バリアートショールーム オーナーブログ
2016.3.12

海の見える美術館から

こんにちは、坂本澄子です。

SOKI-80x100-cあるお客様から、「新築したご自宅のダイニングに飾る絵を探している」と、お問い合わせをいただきました。ご指名を受けたのはSOKIの『バリ島』。エネルギーいっぱいのこの作品、家族が集まるダイニングを明るく彩ってくれることでしょう。

サイズをどうするかを含めて、一度現物をご覧になりたいとのこと。ところが、「バリアートショールーム」はなにぶん小さな事業ですので、『バリ島』は在庫がなく。はたと困った末に、以前この作品を注文制作してくださったお客様に相談してみました。バリ絵画展にも何度かお貸し出しいただいたのですが、今回も「いいですよ」と二つ返事でOKしてくださり、お客様のご厚意に支えられて今があることに、感謝しました。

 

横須賀まで絵を取りに伺う途中、ちょっと寄り道して、神奈川県立近代美術館の葉山館に立ち寄りました。鎌倉にある本館、別館には行ったことがありますが、葉山館は初めて。ずっと気になっていたのです。

まずはレストラン「オランジュ・ブルー (Orange Blue)」で腹ごしらえ。最近、美術館付属のレストランが充実していて、これも美術館を訪ねる楽しみのひとつ。ここはお店の名前の通り、相模湾から外洋に続く青い海に沈む真っ赤な夕陽が楽しめる絶好のロケーションなのです。今度はぜひ夕暮れ時に来たいなあ。と思いつつ、ふとテラスに続くドアを見ると、「テラスは鳥害防止のためドリンクに限らせていただきます」とのこと。もしかしてカモメに襲撃されちゃうのかしら^o^;

DSCF0300  DSCF0282

 

さて、葉山館ではフィンランドを代表する女流画家「ヘレン・シャルフベックー魂のまなざし」展をやっていました。ヘレン・シャルフベックの作品を見るのは初めてでしたが、人物を描いた作品に素晴らしいものが多くあり、83年の生涯のその時々の心情が作品に色濃く反映されているのを感じました。

18歳の時に、歴史の場面を描いた『雪の中の負傷兵』がフィンランド芸術協会に買い取られ、奨学金を得てパリに留学。27歳のときには、『回復期』がパリ万博で銅メダルを得て、国際的な名声を得るなど、早くから画家としての才能を認められます。しかし、その一方で、つらいできごとの多い生涯でした。

20150606194540

1888年 『回復期』

3歳の時に階段から落ちたことから、一生脚が不自由に。21歳で知り合った英国人男性と恋仲になり婚約するものの、2年後、一方的に婚約を破棄され、ひどいショックを受けます。前述の『回復期』は、3年の時を経て、失恋の痛手からようやく立ち直った時期に描かれた作品だったのです。病気から回復しつつある子供の姿に、自らの心情を重ね合わせているのが痛いほど伝わってきました。

tumblr_inline_np8stckWcz1se5z4a_500

1905年 『お針子(働く女性)』

注文を受けて描いた肖像画はひとつもなく、40歳で病気療養のために転地したヘルシンキ郊外の小さな村でも、身近な人々をモデルにしつつ、モード雑誌から得た最先端のファッションを取り入れることで、独自のモダンなスタイルを確立していきました。

また、アートシーンから遠ざかったことで、かえって、パリ留学時代に得られたものが、画家の中で熟成され、新たなエッセンスとして作品に反映されています。写真の『お針子(働く女性)』は、ホイッスラーの影響がみられます。

50歳半ばを過ぎて、大きな出来事がありました。最大の理解者であった画家仲間のエイナル・ロイターへの恋です。しかし、19歳年下のロイターには、シャルフベックは尊敬する先生としか映っていなかったのかも知れません。若い女性と婚約したことを知ると、57歳のシャルフベックは絶望の淵に突き落とされます。

img_17_m-2

1945年 『黒とピンクの自画像』

後期の作品は、死に向かう自分自身の内面を見つめ、ゆがんだ顔の自画像や朽ちて黒ずんだ果物など、残酷なほどにそのものの本質を描き出しています。亡くなる直前まで、療養ホテルの自室で鏡に映った自らを描き続けました。

