バリアートショールーム オーナーブログ
2016.9.7

バリ絵画の歴史① 絵画のスポンサー

こんにちは、坂本澄子です。

古今東西、絵画の題材にはその時代のスポンサーが誰かが色濃く反映されています。

例えば、ルネッサンス期の画家と言えば、レオナルド・ダビンチ、ラファエロ、ミケランジェロ…が真っ先に思い浮かびますよね。主な作品はいずれも宗教画です。聖書の場面やイエス・キリストとマリアの母子像などが盛んに描かれました。これは当時の芸術のスポンサーが教会だったからなんです。

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システィーナ礼拝堂の天井いっぱいに描かれた『最後の審判』

教会から注文を受けて、ダビンチはサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に『最後の晩餐』を描きました。そして、ミケランジェロは『ダビデ像』など彫刻家としての方がむしろ有名ですが、絵画でも超大作を残しているんです。システィーナ礼拝堂の天井画『最後の審判』は4年の歳月をかけて彼ひとりで描いたそうです。フレスコ画なので、漆喰を塗っては描き、また塗っては描きを延々と繰り返します。そうしているうちに、首が曲がったままになってしまったとか。

バリ絵画もこれとよく似た歴史を辿っています。14世紀、イスラム勢力の侵攻によりお隣のジャワ島を追われた僧侶や貴族によって、様々な文化がバリ島にもたらされました。中でも最も大切にされたのが、神様とつながるための手段である舞踊でした。舞うのは村の中で選別され、子供の頃から厳しい稽古を積んだ少女たち、いわば巫女です。

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水の宮殿バレカンバンの天井に描かれた宗教画

そして、舞踊の伴奏としてガムランが発達し、その楽器を彩るために描かれたのが絵画だったというわけです。やがて、『ラーマヤナー』など神話の世界が描かれるようになり、バリ島の古都クルンクンにあるスマラプラ宮殿の天井画など、優れた作品が残されています。この時代のスポンサーと言えば、やはり祭礼を重んじた王族・貴族たちでした。

 

この古典絵画の技法はカマサン・スタイルとして現代にも受け継がれています。平面的でシンプルで素朴な描き方ですが、ほのぼのとした味わいがありますよね。

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『マハーバラタ』よりクリシュナ (カマサン・スタイル)

20世紀になり、この古典技法が発展したバトゥアン・スタイル(ウブドに近いバトゥアン村で描かれたため、こう呼ばれています)も、西洋絵画の影響をあまり受けることなく、バリの伝統絵画を今に伝えています。バトゥアン・スタイルでは、物語の場面がさらに細かく、画面いっぱいにぎっしりと描かれるのが特徴です。

『戦いの女神ドゥルガー』

『戦いの女神ドゥルガー』(バトゥアン・スタイル)

秋の気配を感じるこの季節になると、絵巻物の中を旅するような古典絵画に惹かれます。描かれたものを見ていると、ゆっくりと夜が更けていきます。耳を澄ますと、遠くから虫の声が聞こえてきました。

<関連ページ>

カマサン・スタイル・・・バリの古典絵画

バトゥアン・スタイル・・・カマサン・スタイルから派生した伝統絵画。

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2016.9.1

1500号の超大作 アトリエには5台の脚立が

こんにちは、さかもとすみこです。

素晴らしい画家にお会いしました。遠藤彰子さん、来年古希を迎えられるとは思えないほど、エネルギーに溢れた女性。と言っても、押しの強い感じはなく、自然体での強さ、いくらでもお話していたくなるような、素敵なオーラを持ったアーティストです。

そんな遠藤さんの作品を初めて見たのは今年7月、横浜美術館の所蔵作品展でのこと。横幅3mを超える大作には視点がいくつもあり、見ているうちに大きなキャンバスをぐるりと一回りしてしまうような、なんとも不思議な構図でした。先日たまたまNHKの日曜美術館を観ているときに、相模原の市民ギャラリーで「遠藤彰子の世界展」が開催中であることを知り、最終日に車を飛ばして見に行ったというわけです。

