バリ在住16年「神々の棲む島バリ」は本当に
こんにちは、坂本澄子です。
前回のブログ「ウブドでヴィラに泊まるなら」に、たくさんのいいね!をありがとうございました。私もロカパラ・ヴィラのFacebookにアクセスして、改めてじーっくり写真を見ましたが、ため息がでちゃいました。今日はその続編として、オーナーの日暮若菜さんをご紹介します。ヴィラの素敵な写真もあわせてお楽しみくださいませ!
若菜さんはOL時代(懐かしいですね〜、この響き)、海外旅行が趣味でいろんな国を旅してきた後、最後に訪れたのがバリ島でした。そして、一瞬で恋しちゃったのだそう。それからはもう寝ても覚めても「バリ島に住みたい!」という気持ちは募るばかり。
こんなにバリに惹かれたのは、日本にいると、住まいを確保し、食べるために働かなければならない。でも、バリにいれば、外で寝ても寒くはない。バナナはその辺に生えているし、喉が渇けば椰子の木に登ってココナツを採れば、飢えることもない。決して怠けたいわけではないけれど、何だかとっても許されてて、バリの人たちの他人を許す大きな心って、そんなところから来ているのかな、すごいなと思ったのだそうです。
また、ちょうどその頃、アジア通貨危機で、滞在中のわずか一週間のうちに、マッサージ代が一気に倍になるようなスリリングな出来事も経験しました。成熟した日本と違って、これからとても面白くなりそうな国だなという気持ちもありました。
いったんこうと思ったら行動あるのみ、「まずは言葉」と思って、千葉大に通っているバリ人の先生に家庭教師に来
「とにかく、持ち金も皆無だったので、
実際にバリに生活してみると、日本人からみるとひょえ〜!!と思うことも多々あるそう。
「ちょっと具合が悪かったりするとバリアンに行って、そしてみるみるうちに治ってしまったりとかを目の当たりにすると、目には見えない力を感じます。それから、神様を信じているという意味ではほんとにすごいです。一番神様に近い人たちなんじゃないかと思います」
気がつけば、バリ島に住んで早16年。日本とは全く違ったりと大変なこともありますが、許され続けているうちに、相手のことも許せるようになり、ちょっとやそっとのことでは怒らなくなったそうです。そして、4年前にご主人のアリさんと出会い、ニュークニン村に住むことに。美しい田園風景が広がり、今でももっともウブドらしい場所です。
「ニュークニン村は私がウブドに長期滞在するようになって最初に住んだところです。まさか、
私も次にウブドに行く時は若菜さんのヴィラに泊めてもらおうと思っています。きっとウブドを、そして若菜さんのことをもっともっと好きになることでしょう。今からそんな気がしています。
そうそう、8月にプレオープンしたのに、どうして正式オープンは11月なの?って思いませんでしたか。バリ島では、オープン前に大きなお祭りをやる のが決まり。ちょうどよい日が11月になってしまい、それでなのだそうです。やっぱりバリ島は「神々の島」でした。
そんなバリ島の絵画をご紹介するバリアートサロン。第4回は「バリ絵画の歴史と進化」をお話し、代表的なスタイルの作品をご覧いただきます。好評受付中、詳しくはこちらから。
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ロカパラ・ヴィラ ・・・ヴィラの素敵な写真がたくさん
バリ島旅行ドットコム、agoda ・・・11月オープン、予約受付開始
幻想的な田園風景画 ・・・ ウブドの田園風景を繊細なタッチで描いた作品なら
第4回バリアートサロン開催のご案内・・・9月27日(日)11:00〜12:00
ウブドでヴィラに泊まるなら
こんにちは、坂本澄子です。
この仕事を始めてから、「ウブドに行きたいんだけど…」と声をかけてくださる方が増えてきました。頼りにしていただけて嬉しい限りなのですが、こと泊まる場所となると、実はちょっぴり悩んでいました。
