思います。私が描いた風景はJ.K.さんが見ているのとは違うかも知れないけれど、そこから感じたものを私なりに表現するとこうなったということを理解してもらえたことに感激しました^_^

2つの時空間J.K.さんとの出会いも一枚の写真がきっかけ。それがこの作品(写真左)でした。1枚の写真の中に2つの時空間が存在するとても不思議な感じのする作品です。これを見た時、シュピースの『風景の子供たち』を思い出したんです。シュピースはバリ現代芸術の父と呼ばれ、バリ絵画に大きな影響を与えたドイツ人ですが、逆にバリ伝統絵画からも影響を受けたと思えるふしがあるのですよ。

物語の場面を描いたカマサン・スタイルバリ絵画はもともとインド神話の物語の場面を題材としていましたが、絵巻物なので1つの絵の中に複数の場面(時空間)が描かれています(写真右)。線で区切られたところがひとつの場面。シュピースのバリの風景を描いた作品にも、森で区切られた複数の時空間が共存しているのですよ。もしかするとここからヒントを得たのかも知れませんね。そして、ガルーさんもシュピースの幻想的な作品に惹かれて、現在の作風になったと言います。感動が感動を呼び、時代や空間を超えて繋がっていく、とっても素敵ですね。

 先月の作品展の余韻に浸りながら、ガルーさんの作品の特徴をお話してきました。次回はバリの明るい色たちをご紹介します。今朝は東京も雪が降りました。寒いこの季節だからこそ、ちょっと明るい気分になりたいですよね。

<関連ページ>

ガルー経歴&作品

シュピースの作品と影響

シュピース・スタイルの作家たち

 

2014.2.5

ウブドの夜明け

こんにちは、坂本澄子です。

日曜日に『ゼロ・グラビティ』を観に行ってきました。

実は私…、洋画はちょっとと言うか、かなり苦手なんです。人の名前と顔と役柄が最後まで一致しないなんてことは毎度のこと、かの『オーシャンズ11』も途中からどれが誰だかわからなくなり…(大汗)ところが、この『ゼロ・グラビティ』、出演者はたったの2人。主演のサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーだけなんです。

映画の前に腹ごしらえと入ったトンカツ屋さんで手間取り、焦って10分でかき込んでギリギリ着席。IMAX専用の3Dメガネを着用すると、最初の13分からエンジン全開。主人公の女性宇宙飛行士が宇宙空間に放り出されるシーンは自分も振り回されてる感じ。途中何度も酔いそうになりながら、最後まで緊張し通しの91分でした。

素晴らしかったのは、ダイナミックな「動」に対比して表現される宇宙空間の静けさ。静寂の中、地球を眼下に見るシーンは最高です。また、主人公がこれでもかと言うほど不運に見舞われ、何度もヤケクソになりながらもやっぱり頑張る、そこに何とも言えない共感を感じました。でも、最後の最後にもうだめだと諦めかけたとき、ジョージ・クルーニー扮する仲間の宇宙飛行士マットがやって来て…。ここは思わず涙。ちなみに英語タイトルはGRAVITY。ゼロがありません。その理由は最後のシーンでわかりました。これも憎い演出。いい作品です。

前置きが長くなってしまいましたが、今日はウブドの夜明けをご紹介します。その静けさが宇宙の静寂とダブってしまい…(汗)

*****

ブログ117_朝5時に出発ガルーさんが作品の構想を練るために早朝の風景を見に行く、と言っていたのを聞き、私も見たくてたまらなくなりました。朝5時、あたりはまだ真っ暗、空には満月が輝いています。宿のご主人テギさんに車を出してもらい、田園地帯に向かって走ること1時間。空が白み始める頃、聖峰アグン山の富士山に似た流れるようなシルエットが暁の空にぼんやりと浮かび上がる絶好のポイントに到着しました。