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最新作『眸(まみ)ひらく明日』1000号

いきなり度肝を抜かれました。キャンバスの中でも最大のサイズ、500号を2つ、あるいは3つをつなげた超大作がずらり。ダイナミックな構図と極細の筆で描きこんだ細部の二面性を持つ作品で、天井の高い会場が狭く感じられるほどでした。

メルヘンのようなふわっとした明るさ、楽しさの一方で、どこか不安を感じさせるような面も。その多面性こそが現実の世界を象徴しているのかも知れません。

入り口付近でニコニコと立っておられたのが、当の遠藤さんでした。図録を買っていたら、「よかったらサインでもしましょうか」と声をかけてくださり、お話できる機会にラッキー。制作の上での様々な工夫や人となりを感じさせる楽しいエピソードをいくつもお聞きできました。

特に印象的だったのが、新聞の連載小説の挿絵のお仕事をされたときのこと。これまで、日経新聞夕刊の『刑事たちの夏』(’97〜’98)朝日新聞の『賛歌』(’04〜’05)、毎日新聞の『古い土地/新しい場所』(’10〜’13)と1000点を超える挿絵を手掛けてこれました。

「1点仕上げるのに4〜5時間はかかるんですよ」

毎日のことなので、その間は旅行にも行けないし、学生(武蔵野美術大学で教鞭)から飲みに行こうと誘われても行けない。どうしてもと言われたときには帰ってから描いて、夜中にバイク便で取りに来てもらうといった過酷な日々だったそう。

「ビオラ弾きのお話だったのに、私はビオラをよく知らなかったのね」

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お辞儀している漫画がかわいい

挿絵の仕事は、知らないものも含めて様々な題材を描かなければならない。また、電話の場面が一週間も二週間も続くことがあり、どうやって変化をつけるか工夫せざるを得なかった。それがとても勉強になり、今大作を制作する上でとても役にたっているといいます。絵に対する真摯で謙虚なお姿にじーんと来ました。

比べるのもお恥ずかしいですが、私も3年前に自分で書いた小説をブログで連載しており、そのための挿絵を毎日描いていました。同じ雰囲気の場面が続くとき、どうしても似たイメージしか湧いて来ず苦労した経験があるので、いかに大変なお仕事かがとてもよくわかりました。

しかし、「どんどん頭の中に湧き出てくるから、描いて外に出さないと頭がおかしくなっちゃいそう」と仰るのは羨ましい限り。きっと先生の頭の中には、とてつもない内宇宙が広がっているのでしょうね。

ところで、今回展示された30点は半分なのだと聞き、もう一度「えーっ?!」。来年11月には武蔵野美術大学で全作品が見れる展示会が開かれるそう。もう絶対行きますっ。

 

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2016.8.27

未来への軌跡

こんにちは、坂本澄子です。

今年娘が社会人になりました。親子というよりは同志に近い関係ですが、少しだけ肩の荷が下りました。娘に対する思いを描いた作品が今年も二科展に入選しました。バリ絵画という、人様の絵を扱う上で、自分自身も絵に対する軸をしっかりと持ちたいと思っており、目標にまた一歩近づけたことをとても嬉しく思っています。

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『未来への軌跡』

その100号の作品、「過去」「現在」「未来」と3つの次元で構成されています。娘を主人公に描きつつも、自然と自分が歩んできた道が重なっていきます。

例えば、家並みの窓に浮かび上がる母子のシルエット。周りの風景は私自身が子供の頃に見た郷里・広島の街並みがモデルになっています。庭にあったびわの木には毎年たくさんの実がなっていました。何年か前に枯れてしまい、今では記憶の中にだけ存在する木。私をずっと見守ってくれた故郷の風景に感謝の気持ちを込めました。

中央は「現在」。これから始まろうとしている出会いに対する高揚感を影で表現してみました。影は時として実体よりも雄弁に内面を語ります。戸惑い、憧れ、情熱、様々な想いを影に託してみました。

