バリの神様① 芸能の神様 サラスワティ
こんにちは、坂本澄子です。
「神々の島」バリ島はたくさんの神様に守られた島。バリの人たちは本当によくお祈りをします。神様への感謝を忘れないのですね。バリの神様は絵画の題材としてもよく取り上げられています。そこで、今日はバリの神様をご紹介したいと思います。
芸能の神様サラスワティ
日本で言えばさしずめ弁天様でしょうか、学問と芸能の女神です。バリのウク暦では210日1度、この神様を讃える日が巡ってきます。今年は5月2日(土)。
この日は本や教科書、舞踊に使われる仮面や冠を村のお寺へ供えに行き、敷地の一角にある家寺に供物とともに捧げます。学校も授業はおやすみ。子供たちは正装して学校に行き、お祈りをして帰ってきます。
サラスワティは写真のように4本の手を持つ、大変美しい女神として描かれます。それぞれの手には、ロンタール椰子の葉、伝統弦楽器レバブ、鎖、蓮の花を携えています。
知恵や勉学を象徴するロンタール椰子。昔は紙の代わりにこれに経典を書いてお祈りの際に使っていたのだそうです。レバブは文化・伝統・芸術の発展を表します。また、足元に描かれている白鳥は善悪を見分けることができるとされているんですよ。
『サラスワティ』アクリル画 75cmx50cm 128,000円
この作品はウブド・スタイルと呼ばれる、伝統絵画+西洋絵画が融合し1920年代に誕生したスタイルです。キャンバスの端から端まで細密に描き込まれた美しさはバリの伝統絵画を受け継ぎ、生き生きとした人物描写は西洋から学びました。
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バリ絵画・アートの主要スタイルを一堂に
こんにちは、坂本澄子です。
梅の便りが聞かれる季節になりました。まだまだ寒い日が続いていますが、春はすぐそこまで来ていますね。私も次の展示会に向け、準備を進めました。
この「バリアートショールーム」では、本物のバリ絵画を知っていただきたいという思いから、バリ島美術館所蔵作家による作品を中心にご紹介をしています。私の作家への強い思い入れもあって、先月の『幻想心象風景画作品展』でご覧いただいたように、最近はシュピース・スタイルの人気作家、ガルー、ウィラナタ姉弟の作品が充実してきました。
一方、バリ絵画の魅力は、下図のように古典絵画から、西洋絵画の影響を受けて様々に進化した多彩なスタイルが楽しめることにもあります。そこで、次回はバリ絵画の専門店「アートルキサン」さんの協賛をいただき、バリ絵画の主要スタイルを一堂にご覧いただける場をご用意したいと考えています。
(バリ絵画の歴史と進化についてはこちらのページもご覧ください)
「アートルキサン」の店主木村薫さんは、バリ絵画の魅力を日本に発信し続けて15年、この世界のいわば第一人者です。3年前、バリアートをさらに極めるためバリ島ウブドに移住。芸術村を駆け回り、アーティストの発掘はもちろん、背景にあるバリの文化・風習・思想の真髄に迫る日々を送っておられます。
そんな木村さんに全面協力をいただき、「アートルキサン」所蔵作品から選りすぐった伝統絵画、さらには、お求めやすい価格帯の作品を加えた合計約50点を展示します。神話の世界や民衆風俗を描いた伝統絵画、繊細で美しい細密画、幻想的な熱帯風景画、初めての方にも親しみやすい花鳥画など、バリ絵画の様々スタイルをご紹介。開催時期は5月、詳細はまたご案内します。
どうぞお楽しみに!