ブログ118_アグン山のシルエット昼間は湿った空気が絡みつくような雨季ですが、この時間はさすがにひんやり、Tシャツ1枚ではちょっと寒いほど。藍色から淡いピンク色に空の色が変化するのを見ながら、ひたすら日の出を待ちました。やがて空に朱色が差したかと思うと、ついに朝陽が^o^ これです、ガルーさんの絵に描かれているのは。まだ明け切らぬ暗さがあるからこそ、光の美しさを感じるのだと、しばし言葉を失い、ただ、ただ感動しました。

ブログ118_飛び立つ鷺日中はじっとり猛暑のため、朝、日の出と共にバリの一日が始まります。一面に広がる青田の畦道を行くひとりの農夫の姿。思わず、「ご苦労さまです」と頭が下がりそうになった瞬間、鷺が一斉に飛び立ちました。まるで一服の絵のよう。またまた、ボーゼンと見とれてしまいました。早起きしてよかった〜^o^

ブログ118_通学時間村へ戻ると、ワルン(雑貨屋。肉、野菜などのちょっとした食材もそこで買えます)に買い物に出かけるお母さんたちの横を自転車に乗った子供たちがスイスイと通り過ぎていきます。テギさんちの高校生の娘さん、小学生のボクも7時過ぎには学校に出かけていきました。小学生をバイクで学校に送りとどけるのは、どうもお父さんの役目みたいです。お母さんたちは一日分のおかずをまとめて朝に作るのでとっても忙しそう。おばあちゃんがチャナンに聖水を掛け、部屋の祭壇にお供えすると、庭先、駐車場、道路わきにもそれを置いていきました。神様は至る所におられるのだそうです。

こうしてウブドの一日は元気に始まりました。

光と影・・・ガルー作品はこちらです

2014.2.1

買ってくるだけじゃないんです

こんにちは、坂本澄子です。「バリアートショールーム」では、画家のアトリエにある作品を買って来るだけでなく、テーマをお伝えして注文制作しています。

今回のガルー作品展の新作2点も神様をイメージして描いてもらったもの。ガルー(GALUH)さんにとっては神様=愛・平安で、若い夫婦を題材に神様を身近に感じる静かなひとときを描いてくれました。

一方、こんな注文は時に画家さんを悩ませてしまうことも。同じ依頼を花鳥画の巨匠で鳥獣画で定評のあるラバ(LABA)さんにしたときのことです。今年65歳のラバさん。年配の方だけに神様に対して深い想いがあり、おいそれとは描けない様子。長い間悩まれ、なかなか筆が進まないのを見て、やはり画家それぞれに独自の世界があるのだと感じました。

絵画展でお会いしたお客様の一言からヒントを得て制作をすることもあります。

ブログ117_ガマ連作「小さめの絵を縦横自在に組合せられたら便利」とアイデアをいただき制作したのが写真の花鳥画家ガマ(GAMA)さんの熱帯睡蓮の連作です。

縦横ななめのいずれにも組合せやすいよう真四角のキャンバスに描いてもらい、額縁もシンプルなものに。これなら階段の壁に斜めに飾ってもよし、玄関に縦に並べてもよし。金の背景は個性的でありながら、木製の家具にも合わせやすいのでおすすめです。1枚で飾ってもインパクトがありますしね^^

SAMSUNG今、ウィラナタ(WIRANATA)さんに70cmx100cmの大きめの作品を描いてもらっています。以前の作品の中に何とも言えない色合いの作品(写真)があったのですが、この色の感じだけを指定して、あとは自由に描いて下さいとお願いしたのです。

作品にはそれぞれの画家らしさがあり、買い手もそれを期待しているところがありますが、画家の側からしてみると新しいものに挑戦してみたいという欲求は常にあります。ウィラナタさんの場合、注文とは別に自分自身のために絵を描く時間を設けていると、以前お会いしたときに伺ったことがあります。それが強く頭に残っていたので、今回は新しい試みもOK、どれだけ時間をかけてもらっても構わないとお伝えしました。買い取りを約束しての依頼ですから、こちらも賭けです^o^;  

でも…、それくらいしてみたいと思う画家さんなんですよ。私もワクワク感を楽しんでいます。そんな訳で、これからも「バリアートショールーム」頑張っていきます。引き続き、応援よろしくお願いします!^o^