まさに、画家として生き、画家として死んでいったひとりの女性。人生のつらいできごとも、絵を描くことを通じて、自分の内面を冷静にみつめる姿に、深い共感を覚えました。晩年になるほど、ある意味痛々しいほどの真実に満ちたまなざしに、さまざまな見方があると思いますが、生涯を通じて自分の描きたいものを描き通したことは、画家として恵まれた一生だったのではないかと思いました。

美術館の外に出ると、曇った空の下に灰青色の海が広がっていました。深く静かな余韻に、葉山の風景がしっかりと寄り添ってくれました。「ヘレン・シャルフベックー魂のまなざし」展、海の見えるこの美術館に巡回する前は、上野の東京藝大美術館でやっていたことを後から知りました。たまたま葉山に立ち寄ったその日に…。これもきっと巡り会いですね。

ところで、葉山館は世界でも珍しい、展示室から海が見える美術館と聞いていたのですが、残念ながら今回見た3つの展示室には窓はありませんでした。もうひとつある4つ目の展示室でしょうか。いずれにしても、またここに来る理由ができて嬉しい私です。

コメントをどうぞ

2016.3.9

応援したくなる作家

こんにちは、坂本澄子です。

バリ島は今日はニュピ(バリ暦の新年)、静寂の一日でした。ウブドでは清々しい快晴の朝を迎えた後、俄かに薄暗くなり、おや、一雨くるのかなと思っていたら、日食だったそうです。日本では残念ながら、ほとんどの地域で雨模様でした。

IMG_7214さて、最近おもしろい本を読みました。『公方様のお通り抜け』、江戸時代末期を舞台にした時代小説です。作家は西山ガラシャさん、「日経小説大賞」を受賞し、この作品でデビューを飾った女流作家です。

私は普段時代小説を読むことはほとんどないのですが、この本に出会ったのは、その授賞式を見に行ったから。毎回楽しみにしているのが、授賞式の後に行われる選考委員の3氏(辻原登、高樹のぶ子、伊集院静)による座談会。特に、伊集院静さんのボソッとつぶやく発言は最高です。今回も「今の時代、みんな疲れて帰ってきて、小難しい本なんて読みたくないんだよ。そういう意味でも、この小説は素直に楽しめた」というコメントに、俄然興味を持ったというわけです。

ちなみに、3人というビミョーな数の選考委員、全員一致で決まることなど過去一度もなく、今回も激しいやりとりが繰り広げられた末、男性委員2人が推しまくった?というこの作品に決まったそう。

「落語を聞いているような軽快な文体で、ムダな文章がひとつもない」

この一言で駄目押し〜。実際、本当に面白く、一気に読みました。

寛政4年、14代将軍家斉が鷹狩りの後で、下屋敷の庭を通り抜けるという一大行事が決まり、大騒ぎの尾張藩戸山荘。御用聞きとして屋敷に出入りする大百姓の主人公外村甚平は、金儲けが何より好き。褒美金欲しさに、将軍を楽しませるためのアイデアを百姓衆から募り、不思議な滝、怪しい洞窟、お化け屋敷のような町屋と、まるで江戸時代のテーマパークを作るというストーリー。

グイグイと引っ張られるような早い展開ながら、登場人物たちの描写にも決して手を抜かず、気がつくと甚平やその周りの人たちを好きになっている。倹約の時代は現代社会の閉塞感にも通じるところがあり、爽快なハッピーエンドの中にも、じんわりとした余韻が残る作品です。いい作家さんが出てきたなあという印象で、二作目、三作目と、その成長を見守っていきたい、そんな気持ちになりました。

ところで、絵画のコレクターがある画家の作品を集めるきっかけも、これと似たところがあるかも知れません。技術的には多少至らないところがあったとしても、他の作家にはない魅力を感じて、次はどんな作品を出すだろうかと心待ちにする心境です。

「バリアートショールーム」では、そんな若手作家として応援している人がいます。

ボリ(Putu Antara BOLIT)。28歳、織田裕二似の好青年です。メッセージ性のあるモダンな女性人物画を得意としていますが、彼の描いた花の絵が見たくて、最近一枚描いてもらいました。期待通りの出来栄えに、春のキャンペーン「記念ギフトにお花のアートはいかが」の制作をお願いすることにしました。