そして、「未来」。いま住んでいる東京の有明は2020年に向けて街全体が大きく変わろうとしています。多様な価値観を受け入れ、未来へと向かって歩んでいく姿をイメージしてみました。有明と台場をつなぐ「夢の大橋」が舞台ですが、ここはケン(フレンチブルドッグ♂5歳)との散歩コースで。波のようなタイルの模様が特徴的な、私の好きな場所のひとつです。

母親という立場や役割は変わらなくても、娘との関係は少しずつ違ったものになっていくことでしょう。ちょっぴり淋しくもあり、嬉しくもあります。そしてなにより、これからは私自身がもっともっと輝けるよう、頑張らなくてはと思っています。

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第101回二科展 

会期:8月31日(水)〜9月12日(月) ※9月6日(火)休館
   10時〜18時(最終日:14時終了)

会場:国立新美術館(六本木)

 

 

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2016.8.24

日本の夏 風情ある情景

こんにちは、坂本澄子です。
オリンピックの熱戦に連日熱くなり、閉会式を迎えたら、あっという間に夏も終わりに近づいていました。まだまだやりたいことがいっぱいあったのに…と、毎年感じる、過ぎ行く夏を惜しむ気持ち。今年もまた繰り返しています。

ふわりと泳ぐ金魚。
次の蕾を数える朝顔。
ぽとりと儚い線香花火。
まぶしい夏色のほおずき。
移り変わる蝉の鳴く声。
朝靄の中で開く蓮の花。

今年こそはこんな風景にゆっくりと身を委ねてみたいと思っていたのに、本当に時は慌ただしく過ぎていきます。

gold fishそれならと、イマジネーションをフル稼働して、自ら描いてみました、日本の夏。写真によくある誰もが想像する構図ではつまらない、絵だからこそできる表現をめざしたいと思いました。

写真の金魚は以前浅草の和紙のお店で見つけた金魚柄を自分なりに再現してみたものです。水に映った空はバリ島の風景画からヒントを得ました。

lotusそれから、上野の不忍池の蓮池。広い池いっぱいに蓮の青々とした葉が連なり、ところどころにぽってりとしたピンクのつぼみが。夏も終わりに近いこの時期まで、花が見ごろなのは珍しいですよね。

こんな作品をインスタグラム(写真のSNS)に投稿していたら、「自分にも思い出す懐かしい風景があります」と写真を送ってくださった下さった方があり、とても嬉しく拝見しました。
夕方近くになると、チリンチリンと自転車でわらび餅を売りに来るおじさん。船の形をしたモナカに盛った、よく冷えたわらび餅が、確か10円でしたっけ。今の方が物質的には遥かに豊かになりましたが、風情を感じる心の豊かさという点ではあの頃に軍配が上がります。

そんな素朴で懐かしい情景に出会って、バリ島に恋してしまった人は多いでしょう。私もその一人ですから。

日本の夏の情景を描きながら、いい絵というのは、観る人の想像力を掻き立ててくれる作品ではないかと思いました。バリ絵画で言えば、やはり、ガルー(Galuh)、ウィラナタ(Wiranata)でしょうか。新作を見るたびにその思いを新たにし、すごい画家だと感心することしきりです。

Wiranataもよく子共の頃の情景から着想を得て、絵づくりをすると話してくれたことがありました。バリと日本と懐かしさのツボがどうやら似ているようです。そんなおすすめの作品はこちらをどうぞ。

美人女流作家ガルーの幻想的な風景画

ウィラナタの心象風景画

おまけ:坂本澄子の日本の夏シリーズはインスタグラムに掲載していきます。よかったらsumiko.c.sakamotoをフォローしてくださいませ。

 

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2016.8.17

軽井沢の休日② 千住博美術館

こんにちは、坂本澄子です。
軽井沢の休日第二弾は、「軽井沢千住博美術館」をお届けします。

あちこち美術館巡りをして思うことは、大規模な企画展もいいけれど、地方のプライベート美術館にもいいところがたくさんあります。コレクターとしての蒐集のコンセプトがはっきりしており、また、作品に加えて建物や風景を含めた一体感でメッセージ発信しているミュージアムに出会うと、いつまでも記憶に残りますよね。