<今後の絵画展予定>

バリ絵画展『五感を満たす食卓③〜緑に抱かれる午後』2月21日(金)〜3月9日(日)

バリカフェ・モンキーフォレストの展示第三弾は花鳥画。一足早く春の訪れを感じていただきたいと、バリの緑深い森と野鳥たちを描いた作品をお届けします。

バリアートショールーム1周年記念展示即売会 3月29日(土)、30日(日)

ネットで事前調査し、実物を見て買えると好評の展示即売会。表参道のギャラリー・ラパンでバリアートショールームの全作品をご覧いただけます。(※バリ直送商品除きます)

 

 

2014.1.29

バリの新年ニュピは静寂の一日

こんにちは、坂本澄子です。早いもので1月もあっという間に最終週。先日ある方とお話していたら、年齢を重ねるごとに一週間が早くなっていくという話題になりました。私自身も特にこの一年はほんと早かったなぁと驚いています(^o^;

ウク暦以前、「バリの1月1日はわりと普通の日です」とご紹介しましたが、本当の新年はニュピと言って今年は3月31日になります。月の満ち欠けをもとにしたサコ暦で1年に1度巡ってくるため、その年によって時期が違うのです。毎年だいたい2月〜5月の間にやってきます。ちなみに、バリには西暦とサコ暦とウク暦(1年を210日とする暦で主に祭礼を司る)の3つの暦が同居してる感じです。写真はバリ伝統画家アリミニさんのご自宅ですが、ここに掛かってるのはウク暦のカレンダー。

ニュピは静寂の日。地元の人たちはもちろんのこと、外国人観光客も一切外出ができないので、通りは人っ子一人いない状態になります。学校も会社もお店もお休み、あらゆる交通機関が止まり、人々は静かに瞑想し世界の平和を神様に祈って一日を過ごすそうです。あかりをつけることもできないため、夜になると真っ暗。その分、星がとても綺麗。満点の星空が仰げるかも知れませんね。

ブログ116_オゴホゴニュピの前日に行われるのがオゴ・ホゴによる浄化の儀式。オゴ・ホゴというのは写真の通り、張り子の鬼のようなもので、鍋を打ち鳴らして家から追い出された悪霊が、通りを練り歩くオゴ・ホゴに乗り移るとされています。最後にこのオゴ・ホゴは悪霊たちと一緒に燃やされて鬼退治。それでもまだ地上には悪霊たちが残っているので、見つからないように、ニュピ当日は家にこもって静かに過ごすという訳です。これは善と悪は永遠に戦い続けるというバリ独特の考え方から来ているんですよ。

ところで、このオゴ・ホゴ。今年はインドネシア大統領選挙を控えているため中止なんだそうです。暴動を避けるためとのことですが、ちょっと残念ですね。

さて、好評開催中のガルー作品展『静謐のとき』、いよいよ31日(金)が最終日。和空間と静寂の作品のコラボ、どうぞお見逃しなく!

<関連ページ>

ガルー作品展『静謐のとき』開催概要

 

2014.1.22

共感は行動で表現される

こんにちは、坂本澄子です。

今日はガルーさんへのインタビューの後編を掲載する予定でしたが、ちょうど今週私自身の作品を出品したグループ展をやっていますので、ちょっとそのお話をさせていただきます。

蓼科湖畔の彫刻公園昨夏、長野県の蓼科湖に行きました。ハイシーズンなのに、湖の周辺はとても静か。すぐ近くにある彫刻公園にも人影はありません。丘陵地をそのまま生かした公園のあちらこちらに人の姿を刻んだ像が置かれ、陽が翳るに従って、怖い程のリアル感を醸し出していました。

ふと湖の方を見ると、残照が淡く湖面を照らし、対岸にある針葉樹や建物が映り込むように影を落としています。

蓼科湖夕景見ている間にも刻一刻とその表情を変え、移ろう光の儚さに魂を掴まれるような切なさを覚えた瞬間、脳裏に浮かんだのはガルーさんの『黄昏の静謐』でした。水面に映った静寂の空もそのまんま。衝き動かされるように描いたのがこの「蓼科湖夕景」です。