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バリ絵画の歴史と進化 14世紀から続く伝統絵画に西洋絵画がクロスオーバー
バリ絵画の主要スタイル 多彩なスタイルが楽しめるバリ絵画
バリ島の美術館に選ばれた作家たち プリ・ルキサン美術館など、バリ島の主要美術館で一度は目にしたあの有名作家の作品が購入できます
頑張っている人を神様は必ず見ていてくださる
こんにちは、坂本澄子です。毎日寒いですね。
眩しい緑が恋しくなり、映画『神様はバリにいる』を観てきました。主役を演じていたのは堤真一さん。大好きな俳優さんです。色んな役ができる役者さんだとは思っていましたが、パンチパーマにゴールドのチェーンネックレス。バリ島の日本人億万長者、”兄貴”こと丸尾孝俊さんの雰囲気そのまんまです。いやもう、恐れ入りました(^o^;
強烈なキャラクターの向こうに垣間見える、主人公の素朴な温かさをうまく演じておられました。「失敗したときにこそ笑え」の言葉の通り、とにかく元気のでる映画です。そして、何より嬉しかったのは、エンドロールに、プロデューサー 前田紘孝さんの名前を見つけたときです。
前田さんに初めてお会いしたのは、一昨年の秋。クラウド・ファンディングと呼ばれる、日本ではまだあまり例を見ない資金調達方法で映画を作ることに挑戦されていました。スポンサーがついて、大手配給会社がどーんという従来のやり方とは違い、作品に賛同する無数の支援者によって一本の映画が作り出されるわけです。前田さんがこの作品にかける熱い想いを綴ったウェブサイトを見て、「私がバリを好きになったのとまさに同じことを、この映画は伝えようとしている」と感じて、訪ねていったのです。
オフィスはバリ絵画展をよく行う麻布十番駅の近くにありました。元々役者を目指していたという前田さんはまだ30代半ばですが、この映画を何としてでもヒットさせたいとの想いがひしひしと伝わってきました。
そのとき、台本を一冊プレゼントしていただきました。登場人物の軽快なやり取りの中に、大切なテーマが重くなることなく語られていると感じました。
「バリ島はやおろずの神様のすむ島。神様がそこかしこの自然に宿るという考え方は、日本人にも共通するものがあります」
あれから1年。実際、「何度、会社や家族を失うと思ったかわからない」というほど、苦労の連続だったそうです。公開も当初の計画より半年ずれましたが、NHKの連続テレビ小説『マッサン』で堤真一さんへの注目度がアップした絶妙なタイミングと言い、結果的に一番よい時期だったのではないでしょうか。
また、つい先日、前田さんプロデュースの前作「そこのみて光輝く」(2014年公開)がキネマ旬報で日本映画部門の第一位を受賞という嬉しいニュースも。
頑張っている人のことを、神様は必ず見ていてくださいますね。
「神様はバリにいる」、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれる、じわっと心にしみるいい映画です。よかったらぜひ映画館に観に足を運んでみてください。
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映画『神様はバリにいる』 『神様はバリにいる』公式サイト
プロフィール 私が初めてバリ絵画に出会ったときのこと
日本の普通の人たちの生活にアートを根付かせたい
こんにちは、坂本澄子です。
夕刊フジ(産經新聞社発行)の週刊コラム『人生二毛作』で私のことを取り上げてくださったライターの大宮知信さんから、著書『ひとりビジネス』(平凡社新書)からの一部抜粋をいただきました。ここで紹介されていたのは、小林さか江さんといって、現代アートの分野で展覧会を企画し、アーティストを世に送り出すお仕事をされている方です。
展覧会の企画というと、放送局や新聞社などメディアの事業部か、美術館のキュレーターが一般的ですが、フリーの立場でそれをやられている珍しい存在。しかも、日本と韓国の作家、あるいはロシアの作家というふうに、国境を超えた作家たちの交流展という形で実現されているのもおもしろいと思いました。
「日本で絵は売れない」
私がこの仕事を始めて以来、幾度となく聞いた言葉です。欧米はもちろんアジアの他の国々では、アートへの投資に対して税金の優遇措置があり、文化的な意味での国力の違いを感じることが多いのは事実。その中にあって、「アートが社会に、日本の普通の人たちの生活に根付いていけばいいな」と思って、地道な活動を楽しみながら続ける小林さんの姿勢に勇気をもらい、共感を覚えました。
私も初めてバリ絵画に出会って感じたのは、「こんな質の高い絵がこんな値段で買えるんだ」という驚きでした。お土産用に同じ構図で何枚も描かれる絵は論外として、プロの画家が真剣に向き合って描き上げた、世界に一点しかない作品が数万円から購入できるのは、やはりすごいことだと思うのです。
作家の肉筆から伝わってくる力を毎日の生活に取り入れる。お金持ちでなくても、特別な人じゃなくても楽しめる。それがアートの持つ価値ではないかと考えています。私も小林さんと同じ目標を自分なりのアプローチで目指したいと思います。
自由な表現ができるバリ絵画のキャンバス
こんにちは、坂本澄子です。毎日寒いですね。風邪やインフルエンザがはやっていますから、気をつけてくださいね。かく言う私も、少し前にひいた風邪の咳がいまだに残っていて、ちょっとハスキーボイスです^o^;
さて、今日はキャンバスのお話。