異動の多いこの季節。一緒に仕事をした仲間から花束を贈られる方も多いと思います。その花束を「世界でただひとつの絵」にして、思い出と共に大切に残しませんか。

詳しくはこちらをどうぞ。

コメントをどうぞ

2016.3.5

春のキャンペーン:記念ギフトにお花のアートはいかが

こんにちは、坂本澄子です。昨日は約10年ぶりにディズニー・シーに行ってきました。どのアトラクションも、春休みに入った大学生や子供連れの若いパパ・ママたちで長〜い列。お昼に入ったミラコスタのビュッフェでまわりを見ても、あらら、同世代がいないわ(^o^; アメリカのディズニー・ワールドに行くと、仲のいいシニアなカップルが手をつないで歩く姿が普通に見られたりと、もっと世代を超えて同じ時間を楽しんでいる感じなのですけどね。日本は行く場所によって、なぜか世代がパックリと分かれてしまうのが残念。

さて、早いもので3月になり、職場でもそろそろ転勤や異動のお話が出てくる季節ですね。送別会当日、宴もたけなわとなったところで手渡される花束。特に女性はお花をもらうとほんと嬉しいですよね。春はお花の種類もぐんと増え、定番のバラやガーベラはもちろん、チューリップ、スイトピーなど明るい色とりどりの花にあふれています。

でも、このいただいた花束、日を追うごとに萎れていき、何とも切ないもの。スマホに収めた写真もいつの間にかどこへやら。

そこで今日はご提案です。花束を絵で残してみませんか。

方法はカンタン。スマホで撮った写真をメールで送っていただくだけ。1ヶ月後にはバリ島のプロのアーティストが描いた作品をお届けします。ギフトカードもご用意しておりますので、花束と一緒にプレゼントにすることもできます。

一年中、色とりどりの花が咲き乱れるバリ島。毎朝・夕と神様にお供えするチャナンにもみずみずしい花々が使われています。そんなお花の国から届く世界にひとつだけのフラワー・アートです。

IMG_5104   TIRTA_brown frame (1)

メインにしたいお花の種類や花束のイメージ(例えば、元気いっぱいのオレンジ・イエローの花束)をお知らせいただければ、写真がなくても大丈夫。送別会当日に、花束の代りにお花の絵を贈ることもできます。お急ぎの場合は、日本人作家による制作(2週間程度でお届け)も承ります。

2016年4月30日まで、額装+送料込みのキャンペーン価格、税込15,000円でお届けします。

スクリーンショット 2016-03-06 10.10.25

 

【サイズ】

・18cmx25cm (額装:30cmx40cm)

・18cmx18cm (額装:35cmx35cm)

【技 法】アクリル画

【価 格】税込15,000円(送料込)

 

 

別れと出会いの季節、春本番ももうすぐです。ご注文はこちらからどうぞ!

 

コメントをどうぞ

2016.3.2

ウィラナタ新作情報

こんにちは、坂本澄子です。

3月ですね。いよいよ春ですね〜。私はこれまで花粉症ではなかったのですが、このところ鼻がムズムズ、くしゃみが止まらない〜。これはもしかして、ついに発症?!

一方、私のまわりには若い頃はほんとひどかったけど、年を追うごとに症状が軽くなっていると言う人がちらほら。そのひとりは「アレルギーは免疫の過剰反応なので、年齢とともに免疫力が落ちてくると症状も和らぐのだ」と言っていますが、もしそうだとすると、今頃発症する私って…。これは喜んでいいのかしら?!

変わらないと言えば、ウィラナタ(Gusti Agung Wiranata) 。笑うと今でも少年の顔になる、45歳にはとても見えません。今日はそんなウィラナタの新作をご紹介します。

山の上にあるお寺での祭祀を描いた作品。

12419124_939575762758902_7328816579436493577_o

向こうに見える美しい山はきっとアグン山。標高3000mを超えるバリ島で最も高い山で、その麓にバリ・ヒンドゥ教の総本山プサキ寺院があります。多くの参拝者で賑わう場所ですが、おすすめは早朝。ここが聖なる場所だということを改めて感じさせてくれる、厳かで静謐な空気に包まれています。

この絵に描かれているのは実在する寺院というよりは、神々の世界と人間の営みの世界とを、遠景と近景に対比し描き出したように感じられます。暖かみのある木洩れ陽は、ここ最近のウィラナタの新たな試み。霧にかすんだ下界が遠景と近景を繋ぐミスティな世界を作り出しています。