仕事の合間に絵を描き始めて16年になります。最近、Facebookなどではっとするほど素敵な写真を見るようになりました。そこからインスピレーションを得て、絵に描かせていただくことがあります。ある方が私のそんな行動を見て「共感は行動で表現されるものですね」と言われました。うまい言い方をされるものだと関心したのですが、この「蓼科湖夕景」も五感で感じた風景×ガルーさんの作品への共感から生まれたものです。技術的にはまだまだ未熟ですが、これからも時空を超えた感動のリレーに加わっていきたいと思っています。

「蓼科湖夕景」の作品イメージを与えてくれたガルー作「黄昏の静謐」

「蓼科湖夕景」の作品イメージを与えてくれた
ガルー作「黄昏の静謐」

 好評開催中のガルー作品展『静謐のとき』、本日3日目を開催します。お目汚しの後は、清らかなガルー作品を見に来てくださいませ!

 ガルー作品展『静謐のとき』開催要領

ガルー経歴と作品

2014.1.15

ほんとは教えたくない?! お気に入りの場所

こんにちは、坂本澄子です。寒いですね〜。こんなときバリが無性に恋しくなります。仕方ないので、バリの画家さんたちの作品を見ては空想旅行をしています^ ^
バリ絵画のある暮らしを始めたお客様からのお便りと写真をまとめたページを作りました。それぞれに購入された理由があり、また、その後の楽しみ方があります。是非こちらを見てくださいね。

ジャラン・カジェンの風情ある街並みさて、私がウブドに行くたびに訪れるお気に入りの場所があります。懐かしくて、なんだかほっとする風景、あなたの心にも届くと嬉しいです。
ウブド王宮のある交差点から1ブロック西にある南北の通りがジャラン・カジェン。ジャランは通りという意味です。手形や手書きの文字が彫られたメモリアルプレートの埋め込まれた石畳が続き、バイク屋台で金魚を売るオジさんの姿も。下町の風情溢れる街並みです。

やしの葉と空が作り出す模様この道を北に向かって道なりに歩くと写真の通り、急に視界が開け、椰子の木と田園風景が。中心部からわずか20分ほどの場所です。初めてウブドを訪れたときに「バリ島ウブド〜楽園の散歩道」(ダイヤモンド社)を片手にお散歩がてら歩いたのがそもそもの始まり。そこは夏休みに泊まりに行ったおばあちゃんちみたいな懐かしい匂いに包まれていました。
田んぼの畦道みたいな細い道が延々と続いており、そんなところにもまだメモリアルプレートが。この道は一体どこまで続いているのだろうと、子供のような探検心がムクムクと湧いてきますが、道はさらに細くなり、やがて用水路ギリギリの道幅はわずか10cm(うーん、これは道とは言えない…^^;)に。足下がかなり危なっかしいので、悔しいけどいつも途中で引き返しています。
ジャランカジェン北部の田園地帯驚くのはこんな奥でもビラが建っていること。田園風景は欧米豪の観光客に人気なのですね。こんな細い道、もちろん車は入れません。建築資材をどうやって運ぶのだろうと不思議に思ってると、な、なんと、手で運んでるのです。いや、正確に言うと頭の上に乗っけて。もうお気づきですよね。バリでは頭の上で物を運ぶのは女性だけ。オバチャン(さすがに若い女性はいませんでした^^;)がセメントの袋をガンガン運んでるのです。いや〜、バリの女性って強いわ。

幻想的な田園風景を繊細なタッチで描くガルー作品展『静謐のとき』が今日から東京・日本橋のGallery KAIで始まります。ガルー作品の魅力は数々ありますが、ご本人が最も工夫しているのは構図。いくつかお気に入りの場所があり、新たな作品に着手する前には必ず散策に行き、イメージを膨らませるのだそう。きっとガルーさんにも誰にも教えたくない秘密の場所があるのでしょうね^_^