私がウブドで定宿にしているところは長期滞在向け。1、2泊という場合には、ちょっとオシャレで、ウブドらしくて、日本人の視点でお勧めスポットを教えてくれる、しかも安心で、かつ、お値段手頃なところをおすすめしたいですよね〜。
オーナーはバリ在住の日本人女性、日暮若菜さんとご主人のアリさんです。若菜さんとはバリつながりで親しくさせていただいており、たまにメールをいただくと、とってもあったかい気持ちになれるんです。その若菜さんのヴィラとあっては、何がなんでも応援したくなりました。8月のプレオープンにさっそく泊めてもらった友達の感想を含めて、ご紹介させていただきますね。
ウブド南部のニュークニン村。近くにはモンキーフォレストもあります。道路はキレイに掃き清められ、ペンジョールが風になびいていました。見上げると、みずみずしいプルメリアの花が咲いています。
通りから小路を少し入った所にロカパラ・ヴィラはあります。
「ああ、ウブドっていいなぁ」としみじみ感じます。いつまでもそこにいたくなるような心地よい空間は、若菜さんのおもてなしとセンスの良さに溢れていました。
インドネシア語で「パラダイスのような場所」を意味する『ロカパラ・ヴィラ』、Facebookでもっとたくさんの素敵な写真をご覧になれます。バリ島旅行.comで11月からの予約も開始したそうですので、よかったらぜひアクセスしてみてくださ〜い。
ところで、若菜さんはバリ島に住んでもう16年になります。初めてバリを訪れたのはあちこち海外旅行をした最後の最後。海外旅行通の若菜さんがバリに一目惚れして、「ここに住みたい!」と思ってからの行動力は「これは運命?」と思えるほど。そして、3年前にご主人のアリさんと出会い、それまで外国人として外側から見ていたバリとは違う一面も見えてきたそうです。土曜日のブログでは、そんな若菜さんの人柄あふれるエピソードをご紹介したいと思います。
9月27日(日) の第4回バリアートサロンもまだ残席があります。今回は「バリ絵画の歴史と進化」と題して、バリ絵画の様々なスタイルの絵をお楽しみいただきます。
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こんなところに画家の工夫 ー プンゴセカンの巨匠ラバ
こんにちは、坂本澄子です。長雨の後、ようやくお日様が顔を見せてくれましたね。前回はブログをお休みしてしまい、ごめんなさい。
実は、今バリをモチーフにしたちょっとシュールな絵を描いています。
仕事でイヤなことがあって、グダグダに疲れて帰宅。「あ〜、もうヤダっ」とソファに倒れこむと、今日の出来事が脳裏に蘇ってきます。そんな時って、ありますよね。ふと、ソファの後ろに飾られたバリの絵が目にとまり、「あ〜、またバリに行きたいっ」とため息。目をつむってウブドの田園風景を思い浮かべていると、いつの間にかウトウトと。その波長が絵の風景とシンクロし、夢と現実の境目がなくなくなっていったらおもしろいな…と思った気持ちを、ソファで眠る人物、その後ろにかかった大きなバリ絵画という構図で表現してみました。
この絵に登場させる画中画については、かなり試行錯誤を繰り返しました。最初はバリで撮ってきた写真を元に描き起こそうかとも思いましたが、それはバリ絵画ではありません。バリの作家に対するオマージュとして、プンゴセカンの巨匠ラバさんの絵を模写させてもらうことにしました。その一部が左の写真です。
模写しながら、ラバさんの絵に対する自分の考えがどんどん変わっていくのを感じました。それまでは、「深い色の緑が、子どもの頃の懐かしい風景を思い出させてくれる」というノスタルジーに基づくものでしたが、新たに、これだけの作品を描くための画家の技術的な工夫を随所に感じたのです。
ひとつは色の調和の見事さ。ある色がその場所に使われているのは、画家にとっての必然性がちゃんとあってのこと。例えば、左の赤いインコ。主役にふさわしい強いコントラスで描かれています。赤の強さを中和させつつ、引き締める役割を果たしているのが黒。つなぎ色としての黄色。そして、頬に赤の反対色のシアンを使うことで、日本の着物の柄を思わせるような装飾的な美しさを出しています。