2、3週間前に完成し、絵の具を乾かしているところという、できたての新作ですが、なぜかサイン下の制作年は2015。ううむ、こちらもミステリアスです。

ウィラナタは国内外のギャラリー、コレクターから注文の絶えない人気作家のため、サイト掲載作品以外は注文制作でご要望にお応えしています(40x60cm 420,000円〜)。作品に関するお問い合わせはこちらへどうぞ。

また、3月12日(土)の「第7回バリアートサロン」ではガルーウィラナタ姉弟の作品を展示し、その幻想的な作品の魅力をご紹介します。詳しくはこちらをご覧ください。

 

コメントをどうぞ

2016.2.27

幻想風景画、価格改定の本当のわけ

こんにちは、坂本澄子です。

パソコン仕事をしながら、つい甘い物に手が伸びてしまった冬ごもり生活。「あー、まずいまずい」、春の足音を感じながら、ケンのお散歩に精を出し始めました。
そんな中、また新しい場所を見つけちゃいました。ぱーっと360°視界が広がっていくこの爽快感、最近のお気に入りコースです。
 
IMG_6823ここは有明とお台場を繋ぐ「夢の大橋」。コスプレイヤーにとっては聖地(というのも最近知ったのですが)、週末のお天気のよい日には、アニメの世界から抜け出してきたような、原色のコスチュームに身を包んだ若者たちがあちらにもこちらにも。ポーズをとったり写真を撮ったり、とても楽しそうです。こんな雰囲気なら、イーゼルを立てて絵を描いていても違和感ないかも。そんな、アーティストが溢れる街になったらいいなあ。
 
さて、前回「バリアートサロン」再開のお知らせと、ガルーウィラナタ作品の価格改定(値下げ)のご案内をさせていただきました。このことについて、今日はもう少し背景をご説明させてください。
 
値下げというと、一般的には売れ残り品の処分。もちろん、今回そんな理由によるものではないことは、わかっていただけると思います。むしろ逆に、いい作品だからこそ、絵の価値を損なわないギリギリの線まで価格を下げて、「絵を買わない」日本で次の挑戦をしてみたいと思いました。
 
3年前に「バリアートショールーム」を立ち上げたとき、アート業界をよく知る何人かの方から、「日本ではなく、海外でやってはどうか」と勧められました。確かに、力のあるアーティストが海外に活躍の場を求める現実があります。でも、生活の必需品ではない絵にお金を使う理由を見つけきれずに、美術館巡りで満足するニッポン人に、もっと気軽に本物の絵を飾ってもらえるお手伝いができないか、そんな思いがありました。
 
ガルーウィラナタの両氏の作品は「バリアートショールーム」が扱う作品の中でも、0がひとつ違う高額商品ですが、それでも平均的な日本人作家の作品に比べると、物価の違いによる恩恵から、半分以下のお値段。これならもう少し肩の力を抜いて、ホンモノの絵が持てるんじゃないかと思ったのが、そもそもの始まりです。
 
スクリーンショット 2014-12-17 8.13.44

『朝のセレモニー』Galuhアトリエにて

ところが、実際に始めてみると、ご自宅に家に絵を飾りたいと見に来られるお客様のご予算は10万円までというのがほとんど。お部屋の装飾という観点で考えると、やはりそれくらいがひとつの目安にはなるのでしょうが、いくらなんでも、ガルーウィラナタの絵はさすがに10万円にはなりません。
バリ島の大きな美術館に行けば、普通に展示室に飾ってある著名作家。早く仕上がる抽象画風の作品に移る画家も少なくない中、あえて時間のかかる描き方にこだわり、年間の作品数はわずか3−4点。そんな彼らの作品を手に入れたくて順番待ちをしているコレクターたち、とまあ、すごい画家なのですから。
 
単にインテリアとしてだけでなく、彼らの作品にはもっと深いものがあります。
慌ただしい朝の時間、トーストをコーヒーで流し込みながら、ふと目に入った朝の光の風景に気持ちがシャキっとしたり、ささくれ立った気分で仕事から帰ってきた夜、幻想的な黄昏の光にすっと肩の力が抜けたりするのは、やはりいい絵の持つ力だと思います。
 