<関連ページ>

ガルー作品展 開催概要

ガルー経歴と作品

「バリ絵画のある暮らし」お客様からのお便りと投稿写真

2014.1.4

新年あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

IMG_2016

バリ島は大晦日の夕方から雨が降り始め、新年は祝福の花火(爆竹?)の音と、降りしきる雨の中でスタートしたそうです。バリではニュピと呼ばれる新年の祭礼がありますが、バリ暦ではもう少し先のこと。官公庁や学校はお休みですが、一般のお店や会社は1日も普通に営業しています。

皆さまはどんなお正月を迎えられましたか?私は郷里の広島に帰り、母の作ってくれたおせち料理とお雑煮をいただきました。広島のお雑煮はすまし汁ですが、牡蠣が入っているんですよ。地方によっていろんな味付けや具材がありますね。

今年は9連休の方も多いと思います。その分交通ラッシュが分散されUターンも3日はまだ空いていると思いきや、日中の新幹線の指定席は満席。広島始発の自由席に乗り込むつもりで駅に行ったら、なんと有楽町の線路脇火災で東海道新幹線は運転全面見合わせ中、一旦帰って午後に出直しました。ようやく新幹線に乗れたものの、前方に電車が詰まっているせいか、途中かなりのノロノロ運転。通常広島ー東京間4時間のところを6時間かけて帰京しました^^;

新年早々とんだ災難と思うところですが、実はこの6時間、結構楽しめました。いつもは斜め読みのFacebookの友人たちの近況もじっくり読めましたし、まとめて書き物をしたりと…かなり集中できましたよ。そして、今年「バリアートショールーム」の活動をどんなふうにしていくかについても考える時間を持つことができました。

今年はギャラリー展示はもちろん、パートナーシップによる作品展示を含めて、バリ絵画に親しんでいただく機会をもっともっと増やしていきます。昨年11月にスタートしたインドネシアレストランのモンキーフォレストさんとのタイアップ企画『五感を満たす食卓』も2月に第三弾を予定しています。今回は一足早い春を感じていただけるよう花鳥画をメインに。そして、ギャラリー展示は1月にガルー作品展『静謐のとき』@ギャラリー開(東京・日本橋)、3月には一周年感謝展示即売会など、今年も毎回テーマを設けた展示会を定期開催します。

なかなか実現できていないのが地方での展示。本当にごめんなさい。ガルー作品展は設定日以外でも1月31日までの平日、ご連絡をいただければ作品を見ていただくことが可能です。出張などで東京に来られる機会がありましたら、contact@balikaiga.comまでご一報下さいませ。幻想的な熱帯風景画にきっと心ゆさぶられることでしょう。

<関連サイト>

ガルー作品展『静謐のとき』開催要領

2013.12.28

この8ヶ月を振り返って

こんにちは、坂本澄子です。今年もいよいよ押し詰まってきましたね。週2回(水、土)お届けしているこのブログ、今回が今年最後になります。この1年間応援して下さった皆様のご厚情に心から感謝します!今日はこの一年を振り返りつつ、この「バリアートショールーム」がめざしていることを改めてお伝えしたいと思います。

3月にブログを先行スタートし、4月の第1回以来、3ヶ月に一回、毎回違ったテーマで展示会を開催し、”ほんもの”のバリ絵画をご紹介してきました。

第1回絵画展第1回絵画展のテーマは、『青い海を描かない作家たち』でした。わずか数日の非日常を愉しむ”海辺のリゾート”としてのバリではなく、いつまでも心に何かを訴えかけてくるようなウブドを伝えたくて、このネーミングを使用しました。「バリの向こう側」と併せて、マーケティングに関する著書を何冊もお書きになっている中山マコトさんに命名いただいたものです。

ここに込めた想いは、最近色んな人がメッセージしていると感じています。例えば、12月18日のブログでご紹介した高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』(スタジオジブリ)もそうですし、来年の公開予定のバリを舞台にした映画『神様はバリにいる』(堤真一さん主演)もそう。日本人が失いつつある大切なことを「忘れないでね」と語りかけているように思うのです。