バリ島で絵をご覧になって、「布に描かれているみたい」と、思われたことはありませんか。下塗りをしていない目の細かい綿キャンバスの方が、細かな描写や、下絵に墨で陰影をつけてから彩色するバリ絵画の伝統的な描き方に向いているんです。
ただ、耐久性という意味ではどうしても弱い。バリ絵画は14世紀から続く長い歴史を持ちながら、古い作品があまり残っていないのは、高温多湿という絵の保存に不向きな環境に加えて、薄い綿布に描かれていたことも影響しています。バリ島・ウブドのプリ・ルキサン美術館には、何百年も前の古い絵も展示されていますが、どれもかなりボロボロの状態..。
そこで、最近では厚手のキャンバスに描く画家が増えていますが、伝統的な描き方をするときは、下塗りがされていない織りの細かなキャンバスを用います。
写真は下絵に墨で陰影をつけているところですが、影の部分に墨を塗った後、水を含ませた筆でなじませていきます。このとき、下塗りがされていると水分がはじかれてしまうというわけです。この上からアクリル絵の具で彩色するため、全体としてやや暗めの仕上がりになります。キャンバスの端までぎっしりと描き込まれた重厚な作品は、この独特な描き方から生まれてくるんですね。
「バリアートショールーム」でご紹介している画家の作品を見ると、下塗りをしていないキャンバスに伝統的な描き方をしているのは、ARIMINI, RAJIG, LABA, RAIなど。写真左の『ウィシュヌとガルーダ』(ARIMINI)は、バトゥアン・スタイルという西洋絵画の影響をほとんど受けていない伝統的な技法で描かれています。花鳥画を中心としたプンゴセカン・スタイルも多くは陰影をつけてから着色しています。
一方、下塗りをしたキャンバスを使用する作品はモダンなものが多く、陰影をつけずに着色に進みます。先日、作品展を行ったGALUH, WIRANATAはこちらのタイプです。
日本では20号とか30号といった規格サイズがありますが、バリ絵画にはこのような規格はありません。画家は作品の構図によって縦横の比率や大きさを、自由に決めています。 注文制作が多い画家のアトリエを訪ねると、部屋の壁の端から端まで広がる横長キャンバスや、吹き抜けに飾るのかと思われる縦に長〜いキャンバスなど、色々見ることができます。
こんなふうに、好きな画家に依頼して自由な大きさや題材で注文制作できるのも、バリ絵画の魅力のひとつなんですよ。新築・リフォーム・お引っ越しなどの機会にいかがですか?
シュピース – 現代画家に受け継がれる熱情
こんにちは、坂本澄子です。前回に続き、今日もシュピースのお話を。
彼の残された少ない作品の中でもとりわけ有名なのは、『風景とその子供たち』ではないでしょうか。一度見たら忘れられないような強い個性を放ち、主題である牛を連れた農夫がリフレインのように何度も出て来るこの作品。1つのキャンバス上にいくつもの時空間を共存させた、シュピースの作品によく見られる技法が用いられています。
この作品を見て、音楽を感じる人は少なくないと言います。実際、シュピースは羨ましいほど多くの才能に恵まれ、ピアニストであり、作曲家でもありました。ヨーロッパの現代社会の荒廃した世相から逃れるようにバリ島にやってきたシュピースは、第二次世界大戦中にオランダ軍に敵国人として捕らえられジャワ島に抑留されるまで(その2年後に47歳で他界)の約15年間、その地に留まりました。その間に描いた作品の中で、憧れの情景を作品の中に再構成したのでしょう。
ガルーの新作『朝のセレモニー』を初めて見たとき、作品のほぼ中央手前に高くそびえ立つ椰子の木の構図に、シュピースのこの不思議な絵を思わされました。
’95年、シュピースの生誕100年の年に、招待留学でドイツに渡ったガルー(当時27歳)は、彼の作品に直接触れ、圧倒されるほどの強い揺さぶりを感じたそうです。そして、その作品を熱心に研究し、取り入れ、そして、完全に自身の作品として昇華させています。
もうひとり、シュピースに魅せられた人がいます。ガルーの実弟、ウィラナタです。
LALASATI絵画オークションのウェブサイトで、画家としてごく初期の1990年頃に描かれた水彩画の小品2点が17万円で落札されたのを見ました。(写真はそのうちの一点)ほとんど模写のように描かれたこの作品、ウィラナタが当時いかにシュピースに傾倒していたかがわかりますね。
このように初期、前期の作品がオークションで取引されているのを見ると、ウィラナタが画家として多くのコレクターたちを惹き付けていることを感じます。
シュピースの作品は戦争中に多くが失われてしまい、バリ島の美術館でも複製画が展示されているのみです。残された作品はオークションで1億円もの価格で取引され、信奉者の間では伝説的な存在のシュピースですが、同じように南国にわたったゴーギャンなどと比べると、まだまだ過小評価されているのは残念に思います。
そうそう、前回ご紹介したシュピースの著書に走り書きされたメッセージ、まだ解読できておりません。英語、ドイツ語ではないことははっきりしたので、次はフランス語の線をあたっています。ヒントがありましたら、コメントでお知らせいただけると嬉しいです。
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ミステリアスな魅力・シュピース
こんにちは、坂本澄子です。
「幻想心象風景画作品展」にたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。お客様がFacebookに投稿された写真を見て、初めて来て下さった方もあり、本当に感謝です!