「いつかはガルーさんの絵がほしい、ウィラナタさんの絵がほしい。でも…」と逡巡していた方に、一歩を踏み出すきっかけにしていただければと決心をしました。だから、セールではなく、「価格改定」なのです。
 
そんな思いをこめた「第7回バリアートサロン」(3月12日@東京・有明)、どうぞ彼らの作品に会いにきてください。サイズやご希望の題材をお持ちの場合には、ご注文制作をお受けすることが可能です。ウィラナタは’09年以降の全作品が観れるスクリーンショーをご用意します。
詳しいご案内はこちらをどうぞ。
 
 
<関連ウェブサイト>
 
ウィラナタ作品はこの美術館に所蔵されています
プリ・ルキサン美術館ネカ美術館アルマ美術館
 
ガルーの作品はこの美術館に所蔵されています
プリ・ルキサン美術館
 

コメントをどうぞ

2016.2.24

バリアートサロンを再開します

こんにちは、坂本澄子です。
暖かくなったかと思えば、急にまた寒くなったりと、行きつ戻りつのお天気ですが、6時に目覚ましが鳴った時の部屋の明るさが変わってきました。バターたっぷりのトーストにコーヒーを飲みながら、昇ってくる朝陽を見るのが、慌ただしい朝にあって唯一ホッとするひととき。暖かい春ももうすぐですね。
そんな春の訪れを感じつつ、今日は「バリアートサロン」再開のお知らせです。

ブログ215_バリアートサロン#1初めての方に簡単にご紹介させていただきますと、バリ絵画はもとは降臨する神々をもてなすために描かれたもの。そのモチーフには神話の場面やバリ島の風物や習慣など、独特なものも多くあります。それらの意味がわかると、それぞれの絵が輝きを増し、ぐっと面白くなってきます。

また、描き手はいずれも今をときめく現役アーテイストたち。芸術村ウブドにも今や同じ構図で何枚も描かれた「お土産物のバリアート」があふれる中、より良い作品を追求し、日々真摯に制作に取り組んでいる作家たちの奮闘ぶりをご紹介したいと、昨年からほぼ毎月開催してきました。

画家と作品2通算で7回目となる今回(3月12日@東京・有明)は再びガルー (Ni Gusti Agung GALUH)ウィラナタ (Gusti Agung WIRANATA)を取り上げます。

日本人の私たちの目にも懐かしい田園風景画ですが、実は心象風景であり、作家の心の様が描かれています。ふたりの作家についてご紹介をするとともに、ウィラナタについては2009年から最新作までの全作品100点以上をスライドショーでお楽しみいただきますもちろんサイト掲載作品は現物をご覧いただけます。

ところで、この度、世界で一つだけの本物の絵を、もっと身近に感じていただきたいと、ガルー、ウィラナタ作品の価格改定を行いました。新価格は作家の作品ページでどうぞご確認ください。プリ・ルキサン美術館 (Museum Puri Lukisan)など、バリ島の主要美術館もその作品を所蔵し、世界中のファンを魅了し続けてきた一流作家だからこそ、アート好きなあなたに持っていただきたい。そんな切なる思いを感じていただければ幸いです。

両作家はコレクターから絶えず注文が入る人気作家ゆえ、現地のギャラリーでもお目にかかることはまずありません。肉筆ならではの繊細さと幻想的な作風をご自身の目で確認してみてください。

『第7回バリアートサロン』のご案内はこちらをどうぞ。

<関連ページ>

ガルー作品ページ

ウィラナタ作品ページ

コメントをどうぞ

2016.2.20

新作情報:ウブドがウブドだった頃

こんにちは、坂本澄子です。

今日は、お世話になった元上司の古希のお祝いに、友人宅(多摩川を望む高台のテラスがとっても素敵なんです)でBBQパーティです。食材は持ち寄り、私は母に頼んで、広島から殻付きの牡蠣をたくさん送ってもらいました。あの頃、一緒に仕事をした仲間たちとあの頃の気持ちに戻れそうです。

さてさて、近年バリ島も開発の波が凄まじく、ウブドの風景も様変わりしていますね。メイン・ストリート沿いにはブティックやレストラン、カフェが軒を連ね、田園地帯には次々とヴィラが。無粋なのは、夜も煌々と明かりのついたコンビニのやたら多いこと。