ふたつめは様式化された描き方です。背景の空と水を見ると、形を徹底的に簡略化し、その分、色と明暗とで変化を出しています。見る人が想像を膨らませて、その時の気分でいろんなことを考えられる間合いのようなものを作り出しています。例えば、この空の向こうにもうひとつ別のバリがあるんじゃないか…とか妄想してみると、あたまのマッサージになりそう。
そんなラバさんの絵の魅力は小さな絵にもぎっしりつまっています。バリアートショールームにある作品から2点ご紹介します。
先ほどの赤のインコを50cmx40cmのキャンバスに描いた作品がこちら『LOVE, LOVE Ⅲ』です。
雌の方は緑に溶け込むような淡いタッチで、赤の雄のインコとは対照的に描くことで、小さいながらも画面に広がりを感じさせます。
背景の緑は、笹のような尖った葉と三つ葉に蔓と、緑一色に見える背景の中にも、様々な変化があるのがわかります。白のプルメリアが曼荼羅的なリズムをもたらしているのも、面白いですよね。
『少年たちの情景』は緑と茶系の色使いで描かれ、母なる大地を感じさせる絵です。先ほどの作品と同様に、青みがかった緑から、黄色がはいった緑まで何種類もの色調が用いられ、濃淡、明暗による変化で、実に豊かな色の表現があります。
そして何と言ってもこの絵の特徴は、風でしなる椰子の木が斜めに横切るダイナミックな構図です。単純化された草や稲穂、水、空の形、そして、少年たちの素朴な表情が、逆にその力強さと動きを引き立てています。見る人を飽きさせない絵というのは、きっとこういう作品をいうのだと思わされます。
この2点は、9月27日の第4回バリアートサロンで実物をご覧になれます。好評受付中、詳しくはこちらをどうぞ。
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モノクロームな風景にいだかれる
こんにちは、坂本澄子です。
バリの風景と言えば、鮮やかな色彩を思い浮かべますよね。でも、このときは違いました。
ジンバラン湾に陽が沈む頃、空はやわらかなサーモンピンクに染まり、漁を終えた船がゆっくりと戻ってきました。淡い朱はグレーへと変わり、まるで薄墨を流したように、その深みを増していきました。やがて、あたりは闇と静寂に包まれ、波の音だけが私の心を浸すように、いつまでも耳に残りました。
これを見たとき、私はガルーさんの描いた『黄昏の静謐』を思いました。水田が夕暮れの空の色を宿し、淡い朱からやがて来る夜を感じさせる青みがかったグレーまで徐々に変化していく様が、ガルーならではの繊細な筆使いで描かれています。家鴨たちが影絵のように見えるのは、まさに静謐なモノクロームの世界です。
この絵を素晴らしいと思うのは、見る人の視線をいざなう絵作りです。
最初に目を惹きつけられるのは中央にある高い椰子ではないでしょうか。そして、この絵の中で唯一強い色が使われている女性の姿に視線が落ちると、今度は、彼女が見ている家鴨使いの少年の方へといざなわれます。水田に映る空の色の美しさと言ったら、グラデーションがうっとりするほど見事。この静寂な風景に、家鴨のシルエットが面白さと動きを加えています。これらを堪能した後、少年の視線を追うように棚田の方へと導かれ、最後は遠景の山々の向こうにすーっと抜けていきます。こんなふうに、絵全体を楽しませてくれた後は、先ほどの波の音のようにすがすがしい余韻を残してくれるんです。
「本物の絵が持つ力」を感じる瞬間です。ぜひ実物を見ていただきたいと思いました。そこで、この『黄昏の静謐』を9月27日(日)開催の第4回バリアートサロンで展示することにしました。当日はバリ絵画の歴史とともに、様々なジャンルの作品をご紹介しますので、ぜひお越しください。詳しくはこちらをどうぞ。