今回展示したガルー、ウィラナタはいずれもドイツ人画家シュピースに傾倒し、その幻想的な作風の影響を強く受けた作家たちです。奥の部屋に関連書籍として、ワルター・シュピースの半生を描いた『バリ、夢の景色。ヴァルター・シュピース伝』を置いていたところ、手に取って見られた方がかなりおられました。
そんな中、一冊の古い本を取り出し、「ずっと気になってることがあるんです」と、バリ絵画を愛してやまないOさん。バリ絵画展の常連さんです。
聞くと、何でも、2、3年前に神田の古書街を歩いていたところ、源喜屋書店でたまたまシュピースの著書『Dance and Drama in Bali』(1938年刊)を見つけ、その場で購入したのだそう。これまで多くの人の手を渡り歩いてきたと見られ、団体や個人の蔵書印がいくつも押されています。ふと表紙の内側を見ると、万年筆で走り書きされた文字が。1939年3月6日と日付の書かれたメッセージのようです。
「もしかして、シュピースの直筆ではないかと思いましてね…」
いてもたってもいられなくなり、私に見せたいとわざわざ持って来られたというわけです。これがその写真。
確かにドイツ語のようにも見えなくはないのですが、残念ながら、シュピースのサインは左の写真のような読みやすいアルファベットで、明らかに筆跡が違いました。しかし、1939年と言えば、この本が発行された翌年。間違いなくシュピースと同じ空気を吸っていた人の手によるものです。
「何て書いてあるんでしょうね」
がぜん興味が湧いてきました。何だか探偵になった気分^o^ Oさんもそれを調べてほしくて、ウズウズされている様子。しかし、いかんせん、達筆過ぎて…。どうも、ドイツ語でも英語でもなさそうです。
そこでお願いなのですが、この文章の意味をわかる方がいらっしゃいましたら、ぜひお教えいただけませんか?
ところで、この本は絵画ではなくバリ舞踊について書かれたものなんです。シュピースは絵画だけでなく、演劇、音楽、文学など、幅広い分野でその才能を発揮し、バリ舞踊を外国人も楽しめるようリメイクしたことでも知られています。その功績が称えられ、「バリ人から最も愛された外国人」と言われる一方で、「最も憎まれた外国人」とも。降臨した神様に対して舞うという神聖なものを世俗的に書き換えたと捉えられることもあるのです。
芸術家が万人から支持されることはまずないですし、その魅力が強ければ強いほど、非難されることも多いものですが、100年近い時を超えて、シュピース・スタイルとしてバリの今日の画家に受け継がれ、多くの人々を魅了し続けていることは、やはりすばらしい功績だと思うのですが、いかがでしょうか。
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シュピース・スタイル スタイルの特徴と作品をご紹介しています
「幻想心象風景画」作品展の様子
こんにちは、坂本澄子です。
「幻想心象風景画作品展」が始まりました。12時にオープン、次々とお客様が来場され、ガルーとウィラナタの独特の世界観を楽しんでいただきました。
RONDOは写真のようにこじんまりとしたギャラリーですが、配管が露出した真っ白な壁面に、ライトの光が神秘的な陰影を作り出し、それが作品と呼応し合って、不思議な雰囲気を醸しています。
特に、ウィラナタの大きな2点の作品は、窓から外を眺めているかのようなリアルさがあり、しっとりとした空気を感じ、虫の鳴き声や水の音まで本当に聴こえてきそうです。そのため、会場にはBGMを流さず、ご自身の感覚だけで楽しんでいただいています。
この作品展は2日間だけの開催。今日土曜日の18:30までです。有楽町線「銀座一丁目」駅10番出口から徒歩1分の便利な場所にあります。土曜日のショッピングの合間に、ぜひお気軽にお立ち寄り下さいませ。
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絵画オークションでの流通事情
こんにちは、坂本澄子です。
素敵な絵に巡り会ったとき、「これ、ほしい」と盛り上がる気持ちと同時に、「この絵はどのくらいの市場価値を持つのだろう」という冷静な判断をされることと思います。特にその絵が高い絵であればある程、そうですよね。