以前、ウブドを訪れた人が、あの懐かしい風景を求めて再訪すると、少しがっかりさせられるかも知れません。日本が失ってしまったもの。ウブドに来ればまだあると思っていたものが、同じように失われつつある現実を目の当たりにします。

ジャワ島などインドネシアの他の島々と比べて、いろいろな意味でとても豊かなバリ。経済的に豊かになることは決して悪いことではないけれど、バリの人たち自身はどう思っているのだろう。そんなことを考えていたら、久しぶりにウィラナタから連絡があり、新作を見せてもらいました。

4000kmを超えて私の思いがテレパシーで通じたのか(笑)、タイトルはなんと『Spirit of Bali – days gone by 』。さしずめ『バリがバリだった頃』でしょうか。1990年代、まだウブドらしさが残っていた頃の生活を思い出しながら描いたというのが作家の弁。

「ん?何だかいつもと少し違う」すぐにそう感じました。明るい黄緑のせいでしょうか?

『Spirit of Bali - days gone by』

『Spirit of Bali – days gone by』油彩/キャンバス 70x120cm

「光の感じと構図を変えてみたんだ」

なるほどと思いました。柔らかな木漏れ日が草の斜面を転がりながら描き出す模様。ピンと張り詰めるような神々しさが特徴のウィラナタ作品ですが、この絵にはむしろ温かさを感じます。

過ぎ去った時を思い出すとき、きっと彼の心の中を穏やかな風が吹き抜けていったのでしょう。いかにバリを愛し、失われつつある風景をここに留めようとしているか。言葉少ない彼に代わって、この作品が雄弁に物語っているように感じました。

この作品のお問い合わせはこちらからどうぞ。

<関連ページ>

ウィラナタ作品ページ

 

コメントをどうぞ

2016.2.17

「いま」をともに生きる、現代アーティストたち

こんにちは、坂本澄子です。

現代アートはちょっとね…という方も少なくありませんが、私は機会を見つけては見に行くようにしています。ただまっ白なだけの作品だとさすがにお手上げ〜ですが、先日見た「村上隆の五百羅漢図展」はかなりグッときました。

会場は六本木ヒルズにある森美術館。自由な発想や展示で定評のある美術館で、前衛的な作品の展示も含めて、他にはない大胆さやユニークさを感じることもしばしば。今回も写真・録画OK。どんどんシェアしてくださいというわけです。実際に見た人からのポジティブなコメントほど人を動かすものはありませんものね。

展覧会のメイン作品『五百羅漢図』は2012年にカタールで発表され、日本では今回が初公開。白虎、青龍、朱雀、玄武という中国の四神をそれぞれモチーフにした4点から構成される作品の全長はなんと100メートルという大作です。

DSCF9825

『白虎』この左側にもまだまだ続きます

アニメの背景画を描くアーティストになりたかったという村上さん。絵巻物の火炎表現やアニメーションの爆発シーンなどを参考にしたという、写真の『白虎』の背景は赤という強い色使いもあり、4つの中で特に印象に残りました。

DSCF9920

『朱雀』(部分)

実際の作品を前にすると、その大きさに圧倒されるだけでなく、作品全体を貫く大きなうねりのような躍動感がズドーンときます。

スケール感だけでなく細部もおもしろく、例えば、羅漢の着物の色や模様がそれぞれ異なるのはもちろん、キャラクターの違いまで500体ちゃんと描き分けられています。握り飯を握るこの羅漢さん(写真)を見たら、モーレツにお腹が空いちゃいました。時間を忘れて3時間近くも会場にいたのですから。「あー、お腹すいた〜、でも、まだ出るのが勿体ない」そんな葛藤です。

 

DSCF9900

これが指示書。やり直しを指示する厳しいコメントが。

この大作に取り組むにあたり、村上さんは美大生を中心にスカウトキャラバンを行い、チームを編成。総勢200名が24時間シフトで制作にあたったそうです。

作品の中心となる羅漢は800点もの下絵を描いた後、そこから500点を選び、さらにそれぞれをブラッシュアップするというこだわり。

スタッフに出す作業指示書も膨大な量にのぼり、仕上がりに妥協を許さない厳しい制作現場のリアルな様子が紹介されていました。

 