私の場合ですと、直島の地中美術館ベネッセハウスミュージアム(香川)。ホキ美術館(千葉)、DIC川村記念美術館(千葉)、清春芸術村(山梨)などがそうで、軽井沢千住博美術館もまさにそんなタイプのアートスペースです。
一歩入って驚きました。床全体が緩やかな下りになっていて、所々にガラスでできた外界との接点があり、光と緑にあふれる野山を散策しているような感じで、見て回れるのです。

千住博さんといえば、滝(Water Fall)や崖(Criff)といったように、半抽象的な作品イメージがあったのですが、そんな思い込みは一気に吹き飛び、画家としての幅の広さに感動!でした。

6f54a02ff7c54821abcbb929122209f3-600x852開催中の四季「秋冬」展のポスター(下半分)にもなっている『湖畔初秋図』と『湖畔に蜻蛉図』は屏風風に横につなげて、丸い部屋をぐるりと取り囲むように展示されているのですが、2つの作品が繋がっているようで、別次元のようでもあり、なんとも不思議な構図。単なる風景画を超えて、見る人に様々なストーリーを想像させてくれます。絵の中にご本人も登場されてるのですが、さすがよく似てますよ〜。(画像をクリック)

私のイチオシは、遠い国の森に住む一頭の小鹿が主人公の、一夜の冒険の物語を描いた連作。16点からなり、キャプションと一緒に小さな地図があります。お父さん鹿、お母さん鹿と一緒だった最初の場所から、ひとりどんどん離れて行くのがわかり、ハラハラ見守りながら、想像力が逞しくなっていくのがわかります。

川に映る一面の銀河、小動物たちが潜んでいそうな暗闇の中、人っ子一人いない街のネオン…。どの作品も色彩を抑えた主張しすぎない作りだけに、見る人の気持ちがグイグイ入っていく感じなのです。一度みた後、もう一度No.1に戻って順番に見直しました。そうするとまた違う発見があるのですね。何度でも見たいなあと思ったら、ちゃんと『星のふる夜に』という絵本になっていました。ミュージアムショップで売っていたので即買い。amazonにもありました。

fa898f235b6e7ebee99cdcad11a88213ところで、大地と一体化したようなこのユニークな美術館を設計したのは西沢立衛(りゅうえ)さん。瀬戸内海のアートの島として有名な豊島(直島のお隣)の美術館を設計したことでも有名。後から気がついたのですが、先月MoMAで紹介されていた建築家のひとりでもあります。

軽井沢って新幹線でわずか1時間。機会がありましたら、ぜひ立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。

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2016.8.13

軽井沢の休日① 別荘にお招きいただきました

こんにちは、坂本澄子です。

先日の「山の日」は、前職時代からの友人Tさんに軽井沢の別荘に誘っていただき、涼しい休日を過ごして来ました。
集まった10人は、私が’02年に大阪から東京に転勤となり、初めて配属された部署からのご縁。それまで営業経験しかなかった私がアジア・パシフィック本社勤務となり、初めての東京、初めてのスタッフ職、英語での仕事…と、勝手がわからず目が回りそうになっていたときに、色々なことを教えてくださった方々です。

IMG_7865そんな大切な仲間たちとまずは乾杯。奥様の心づくしの手料理を前に、10人がゆったりと座れる、カナダのメープルから切り出された長〜い無垢のテーブル。一切塗料を使わず仕上げたという、白木のすべすべとした木肌はずっと触っていたくなるほど。広〜い窓の向こうには溢れるような緑が広がり、クーラー要らずの心地よい風が入ってきました。

 

10年以上の歳月が流れ、別の会社に移られた方もあれば、私のように違う世界に飛び込んだ人もあり、いまの環境はぞれぞれですが、折にふれ、こうやって集まっては時間を共にする関係が続いているのは、本当にありがたいことです。いま振り返ってみても、困難な時期というのは人を成長させ、変化の時期を共有した仲間は忘れがたいものですね。