そこで今日は、2000年にジャカルタで設立、現在はインドネシア、シンガポール、香港の3カ所で、アジアの絵画市場に向けてオークションを運営しているLALASATI Auctioneersでの落札価格を調べてみました。過去のカタログと落札価格はウェブサイトで公開されていますので、ご興味があればご覧になってみてください。
LALASATIが主催する絵画オークションはバリ島では年2〜3回行われています。毎回100点前後の作品が出品され、1時間に40〜50点というスピードで進み、最終的に8〜9割が取引成立します。
2014年は7月と11月の回にそれぞれ1点ずつ、Wiranataの昔の作品が出品されていました。
制作年度 作品サイズ 落札価格(買い手はこれに加えて手数料を支払います)
2006 100x100cm IDR40,000,000 (約40万円)
2002 80x200cm IDR60,000,000 (約60万円)
(出典:LALASATI Auctioneersのウェブサイト)
Galuhは作品数自体がそれほど多くないので、オークションに出品される件数も限られており(2013年9月に1点出品)、とても貴重です。また、両作家ともにリトグラフやジグレなどの版画を作っていないため、作品を購入し大切に所蔵しているファンが多い様子も感じられました。
以前は買い手の半数は外国人でしたが、近年はインドネシアの経済成長を反映し、地元インドネシアの人々の熱気ある姿が多くを締めるようになりました。落札された作品は自身で楽しむほか、二次流通を通して次の顧客の手へと渡っていきます。
「バリアートショールーム」ではオークションでの購入や出品は行っておりませんが、これらの情報は客観的な市場評価として参考にしていただけると思います。
そんな両画家の新作をご紹介する「幻想心象風景画作品展」、いよいよ2日後の開催と迫ってまいりました。作品の魅力を存分に味わっていただけるよう、今回は展示作品数も8点と絞っています。見方によって様々な表情を見せてくれますので、ぜひゆっくりご覧になってください。
東京メトロ有楽町線「銀座1丁目」駅、10番出口から徒歩1分。昭和7年築の趣のあるギャラリービル(奥野ビル)が見えてきます。手動式の扉を開けて、エレベーターで5階へお上がりください。 地図
あ、降りられるときに、黄色い蛇腹の内トビラを忘れずに閉めてくださいね〜。(トビラが開いたままだと、1階から呼んでも降りてこないんです…汗)
ウィラナタ新作『満月の下で』を入荷
こんにちは、坂本澄子。
ウィラナタの新作が届きました。写真で見ていた何倍も素晴らしい作品です。
真っ先に目に飛び込んでくるのは山の向こうに昇った満月。その蒼白い光と水に映るもうひとつの月。幻想的なその光景は見る人を厳かな気持ちにします。
これは1960年代、村にまだ電気が届いていないころの情景で、石油ランプを使って灯りをともしています。とても重いので、これは頑健な成人男性の仕事だったそうです。人物の上半身が裸なのは、その頃のバリ島の風俗がそのまま表現されているため。
篝火を持って水面を照らしている少年は、田うなぎや水中の昆虫を探しています。画家が自身の少年時代を思い出しながら描いた、最も思い入れの深い部分。
これらの暖かみのある光にほっとするような気分を味わい、その光が照らすところに視線を移すと、丁寧な描き込みによって、素足に触れる草の感触までが、伝わってきます。耳を澄ますと、上の田圃から流れ落ちる水の音、虫の鳴く声などが聴こえてきそうです。
画家のつけたタイトルは”Fullmoon Galungan”。ガルンガンと言えば、バリで最も盛大なお祭りですが、ここでは家族でしめやかに祝う祭礼としての一面が描かれています。日本語タイトルは『満月の夜に』とさせていただきました。
実物でしか伝わらないこの繊細さをぜひご覧になってください。1月23(金)・24日(土)の2日間、「幻想心象風景画 作品展」でどうぞ。
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幻想心象風景画 作品展・・・有楽町線「銀座一丁目」駅から徒歩1分