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第4回バリアートサロン開催のご案内 9月27日(日)11:00〜@有明ショールーム
ガルー作品ページ 人気女流画家ガルーの作品が他にもいっぱい
バリ&ロンボク旅日記 ちょっとアートな風景
こんにちは、坂本澄子です。
夏、あっという間に終わっちゃいましたね。急に肌寒くなり、慌てて長袖を出していたところに、今年もまた、写真家のTOMU SHIBAKIさんからバリ島とロンボク島の写真が届きました。その数、なんと2,098枚。どれも「あ〜、また、バリに行きたい!」と思うものばかり。この中から、皆様にもぜひ見ていただきたいなと思った、「ちょっとアートな光景」20点をセレクトしました。昨年もFacebookに投稿してご好評をいただいたTOMUさんの写真、ご一緒にお楽しみください。
のどかな田舎の風景がウリだったウブドにも開発の波が押し寄せ、その懐かしい風景が少しずつ変わりつつあります。寂しいと思う反面、伝統とモダンをうまぁくミックスして、新しい風景を作り出しているところが何ともバリ流だと思うことがよくあります。
ウブドにできた3階建ての新築のヴィラ。建築規制が厳しいバリでは、少し前まで3階建ては珍しかったのですが、今やこの形が定番なのだそう。その屋根の瓦にこんな可憐な白いお花が。プルメリアでしょうか。こんなちょっとしたところにも、バリのおもてなしの心を感じて、嬉しくなりました。
さて、いまバリで人気のホテルと言えば、アヤナリゾート&スパでしょうか。ジンバラン湾を見下ろす35mの崖の上に広がる広大な敷地。特に、絶景の夕日が楽しめるロック・バーは話題のスポットですが、それ以外にも様々なアートが、訪れる人の目を楽しませてくれています。
エレベータの扉が開くと、思わず目をひくオブジェたち。流木から伸びた足にガラスの靴。そして、壁にはそれらを取り巻く青いガラスのお皿が。何とも不思議な童話の物語のような世界に、時間を忘れて、見入ってしまいました。
バリに来て真っ先に感じるのは光の眩しさ。光と影の織りなす光景はそれだけで絵になります。バリアートショールームでご紹介している絵画作品にも光をモチーフにしたものが多いのはそのせいかもしれませんね。
そして、次はと言えばカラフルな色たちです。バリ島でスーパー・マーケットに行くと、所狭しと珍しい南国の果実が並んでいます。このピンクの果物はドラゴンフルーツと言って、ゴツゴツした皮を半分に切ると、あら意外、白い果肉に小さなツブツブの種。勇気を出して食べてみると、大人のバリの味がしました。
グロテスクな姿からは想像できないほどロマンチックなのがお花。真夜中に一夜だけ咲くのです。青みがかった白い花はまるで満月の光を受けて輝いているように見えました。
こちらはマンゴーの仲間でしょうか? 何だかわからないけど、見ているだけで楽しくなってきませんか。水玉模様を描いたら、まるで草間彌生さんの世界ですね。
この続きは、明日から「バリアートショールーム」のFacebook pageに毎日1点ずつ投稿します。Facebookをお使いでない方でもご覧になれますので、ぜひ毎朝アクセスしてみてくださいね。Facebookをお使いの方は、「バリアートショールーム」にいいね!してくださると嬉しいです。
私事で恐縮ですが
こんにちは、坂本澄子です。
今日は私事で恐縮ですが、嬉しいことがありましたので、どうかおつきあいください。
私も以前から趣味で絵を描いていましたが、今回思い切って応募してみた二科展に初入選しました。つらかった時に私を支えてくれたある風景を描いたもの。今日はそんな私の絵にまつわる思いをお話させていただきたいと思います。
30歳を過ぎた頃、駅前で見かけた絵画教室のポスターがきっかけで、小さな娘を連れて絵を習い始めました。休日くらいは何か一緒にできればと思ったのです。いろんな意味で大変な時期でしたが、不思議と絵を描いていると、他のことは忘れられるんです。そんな自分に、いつか絵に関する仕事ができたらいいなあと漠然とした憧れを思っていました。