ちょうど今読んでいる原田マハさんの『ロマンシエ』(この本を読んでいる理由は2月10日のブログをどうぞ)に、現代アートのすばらしさを登場人物が次のように語る場面がありました。

「ピカソもマティスもシャガールも、そりゃあ素晴らしい。だけど、彼らの創ったものに感動して、その気持ちを直接伝えたいと思っても、彼らはもういない。だけど、今を生きているアーティストは違う。もしも彼らにメールを送ったとしたら……『感動しました』って伝えたとしたら、ひょっとすると、返事が来るかも知れないんだ。『ありがとう』ってね」

同じ時代、同じ時間、同じ瞬間。「いま」を、ともに生きているアーティストたち。そんなワクワクした気持ちが味わえる展覧会です。

ところで、バリアートショールームで扱うバリ絵画も、その意味でまさに現代アートです。幻想的な光の風景で世界中にファンを持つウィラナタ(Wiranata)も、「今を生きるアーティスト」。つい先日も連絡をもらいました。バリ島ではちょうどガルンガンからクンニガンに続く一連の祭祀の真っ最中。かなり忙しかったはずなのにと思い、嬉しかったです。次回はそんなウィラナタの最新作をご紹介します。

<関連ページ>

「村上隆の五百羅漢図展」 3月6日まで。22時まで開いてるのも嬉しい。

Wiranata 30x50 6ウィラナタ作品ページ 最近はこんな格好ですが(だんだん若くなっている?!)、彼の描き出す作品は相変わらずとても繊細

コメントをどうぞ

2016.2.13

ハンサムでチャーミングな女性たちへ

こんにちは、坂本澄子です。

寒い寒いと思っていましたが、ふと気がつくと夕方になっても「あら、まだこんなに明るい」と驚かされます。今日はかなり気温が上がり、思わずコートを脱ぎたくなったほど。春の訪れももうすぐですね。

さて、先日テレビを見ていたら、久しぶりに中村江里子さん。フランス人と結婚し、パリで活躍中です。ファーのついたマスタード色のコートが、きりりとした顔立ちにとてもよく似合っていました。彼女がナビゲーターとして紹介していたのが、ブルガリのローマ本店。

もともとは銀細工のお店で、一点物の高級ジュエリーを扱うようになったのは1920年代から。その名を世界に轟かせたのは、エリザベス・テイラーによるところが大きいと言います。そのため本店にはエリザベス専用の部屋が設けられ、当時つきあっていた恋人とそこで頻繁に逢い引きをしていたのだとか。裏口に抜ける秘密の出入り口まである徹底ぶりです。その恋人に贈られたという、大粒のエメラルドが燦々と輝くネックレスは、お値段なんと4億7千万円。

スクリーンショット 2016-02-14 0.24.26はああ〜、こりゃ別世界だわ、とため息をついていると、ブルガリのデザインにはローマの街の風景からヒントを得たものも多いと聞き、俄然興味が湧きました。

たとえば、幾何学模様がシャープで知的なパレンテシですが、これはローマ市内にある歩道の敷石のつなぎ目の形からイメージしたもの。また、イチョウ型のデザインが特徴のディーヴァは、古代ローマのカラカラ浴場の床のタイル(写真)からヒントを得たのだそうです。

自身もブルガリのファンという江里子さん、ディーヴァの最新作のネックレスを試着させてもらい、頬を上気させながら語った言葉がとても印象的でした。

「娘、そして孫、さらに…と『おばあちゃんが頑張って仕事して買ったのよ』って、大切に受け継いでいきたいものですね」

いまやジュエリーは、男性からプレゼントしてもらうものから、ガンバって仕事をして自分で買うものへと、時代は変わりつつありますね。これってとてもいいことだと思います。

最後の仕上げをするガルー

そんなハンサムな女性たちに、一点また一点と頑張った数だけコレクションとしておすすめしたいのが、女流作家ガルーの小品。女性ならではのやわらかな視点が、静謐な光の風景に溢れています。

時間があるとご主人のバイクに二人乗りして、お気に入りの場所へと出かけるのが彼女の習慣。そんな記憶の引き出しから様々な風景を取り出し、頭の中で作品の構図を組み立てるのが最高に楽しい時間なのだそう。これはジュエリーのデザイン作りに似ていますね。