ファイル_k022そのときに学んだことでいまも大切にしていることがあります。それは、誰も見ていないと思っても、決して手を抜かず、やるべきことを一生懸命やり続けること。そんな姿を見てくれている人が必ずあり、次のステージへの扉が開かれるものだと教えてくださったのが、Tさんでした。

感謝の気持ちを込めて、今年お庭に植えられたゴヨウツツジが咲く姿をイメージして描いた絵を贈りました。

ところで、軽井沢の別荘は夏だけのものではないそう。薪ストーブでコトコトと時間をかけて煮込んだ料理は絶品だそうです。火の周りに集まって語り明かす夜もきっと素敵ですね。

*****

次回は翌日訪れた「軽井沢千住博美術館」をご紹介します。

 

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2016.8.6

ウィラナタの作品の魅力

こんにちは、坂本澄子です。

暑いですね〜。少しの時間だからいいかと油断して外を歩いていると、あっという間に日焼けしちゃいます^o^; たっぷり水分補給してくださいね。

さて、お肌や身体に水分補給が必要なように、心のうるおいもとても大切。私のケアは妄想タイム。絵も建築も好きなので、「こんなおウチに住みたい」という理想の家を想像しながら眠りについています。想像の世界でなら好きなようにイメージを膨らませられます。

IMG_7653先月、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、私の妄想アンテナにピピっと反応したものがありました。3階でやっていた建築の企画展です。そこで紹介されていた建築家のひとりが平田晃久さんでした。斬新な発想でユニークな集合住宅を手がけておられます。「こんなのあり?!』的な建物を、現実のものとして創り出しておられるのはすごい。こんな建物が増えると、街の景色もさぞ潤うことでしょう^o^ 

平田さんの集合住宅の特徴は四角い部屋がなく、一軒ごとの間取りが異なること。それらがつながりながらひとつの建物を形作り、緑が配置されています。まるで建物全体が丘のような感じ。私がもしオーナーだったら、部屋ごとに表情の異なるウィラナタの絵を飾りたいなと思います。

ウィラナタは常に新しい何かにチャレンジするタイプの画家。人気作家だからと言って、そこにとどまらないところが、彼を何度も紹介したくなる理由。今日はそんなウィラナタ作品の幅広さの一端をご紹介します。

 

朝の心洗われるような静謐な風景。朝の光の中を白い鳥が一斉に飛び立ちました。

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嵐がくる前の海。棚田の静かな風景だけでない、ウィラナタの絵の魅力です。

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真っ赤にたぎる溶岩。バトゥール山の大噴火をイメージしたのかも知れません。

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 賑やかなお祭りの光景も多く描いています。気難しい芸術家肌である一方、陽気なバリ人の一面も。伝統芸能ワヤン(影絵芝居)を楽しむ人々

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ひとつの絵に複数の時空間が描かれた夢の中のような絵。スポットライトが当てられた人物は、画家あるいは見る人自身の姿なのかも知れません。

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ウィラナタ作品の在庫はこちらをご覧ください。その場でご購入いただくことも可能ですし、現物をご覧いただくこともできます。ご希望の題材がありましたら、ご注文制作も承ります。詳しくはこちらをどうぞ。

 

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2016.8.3

スコールにうたれて

こんにちは、坂本澄子です。
このところ大気が不安定で、あちこちで局地的な豪雨がすごいですね。気象庁のナウキャストを見ると、赤く表示された強く降っている範囲が、ごく狭い地域にピンポイントで点在しているのがよくわかります。日本列島は亜熱帯化していますね。