第2回絵画展私が出会ったバリ(ウブド)には、「大自然に繋がり、恵みを与えてくれる神様に感謝し、自分と関わる人たちを大切にして生きる」素朴な生き方が残っています。まわりを見渡せば、子供の頃におばあちゃんちの田舎で見たような懐かしい田んぼの風景が広がっています。それが第2回『緑に抱(いだ)かれる午後』でウブドの風景写真と共にご紹介した作品でした。

 私もほんの1年前までそうだったのですが、現代社会で生活している限り、日々の慌ただしさに追われ、時に気持ちがささくれ立ってしまったり、人とのつながりがギスギスしてしまったりと、色々ありますよね。じゃあ、皆でバリに引っ越そうという訳にも行きません。そんなとき、自分を取り戻せる時間が一日の中にほんも少しでもあれば、今日はどんなに疲れていても、また、明日から頑張ろうと思えてくると思うのです。

第3回絵画展そこで、自分自身に向き合うための時間を持ちませんかと発信したのが、第3回『秋の夜長に〜すてきなひとりぼっち』です。日本から4000km離れたバリ島ですが、その文化風習には同じ島国・農耕民族ゆえに共通するものがいくつもあります。それらをご紹介することで、日本人のある意味、心の原点に触れてみました。

美術館に行かれる方は多いですが、ご自宅に”ほんもの”の絵のある生活を送っておられる方は少ないと思います。あっても、リトグラフなどの版画(作品の右下に15/80といった番号がふられていますが、これは80点の版画を作ったうちの15点目という意味です)で、世界にたったひとつのオリジナルの作品をもつ人は非常に限られます。

理由は色々あると思いますが、一番大きな理由は絵が高価だからです。一流と言われる作家の肉筆には力があります。単に絵を描く技術だけでなく、想いがありそれが見る人の心を揺さぶります。でも、地元の美術館で作品が展示されているような作家の原画は少なくとも数百万円はします。ところが、インドネシアの物価はまだ日本の5分の1以下なので、最低価格が安定し、オークションなどの二次流通でも実積を持ったクラスの画家の作品が数十万円の金額で購入できるのです。「バリアートショールーム」でご紹介しているガルーさん、ウィラナタさん、ソキさん、アリミニさん、アンタラさん…、いずれもそうです。

ガルー新作ぜひ最もくつろげる場所に「世界で一枚のあなただけの絵」を持つ生活をして下さい。同じ持つなら一流作家の作品を。そして、そこに描かれた「バリの向こう側」を大切なものを思い出すきっかけとしていただければと思います。そのために、「バリアートショールーム」は来年もいい作品をお届けしてまいります。そんな想いに共感いただける方は是非来年もこのブログを読んでいただければ幸いです。次のテーマは『心の中の神様』です。画家さんたちにこのテーマで制作をお願いしました。その第一弾、新春1月にガルー作品展を日本橋Gallery KAIで開催します。詳細は来年1月10日にこのサイトを見て下さいね。

それではどうかよいお年を!

2013.12.25

あ〜、奥が深い – バリ舞踊とのコラボ

こんにちは、坂本澄子です。昨日バリからガルーさん(Ni Gusti Agung GALUH)の新作2点が届きました。はやる気持ちを抑え、子供の頃のサンタさんのプレゼントのように、一晩眠って今朝開けてみました。朝陽の中で見る風景は写真よりもずっと∞繊細で、田んぼの水面に映る空の色に吸い込まれそうになりながら、しばし我を忘れていました。新春1月に東京・日本橋のGallery KAIでガルー作品展を行います。昭和の空気漂う凛とした空間で静謐な作品をゆっくりとご鑑賞下さい。

好評開催中のバリ絵画展『五感を満たす食卓②バリの妖精たち』、残り6日間となりました。最終日の30日は『バリダンス、ゆく年来る年』が開催されます。バリ舞踊+バリ絵画のコラボをお楽しみ下さい。くわしくはこちらをどうぞ。

ブログ110_Naga Jepangの皆さん

Nega Jepangの皆さん。向こうの壁にバリ絵画も小さく共演させていただいてます^_^

さて、今日はそのバリ舞踊のお話です。

ゴメンナサイ、正直に告白します。実は…バリ舞踊って観光客向けのアトラクションってちょっとだけ思ってました。でも、そのイメージが全く塗り替えられてしまうほどの素敵な舞台でした。