そんなふうに描かれた作品がこちら。

左: 『花を探して』 Galuh アクリル画,  右: 『椰子の実の収穫』Galuh アクリル画

PS008-01 PS007-01

いずれも23cmx31cmの小さな作品で、額縁を揃えて飾っていけば、統一感のあるインテリアにもなりますし、何よりこの静かな風景が穏やかな気持ちにしてくれます。

バリバリ仕事をしながら、細やかな心遣いや優しい笑顔を見せられるチャーミングな女性が増えると、日本はもっともっと素敵な国になるんじゃないかしら。

<関連ページ>

ガルー作品ページ

コメントをどうぞ

2016.2.10

リトグラフ vs 肉筆画

こんにちは、坂本澄子です。

IMG_6767

ギャラリーから東京駅丸の内改札が見える

先日、東京駅まで出たついでに、初めて「東京ステーションギャラリー」に入ってみました。駅舎が改装されてから、丸の内北口を通るたびに気になっていた場所です。

やっていたのは、企画展「パリ・リトグラフ工房idemから ー 現代アーティスト20人の叫びと囁き」。偶然入ったのですが、その日が最終日でした。

パリのモンパルナスにある「idem Paris」は、100年以上もの歴史を持つリトグラフ工房。深緑色の鉄製の扉を開けると、7、8mの天井高の小型体育館のような場所に、年代もののプレス印刷機が重い音を立て、棚にはナンバリングされた大小様々なサイズの石版がずらり、壁にはここで制作された版画やポスターがところ狭しと飾られています。ちなみに、プリントインクや薬品を落として石版は再利用されます。

かつてはピカソやシャガールも制作を行ったこの工房で、ひょっとすると彼らと同じ石版が使いながら、20人の現代アーティストたちが職人と協働で作り上げたリトグラフ作品、120点が展示されていました。

ところで、リトグラフには大きく分けて二種類があるのをご存知ですか?ひとつは複製として版画を作るケース。もうひとつは最初からリトグラフという技法を用いて制作を行うケースです。作品価値が高いのはもちろん後者で、今回展示されていたのもそんな作品ばかり。

日本では一点物よりも、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画作品を購入する人の方が圧倒的に多いですし、「バリアートショールーム」の展示会を見に来られるお客様にも、「ガルーさんの作品をリトグラフにする予定はないの」と訊かれることもあります。いままで素通りしてしまっていたリトグラフの魅力に、今日こそ気づくことができるかも知れない、なんて期待もあったのですが…。

スクリーンショット 2014-12-17 8.13.19やっぱりなんだかピンと来なかったのですよ。モダンアート作品としての、メッセージ性だったり、作家の世界観みたいなものには興味を持ちましたよ。でも、じゃあ、ガルーさんの絵をリトグラフにするかと言われたら、それはやはり違うと思ったのです。工房の卓越した職人技で、あの光の繊細さが再現できたとしても、画家が思いを込めながら時間をかけて筆を運んだ作品そのものとは明らかに違います。

なぜリトグラフなのか。価格的な理由が大きいでしょう。嬉しいことに、バリ絵画は著名作家の一点ものでもちょっと頑張れば手が届く価格。ですから、これからも「世界でたった一枚の絵」にこだわっていきたいと思っています。

IMG_6782ところで、今回の展示会にはひとつ面白い試みがなされていました。『楽園のカンヴァス』の著者原田マハさんの最新作『ロマンシエ』とのリンクです。小説の中に登場するリトグラフ工房「idem」とその展覧会。これがリアルに実現したのが、今回私が見た展示というわけです。

Romancier。フランス語で「小説家」という名のこの作品、さっそく買っちゃいました。外見はイケメン、中身はまるきり乙女。アーティスト志望の主人公、美智之輔の軽快な語り口にぐいぐい引っ張られるように読んでいます。小説がどんなふうにリアルへと繋がっていくのか楽しみ!

<関連ページ>

ガルー作品ページ    この光の繊細さがリトグラフで表現できるでしょうか

東京ステーションギャラリー 100年前の赤煉瓦が残る素敵な美術館

リトグラフ工房 idem Paris    工房の様子がたくさんの写真とともに紹介されています

『ロマンシエ』原田マハ 

コメントをどうぞ