外資系企業に勤めていたこともあり、外国人の家庭に招かれることが多かったのですが、どのお宅もお部屋を飾ることの上手なこと。住まいという空間を心地よいものにするためのエネルギーが全然違う、ひいては、生活の質も違うと感じていました。家族の写真やちょっとした記念の品がオブジェとして飾られ、ポスターや複製画ではない本物の絵がさりげなく暮らしの中に取り込まれているのがとても印象的でした。
中でも、英語の先生だったサンドラとは、一昨年アメリカに帰国するまで10年に渡り親しくさせてもらいました。母親のような存在だった彼女が整えた部屋はとても居心地がよく、夫婦揃ってアート好きの自宅には大小様々な絵が飾られていました。ご贔屓の作家だったり、友人が描いた絵だったり、私がクリスマスにプレゼントした絵ですらも、ベッドルームに飾ってくれていました。審美眼といいますか、自分なりの美のモノサシをちゃんと持っているのです。また、それぞれの絵とご自身の個人的な経験がちゃんと紐付いている、それが毎日の生活を豊かにしているのだと感じました。
そんな絵のある暮らしに憧れていた頃、勤続記念に長期休暇が取れ、たまたまバリ島を訪れました。そこで様々なアートや作家と出会い、こんな魅力的な絵が、しかも、手の届く値段で買えることに正直驚きました。これなら、日本で「本物の絵のある暮らし」を提案できるかも知れない。漠然とした思いが、現実味を帯びてきたのはその時からです。物販というよりも、サンドラの家で感じたような、絵があることで作り出される精神的な作用や生活の質といった「物質的な価値以外の何か」を感じてもらえる仕事がしたいと思いました。
出会いと偶然に導かれ、長年過ごしたIT企業を卒業し、絵画の世界に飛び込んだのは3年前のこと。最初は何もかもが初めてのことで、バリ島で画家を訪ね絵を買ってくることも、日本で絵画展を開くことも、ウェブサイトを作り、ブログに文章を書くことも何もかもが試行錯誤の毎日、でも、とてもエキサイティングでした。
しかし、それも一巡すると、できないことの方がだんだん目につくようになってきました。日本で絵を売ることは想像していた以上に難しく、次第に手元資金も少なくなり、焦る気持ちだけが日々強くなるばかり。また、営業として外を飛び回っていた前職と違って、1日のほとんどの時間を一人で過ごすことの孤独さといったら。独立した経験をお持ちの方なら、誰でも一度は通られた道ではないでしょうか。
何かしなくてはいられない焦燥感からか、夜が明ける前によく目が覚めました。マンションの19階の窓の外はまだ薄暗く、眼下に広がる高速道路や建築中の街並み、次第に明けゆく空と海を見ながら、弱い自分と戦っていると、そんな早朝でも高速を走っている車や外を歩いている人が結構いるんです。あのトラックは、この前絵を運んでくれた運送会社の車かも知れない、犬を散歩させているあの人は来月ジョイントで展示会をする住宅メーカーの人かも…などと想像を巡らせると、私のこの小さな仕事も、多くの人々の協力で成り立ちお客様へと繋がっている、そして、それはいつかまた私のところへ戻ってくる。そんな目に見えない繋がりを感じて、とても勇気づけられました。感謝から祈るような気持ちでした。バリの人たちのように。
それからは、せっかくできた時間を大切にして、毎日絵を描き、バリ絵画はもちろん、絵に関する勉強をし、美術館やギャラリーに足しげく通うなど、自分が望んだ、絵の世界を「楽しむ」毎日を心がけました。その頃の自分を思いながら描いたのが、入選作品『世界に続く窓』です。これまでしてきたことが小さな実を結び、方向性として間違っていなかったと嬉しく思うとともに、またひとつ次の視界が開けたように感じました。
今回の入選を励みに、これからも「本物の絵のある暮らし」をご提案する活動を続けていきたいと思います。