雨降りの朝ってちょっと憂鬱。それは同じなのか、雨降りを描いた風景画は少なく、インターネットで検索してみても、出てくるのは子供の絵日記ばかり。そんな中、雨降りも悪くないと思える風景画に出会いました。少し前に六本木のサントリー美術館で開催されていた歌川広重展でのことです。広重といえば、昔、永谷園のお茶漬けに入ってた「東海道五十三次」を一生懸命集めましたっけ。

hiroshige入ってすぐのところに展示され、大勢の人が足を止めて見入っていたのが「大橋あたけの夕立」です。滲んだようにたれ込める暗雲から降り注ぐ雨は、太さと角度を微妙に変えた2種類の線で描かれています。面刷りでシルエットだけを描いた遠景とあいまって、奥行きと共に、ザーッという音が聞こえてきそうなほどの臨場感を感じさせました。まさに今で言うゲリラ豪雨ですね。

版画ゆえの産物かも知れませんが、雨を線で表現するのは日本独特なものだそうです。浮世絵は19世紀に、輸出用の陶芸品が割れないための包み紙としてたまたま海を渡り、ヨーロッパの人々の目を引きました。特に印象派の画家に強い影響を与え、ゴッホはこの作品を模写しています。

バリ島のウィラナタは熱帯の激しい雨をモチーフに描きました。常に新しいことに挑戦するタイプの画家ですから、実に様々な題材を取り上げています。朝、昼、夕方、夜といった時間帯の違いやお天気。ひとりの静かな時間もあれば、大勢で賑やかに過ごす作品も。その幅の広さがファンを惹きつけ、1枚、また1枚とコレクションを増やしていく愉しみに繋がっているのだと思います。

今日はそんな雨の風景から3点をご紹介します。雨は白く煙った空気、風にしなる椰子の木、波立つ水田の雨紋などで表現されています。

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広重とはまた違った表現ですが、まるでその場にいるようなリアルさはさすが。部分的に明るい空は、激しく降ってカラリと晴れる熱帯特有のスコールを思わせます。

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傘の代わりにバナナの葉で雨をしのいでいるのがバリ島らしい。

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何年か前にウィラナタのアトリエを訪ねたとき、急変する空の雨雲にこだわり、様々な表現上の試みをしていました。人気作家でありながら、とことん極める姿勢には心うたれるものがありました。

ウィラナタの作品は作品ページをご覧ください。ご希望のテーマで注文制作も承ります。詳しくはこちらをどうぞ。

 

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2016.7.31

蓮の涼をお部屋に

こんにちは、坂本澄子です。

image1 (26)ポンビドゥーセンター傑作展の招待券をいただきました。その期限が一昨日の金曜日だったので、娘と久しぶりのデート。千代田線乃木坂駅で降りて、待ち合わせした六本木の新美術館に行くと、チケットカウンターの表示がなぜか「ルノアール展」のポスターが。あれれ??確かにルノアールもあるかも知れないけど、メインは20世紀の画家のはず。おそるおそるチケットを取り出してみると、やっぱり。会場は上野の東京都美術館でした。

スクリーンショット 2016-07-31 9.53.45やっちゃいました〜。昔からこの手の思い込みによる間違いが多く、ほんと困ったものです(汗)「ポンピドゥーセンター傑作展」の書体が、私の頭の中で新美術館のロゴと結びついてしまったようです(汗)幸い東京都美術館は金曜日は20時まで開館、「今からでも行こう」と、こんな私に慣れっこの娘が明るく言ってくれたので、もう一度千代田線へ。乗り換えて上野駅から行くよりも、一本でいける根津で降りた方が早いと判断したのですが…。

ここでも私の弱みが発揮されてしまいました。Google Mapですから目的地も自分が今いる場所もスマホの地図上に表示されているのですが、それでも迷うのが私のダメなところ。動物園の横に出る道を見逃してしまい、気がつくと不忍池。IMG_7796蓮がちょうど見頃を迎えており、ついつい写真なんかとったりして。あの広〜い上野公園の外周をぐるーっと回ってしまい、時計を見るともう19時近くになっているではないですか。結局絵はあきらめて(ポンピドゥセンター傑作展は9月22日まで開催)、今しか見れない蓮を楽しんで帰りました。