23日、渋谷のバリカフェ・モンキーフォレストで、バリ舞踊とバリ絵画のコラボレーションライブが行われました。公演されたのは「Naga Jepang」の皆さん。主宰の荒内琴江先生は’04-’06年にインドネシア国立芸術大学に留学しバリ舞踊を学び、日常生活の信仰の中に生きているバリ芸能の素晴らしさを日本に伝える、まさにバリ舞踊の伝道師です。

舞踊にせよ、絵画にせよ、降臨した神々をもてなし、そして自らも愉しむ芸能・芸術として、バリの人々に大切に育まれてきました。元は村の祭祀で舞う踊りでしたが、’20〜30年代にバリ島に滞在したドイツ人シュピース(バリ現代芸術の父と呼ばれ、絵画の世界でも大きな影響を与えた人です)によって、外国人にも親しみやすい舞台芸術としてリメイクされ、現在は宗教儀礼とは切り離されたプログラムとして演じられています。

皆さんもよくご存知の「ケチャ」と「バロン」は絵画の題材としてもよく取り上げられる大変ポピュラーなものですが、今日は美しい踊り手たちの演目を中心にご紹介します。舞踏宮廷物語を扱ったストーリー性のある壮大な演目、神話の登場人物を扱った演目、鳥や動物たちの舞で構成される花鳥もの、さらには戦いの若き勝利者を扱った戦士ものなど、実に様々な様式があるんですよ。「Naga Jepang」さんの公演プログラムを引用しながら、ハイライトをご紹介しますね。

ブログ110_ミツバチの踊り『オレッグ・タムリリガン – Oleg Tamulilingan』

ミツバチの求愛を描いた踊り。優雅なメス蜂の踊りは女性舞踊の真骨頂とも言え、匂い立つような色香を感じさせる近藤ゆまさんが演じました。対するオス蜂はまるで宝塚の男役スターのような凛々しい荒内琴江さん。おふたりによる恋の駆け引きの様子を愉しませていただきました。美しい衣装、優美な動きに熱い視線が絡み合い、ぴったりと息の合った演技にため息。

レゴン・クラトン・ラッサム(ラッサム王を主人公とする宮廷物語)

 

 

 

『レゴン・クラトン・ラッサム – Legong kraton Lasem』

優美な宮廷物語のレゴン・クラトン。ラッサム王は森で出会ったランケサリ姫の美しさにひと目で心を奪われ、自分の城に連れて帰ります。王は執拗に結婚を迫りますが、既に婚約者のいる姫は頑なに拒み続け、怒った王は姫の国と戦争をすることを決めます。戦いに向かう途中、王の前に不吉の象徴とされる鳥が現れ、「おまえはこの戦いで血を吐いて死ぬだろう」と予言します。王は恐れを感じながらも不吉な鳥を追い払い、戦場へと向かうのでした…。

 タルナ・ジャヤ(若き戦士の踊り)『タルナ・ジャヤ – Teruna Jaya』

若き勝利者の踊り。女性が男装をして踊るこの踊りは、青年期の若者が感じている自信と不安、喜びや恐れなどを表情豊かに描いています。力強く、躍動感にあふれ、ダイナミックな中にも繊細さを感じる踊りでした。ちなみに私は最前列で鑑賞させていただいたのですが、射抜かれてしまいそうなほどの荒内さんの目ヂカラに圧倒されました。

わかりやすい解説付き、踊り手の息遣いが直接伝わってくる距離での鑑賞とあって、とても身近に愉しむことができました。目や手など常に身体のどこかを動かし表現力豊かなバリ舞踊。その技術的な難易度はもちろんのこと、芸術としての粋を極めるため、荒内先生を始め、短期留学を重ねては研鑽を積む踊り手さんも多いと伺いました。バリ舞踊、これからちょっと目が離せなくなりそうです。