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第100回記念二科展公式ホームページ 9月2日〜14日@国立新美術館
安野光雅展を見てソキを想う
こんにちは、坂本澄子です。
急に涼しくなりましたね。窓を開けて寝ていたら、夜中に寒くて目が覚めました。暑くて目が覚めていた少し前とは大違いです。季節の変わり目、どうぞくれぐれもご自愛ください。
さて、先日、新宿にある損保ジャパン美術館に「旅の風景 安野光雅 ヨーローパ周遊旅行」展を見に行ってきました。最終日の前日とも相まって、絵本の原画約120点の前はかなりの賑わい。
安野さんが気の向くままに旅をして描いた水彩画の数々が、イタリア、スペイン、イギリス、スイス、ドイツ…と国ごとに展示されています。それぞれに違った味わいがあり、また、作品に添えられた安野さんご自身が書かれた文章を読むと、その鋭い観察眼と共に、幅広い知識に裏付けされていることを感じます。風景の中に描かれた人々の姿や暮らしぶりの正確さは、その国の人も驚くほどです。
緻密でかつ俯瞰的な描写が持ち味の安野さんの作品ですが、バリ島で初めてソキさんのギャラリーを訪れたときに持った印象もこれとよく似たものでした。安野さんの風景画は旅人の視点で描かれていますが、ソキさんはそこに暮らす住民でありながら、同様に俯瞰的な神の視点をもって描かれています。多くの人物を描きながら、誰一人特別な存在はありません。神の前にはみな小さな存在であり、恵みによって生かされていることを意識した描き方なのです。
代表作『バリ島』は全島を斜め上空から見下ろした面白い構図。2、3000m級の山々が連なる北部、なだらかな平野が広がる南部という地形が直感的に感じられます。最も尊いもの(この作品では聖峰アグン山)が絵の一番上に来るというバリ絵画の伝統的な約束事に従い、祭礼の島の生活のさまざまな場面がびっしりと描かれています。
島の南半分を覆いつくす赤はバリの大地をイメージしたもので、所々に点在する青は北部の山から湧き出た清水がバリ全土を潤していることを伝えています。この大地と水が作物を育み、やがて大きな実りとなってバリの人々の暮らしをささえているわけです。また、海に目を向けると、漁師が魚を獲っています。人々は自然から恵みを受け、神に感謝の気持ちを表すための祭礼を行います。この伝統的なバリ島の生活がソキさんの絵の主題です。
この壮大な作品(80cmx100cm)から、それぞれの場面を切り出して描いた小品は、ソキ作品の魅力が身近に感じられるいわば入門編。それぞれの作品画像をクリックすると、詳細ページをご覧いただけますので、モチーフ解説とあわせて細部の描写をお楽しみください。
『村の稲刈り』 |
『バロンの祭列』 |
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『ウブドの市場』 |
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ソキ紹介ムービー ソキの魅力を3分間で (youtube)
ソキの作品ページ ソキの作品をもっとご覧になりたい方はこちらへ
バリの古典絵画 その素朴なあじわい
こんにちは、坂本澄子です。
天井にいっぱいにギッシリと古典絵画が描かれた場所をご存知でしょうか。バリ島東部の古都クルンクンにあるスマラプラ宮殿です。イスラム勢力の侵攻から逃れてきたジャワの知識階級(王国の廷臣、僧侶、工芸師)がバリ島に渡来したのが16世紀。文学、影絵芝居、音楽、彫刻など様々な文化がもたらされ、現在のバリ島の文化の土台を形成しました。
そのスマラプラ宮殿で最も異彩を放っているのが、こちらクルタ・ゴサ。裁判所として1942年まで実際に使用されていた場所で、村のレベルでは解決できない問題や犯罪が持ち込まれました。当時使用された机や椅子がそのまま残されており、天井にはこの通り、いっぱいにかけられた絵画。首が痛いのをガマンしてしばらく見ていると、それが地獄絵であることがわかります。