蓮って、ぽってりとしたピンクの花もいいですが、私は葉っぱも好きです。風にしなやかにしなる茎や連なる葉。同じように見えて、ひとつひとつ皆かたちが異なり、緑のなかに様々な色が溶け込んでいます。空の色、花の色、水の色。絵の場合は、そこに画家の心の色が溶け込んでいます。どこまでも続く蓮池の向こうにビル街、東京らしい風景です。

バリ島にも蓮の花がたくさん咲いており、睡蓮とあわせて、絵の題材としても人気のモチーフとなっています。今日はそんなバリ島から蓮、睡蓮の作品をご紹介します。画像をクリックするとサイズ、額装写真等の詳細情報をご覧いただけます。

まずはTIRTAさんの作品。蓮の花は早朝に開きます。そんな朝の清々しさを感じる、青みがかった葉とピンクの花弁が美しく響きあっています。

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こちらは人気の横長サイズ。80cmx40cmの画面にどこまでも続く蓮池を表現しました。

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続いて、欧米にもファンが多い花鳥画の鬼才RAJIGさんの作品。日本では睡蓮はピンクか白ですが、熱帯のバリ島には様々な色の睡蓮が咲きます。中でも青い睡蓮はとてもエキゾチック。鮮やかな色使いが、モダンなお部屋をさらに洗練させてくれますよ。RAJIG

こちらもRAJIGさんの作品ですが、孤高の日本画家、田中一村の影響を受けていた頃のもの。和室にも合いそうです。

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夏本番、あなたのお部屋に涼やかな蓮の花をいかがですか?

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2016.7.27

ニューヨークでアートな休日 グッゲンハイム美術館編

こんにちは、坂本澄子です。

NYのアートシーン、最終回は前衛アートを得意とするグッゲンハイム美術館です。

DSCF1881セントラールパークの向かい、メトロポリタン美術館から北に10分ほど歩いたところにあります。外見からしてとてもユニーク。上にいくほど広がる建築は珍しい。

展示室は真ん中の吹き抜けを取り巻くように螺旋状に設けられ、ゆるやかなスロープをのぼりながら作品を鑑賞します。高さによって視界の変化が楽しめるところも魅力。最上階(6F)の天井ぎりぎりの高さまで上ると、そこで展示は終わり。下を見下ろすとくらくらしそうな高さ、ついでにぐるぐる目も回りそうです^o^;

 

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企画展は戦前に活躍したドイツ人作家MOHOLY-NAGY展(1895-1946)をやっていました。抽象画を中心とした当時の前衛アートで、80〜90年経った今見ても、十分新しい感じがします。

キャンバスだけでなく、金属、アクリルなど様々な素材を支持体として用い、切り抜いたり、実体と影とを交錯させたり。私が一番気に入った作品はこちらです。日常と非日常が隣り合わせに存在しているみたいな、どこか不思議な感じがしませんか? 

 

 
 
美術館だけでなく、NYは街全体がどこを切り取っても絵になります。
古い建物も多く、ところどころにモダンな新しいビルが紛れている感じ。第一回のMoMAでご紹介したように、新しいものと古いものが隣り合っていても、不思議と統一感があるところは、さすがアメリカ。
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マンハッタンのミッドタウン、古き良さと新しさが同居する街

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緯度が高いため、夜の9時を回っても明るさが残る空に月がぽっかりと浮かんでいました

ギャラリーの街、チェルシーでは、廃線した鉄道の跡が遊歩道になっていました。電車は建物の中を突き抜けるように走ったいたそう。

元倉庫街のチェルシーでは、廃線した鉄道跡が遊歩道に。電車が直接建物の中を通る構造は、物資の積み下ろしによる渋滞防止にも役立ったそう。

 
この数年、ブティックホテルと呼ばれるホテルが増えています。これは古い建物をリニューアルして、ユニークなインテリアで生まれ変わらせたもの。私が今回泊まったACE HOTEL, NEW YORKも、ミッドタウンにあるそんなホテルのひとつでした。一部屋ごとに内装が異なり、次に来た時はどの部屋があたるかなと楽しみになりそうです。
 
 

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