そういえば、バリ島では公演を終えた踊り手さんが衣装メイクそのままでバイクで帰宅するところに出くわすことがあります。まさに日常生活における信仰に芸能が生きる島だと感じさせられます。

<関連サイト>

バリ絵画展『五感を満たす食卓②バリの妖精たち』

  いよいよ30日まで。バリアートショールームのFacebook pageで毎日作品を紹介しています。

歳末感謝セール 人気作家の作品が10〜20%off。こちらも12月30日までです。

2013.12.21

新春1月 ガルー個展を開催します

こんにちは、坂本澄子です。

2階のギャラリースペース東京・日本橋、昭和22年に建てられた木造家屋の2階にまるで隠れ家のような空間を見つけました。Gallery KAI (開)。オーナーの大津さんは以前日本橋にあった東急百貨店の美術部に勤めたアートのプロ。1999年の日本橋店閉店と同時に退職、生家であるこの日本家屋を改造し、1階をカフェ、2階でギャラリーを営んでおられます。カフェにも、同じ日本橋出身つながりからイラストレーターの水森亜土さんの作品が展示され、古きよき昭和の空気が流れています。

天井の梁にも時代を感じるご縁があり、2階のスペースを来年1月にお借りすることになりました。(この不思議なご縁についてはまた別の機会にご紹介します)この静謐な空間にふさわしい作品はやっぱりガルーさんの幻想的な風景画…ですよね。ちょうど新作2点が来週日本に届きますので、これを含めた5点を皆様に見ていただきたいと思っています。実施要領につきましては、近日中にご案内しますので、どうぞお見逃しなく!

なお、1月のプライベート絵画展もこちらで行います。日本橋交差点を一本入った便利のよい場所(東京メトロ三越前駅A6出口から徒歩2分)ですので、ぜひ併せてご利用くださいね。

さて、近年のインドネシアの経済成長には目を見張るものがあります。ガルーさんを始めバリの一流作家たちの作品価格はこの2、3年で軒並み1.5〜2倍近く上昇。古くからのガルーファンは嬉しいやら悲しいやら複雑なお気持ちだと思いますが、考えてみれば、美術館に作品所蔵される一流作家の作品が数十万で購入できる価格メリット(日本とバリの物価の違い)は依然魅力的です。でも、それも今のうち、この差は今後ますます縮まってくるでしょう。ぜひこの機会に、好きな作家の世界にひとつだけの原画をご自宅に持つ生活を始めてみてはいかがでしょうか。

最後の仕上げをするガルー

今回展示する作品に筆を入れるガルー

王族を親戚に持つアグンファミリーはウブドでも名家中の名家。父親も高名な画家だったガルーさん、弟のウィラナタさんは、バリ絵画を代表する作家として相変わらずの売れっ子ぶりです。特に首都ジャカルタやシンガポールでは、新たな資産家層を中心に自宅を彩る作品や投資用として大きな作品に対するニーズが高まっています。新作を受け取りに行ったときも、半年前から制作していた1.5m×1.0mの作品がようやく9割方完成したところで、お次は横3mの巨大キャンバスが制作を今か今かと待っていました。

プライベートでは、家の奥の敷地に貸しヴィラを建設中で、今は基礎工事の真っ最中でした。近年ウブドでも建築ラッシュですが、ガルーさんは工事代金が溜まるのを待ちながら、ゆっくりと建てたいとのこと。バリ島では建築資材は通常施工主が準備するため、工事の進み具合を見ながら現場に資材を運び込んでいるそうです。ヴィラが完成したら、ぜひ滞在したいですね。そうすれば、制作の様子をいつでも見れますし^o^ ちなみに、ガルーさんは朝型で、午前中に集中して作品に向かっているそうです。

<関連サイト>

ガルー経歴と作品

プライベート絵画展 サイト掲載作品を10点まで選んで実物をご覧になれます

歳末感謝セール実施中 人気作家の作品が12月30日まで10〜20%off

バリ絵画展『五感を満たす食卓②バリの妖精たち』好評開催中@バリカフェ・モンキーフォレスト

※土日祝は15時までお店にいます。バリ絵画の歴史や作品説明など何でも訊いて下さいね。