さすが裁判所。悪いことをするとこうなるというのを絵で示しているというわけです。三途の橋を渡る人々、落ちれば下は火の川です。地獄の大釜で釜茹でにされる人。木の葉が剣になってきて、グサッ。地獄の様々な刑罰の場面がずらりと並んでいる割に、こわーいという感じにならないのは、その素朴なタッチのせいでしょうか。
続いては、少し優雅に行きましょうか。
同じ敷地内にあるバレ・カンバン。水の宮殿とも言われ、水に浮かぶように建てられた珍しい建築様式。王族の休憩所として建てられたこの場所は、暑さをしのぎつつ、池に咲く蓮の花を愛で、音楽に打ち興じていた雅やかな姿が眼に浮かぶようです。ここにもギッシリの天井画が飾られていますが、こちらはラーマーヤナー、マハーバーラタなどヒンドゥ神話の場面が描かれています。
ヒンドゥ教の三大神と言えば、プラフマ(世界の創造を司る神)、ウィシュヌ(世界の秩序を司る神)、シヴァ(終わりの日に世界の破壊と再生を司る神)と、それぞれに役割があり、中でも、10以上の化身を持って物語にも多く登場するウィシュヌは、バリの人々から敬愛され、絵画のモチーフとしてもよく取り上げられています。横向きの顔、平面的な人物描写が特徴ですが、それは、バリ絵画が影絵芝居を起源としているからなんです。
このように、バリの芸術は神々と人間界をつなぐものとして生まれ発展してきました。舞踊しかり、音楽しかり、彫刻、絵画などの装飾しかりです。絵画においては、描く題材はあらかじめ決まっており、描き手個人の個性を発揮するというよりは、職人としての技術的な面が重視されました。この古典的な描写を今に伝えているのが、カマサン・スタイルで、素朴な味わいがあります。
そのカマサン・スタイルから女流画家ムリアティが描いた『ラーマヤナー 魔王と戦う正義の猿軍団』をご紹介します。
『ラーマヤナー』はウィシュヌの化身であるラーマ王子が政変で国を追われ、鬼神にさらわれた妃シータを探して旅する物語。お供の猿王ハヌマンがサル軍団を率い、鬼神とその手下と大乱闘を繰り広げるシーンは、物語の中でも一番の見せ場。
画面中央の大男が鬼神ラワナ、羽交い締めにされているのがハヌマン、右上の人物がラーマ王子と弟のラクシュマナです。戦いの場面ですが、悲惨感はなく、どこか滑稽な感じさえするのは、先ほどの地獄絵に共通していますね。
バリ絵画ファンなら、一枚は持っていたい古典絵画。その素朴な味わいをお楽しみください。
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バリ舞踊とガムランの調べに酔いしれる濃密な時間
こんにちは、坂本澄子です。
先日、「阿佐ヶ谷のバリ舞踊祭」で素晴らしい踊りを見せてくださったあのお二人が8月30日(日)17:00〜再び舞台に立ちます。山室祥子さんと荒内琴絵さん。日本におけるバリ舞踊の第一人者です。
山室さんは阿佐ヶ谷のバリ舞踊祭では天照大神(アマテラスオオミカミ)に扮し、後半はバリの伝統舞踊『タルナ・ジャヤ(若き勝利者の舞)』で迫真の踊りを見せてくださいました。ど素人の私でさえ、最初から最後まで目が離せなかったほど。アメリカ人のガムラン奏者と結婚され、現在はアメリカ在住。いまや、里帰りのときにしか、その壮麗な舞は見ることができなくなりました。
一方の荒内さん。暴れん坊の弟神・須佐之男命(スサノオノミコト)を舞い、その役柄にふさわしい力強い踊りを披露されました。荒内さんの踊りはこれまでも何度か見せていただきましたが、独特の目力をはじめ、表情豊かな表現力は人をそらせません。
8月1日のブログ「夏恒例!阿佐ヶ谷バリ舞踊祭」もぜひ読んでみてください。山室さん、荒内さんの舞がどれだけ素晴らしかったか、その雰囲気を感じていただけるのではないかと思います。なお、今回の演目は『森の王者の舞』『悪い精霊の仮面舞踊』などバリの伝統舞踊、創作舞踊を中心に行われます。
お二人がいかに類稀な踊り手かをわかっていただいたところで…、でも、それだけじゃないんです!またまた、日本でガムラン奏者といえばこの人、櫻田素子さん率いるガムラングループ「トゥラン・ブー
実は、この公演、山室さんのアメリカ帰国前に緊急企画されたもの。あいにく私自身はその日は所用で東京を離れており、どうしても間に合いそうにありません。しかし、こんな機会はそうあるものではありません。せめてこのブログを読んでくださっているバリファンの皆さまにお伝えしたい。そんな気持ちでご紹介させていただいています。
会場は目黒のチャベ。インドネシア大使館員も通う、知る人ぞ知るインドネシア料理の名店です。30席の半分は既に予約が入っているそうですので、ご興味あればどうぞお早めにお申し込みください。詳しくはこちらのご案内をどうぞ。
天界と人間界をつなぐバリ舞踊。その奥深さを2人の名手が舞い、ガムランの伴奏が盛り上げます。本格インドネシア料理とともに、南国の濃密な夜に身を委ねるひとときを過ごしてみませんか。
最後にバリ舞踊を描いたアンタラ氏の作品をご紹介します。
現在のバリ舞踊の原型になった古典舞踊劇、ガンプーに登場するプトゥリ(お姫様)です。「バリの伝統芸能を世界に伝えたい」と語る氏の作品は細部に至るまで正確に再現した描写が特徴。衣装に使われた伝統的な織物の柄まで忠実に描いています。アンタラ氏のバリ舞踊をモチーフにした作品はご希望の演目で制作を承ることも可能です。お問い合わせはこちらのコンタクトフォームからどうぞ。
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ひんやりとした空気に包まれる朝
こんにちは、坂本澄子です。
毎年、お盆の週にバリ島とお隣のロンボク島に嫁いだお友達に会いに行かれるお客様がいらっしゃいます。今年も素敵な写真にやさしいメッセージを添えて送ってくださいました。
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「トッケーの声とともに目覚めると、雨が降っていました。冬にあたるこの季節、ウブドはひんやりとした朝の空気につつまれています。雨の音を聴きながら、心がほぐれていくのがわかります」
「私にとって、毎年バリに来ることは『忘れ物をとりにいく旅』でもあります。慌ただしい毎日の中で忘れてしまっていること。それがバリにくると見つけられるんです。やさしい気持ちになること。お腹の底から笑うこと。小さなことでも感謝すること…」
「ビンタンビールのデザインが1年前と変わっていました。インドネシア建国70周年記念(8月17日)の限定デザインなのだそう。ついついグビグビいっちゃっいます。田園風景を見ながらひとりの〜んびり飲むビール、これもバリの楽しみです」
「今日はこちらに嫁いだ友人夫妻と食事。二人の間に生まれた男の子ももう2歳です。彼女はバリ島での生活を笑いに変えて話してくれました」
「クサンバ(バリの東部)まで足を伸ばして、バリで初めて釣りをしました。使われなくなった桟橋で、地元のお父さんたちに混じって。カタコトで訊くと、朝晩はイカやアジがよく釣れるんだそうです。釣れましたよ、アジ^o^」
「今日はロンボク島に渡り、スンギキビーチへ。波の音を聴いていると、心も洗われます。海の向こうへ陽が沈むにつれて、空がその表情を変え、椰子の木のシルエットが浮かび上がってきました。・・・忘れ物、たくさん取り戻しましたよ」
素敵な写真とやさしいメッセージ、ありがとうございました!!
朝のひんやりした空気って、ぴりりと覚醒しますよね。胸いっぱいに朝の空気を吸い込むと、身体の中にたまったモヤモヤが押し出されて頭もスッキリ。夕日はやさしい気持ちをくれます。淡い朱の空気の中に身体ごと溶け込んでいきそう。
ガルー作品ページもぜひ覗いてみてください。お部屋にいながら毎日こんな気分が味わえますよ〜。
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